「国民保護法案」についての意見書

2004年3月18日
日本弁護士連合会


本意見書について

1.結論

当連合会は、本意見書で指摘した問題点を解消するような抜本的見直しがなされない限り法案に反対するものであり、審議期間の限られた今国会において、法案を拙速に審議・採決することに強く反対するものである。


2.論証

  1. 当連合会の有事法制に対する基本姿勢
    第45回人権擁護大会「有事法制3法案の廃案を求める決議」の6項目
  2. 緊急対処事態について
    「武力攻撃事態等」における国民保護措置に関する法案に、「緊急事態対処」に対する措置に関する規定が存在→法案の性格と目的を不明確にしている。
  3. 避難について
    全住民の避難は実施困難かつ、非現実的である。
  4. 立法事実の有無
    有事法制3法案の裁決と同時に行われた付帯決議
    政府が立法事実として説明する4つの事態
  5. 平時における作用
    政府が定めた「国民保護のための基本指針」を単に国会への報告で足りるとしている点。
  6. 国民への啓発と訓練→社会構造の変容、国民への過大な危機意識の植え付け
  7. 人権侵害の可能性
    基本的人権条項の性格
    住民避難・武力攻撃災害における立ち入り禁止等の措置の問題点
    警戒区域設定措置の問題点
  8. 統治構造の変容
    地方自治・公共機関…国・都道府県の強いコントロール
    国民の責務…国民の協力がある種の「責務」と法定されたことの意味
    具体的強制措置…運送、物資の保管・売り渡し・収容、土地・家屋等、医療
  9. 知る権利の制約
    法案は国民の知る権利、取材の自由に対して不当な制約を課す危険性を含み、憲法上重大な問題がある。

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