訴訟当事者の合意による弁護士報酬敗訴者負担制度に対する意見
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2003年12月22日
日本弁護士連合会
本意見書について
弁護士報酬の両面的な敗訴者負担制度は、司法制度改革審議会意見書が提唱する市民の司法アクセス拡充の理念に反し、市民の訴訟利用を萎縮させるものであることから、当連合会は、その一般的導入に一貫して反対するとともに、行政訴訟などにおいては片面的敗訴者負担制度の導入を強く主張してきた。この基本姿勢は今も変わることはない。
多くの市民も両面的敗訴者負担制度の導入に反対し、多数の反対署名やパブリックコメントを貴本部に提出している。
然るところ、貴本部事務局は、本年11月21日の本部司法アクセス検討会における「全ての訴訟について各自負担を原則とし、弁護士等によって代理される訴訟当事者が訴訟上合意したときのみ敗訴者負担とする」との多数意見に基づき、制度案の検討を進めている。
この制度案は、各自負担を原則とする点については評価し得るものの、種々の問題点を含んでおり、とりわけ消費者・労働者および一方が優越的地位にある事業者間の契約における劣位的地位にある当事者などにとって、きわめて重大な問題を惹起する。
よって、当連合会は以下のとおり意見を表明するものである。
意見の趣旨
訴訟当事者の合意による弁護士報酬敗訴者負担制度の導入を検討するにあたっては、以下1から4の方策がとられることが必要不可欠である。
- 少なくとも消費者訴訟及び労働訴訟においては、弁護士報酬を訴訟手続法上両面的敗訴者負担としない領域とし、訴訟上の合意による両面的敗訴者負担を認めないこと。
- 消費者契約、労働契約及び一方が優越的地位にある事業者間の契約など、構造的に格差の認められている当事者間の私的契約・約款等に盛り込まれた「弁護士報酬敗訴者負担」条項については、その効力を否定するため、必要な立法上の措置を講ずること。
- 不法行為訴訟などにおいて弁護士費用が損害の一部として認められてきた従来の判例を維持し、これをいささかも後退させることはないよう、必要な措置を講ずること。
- 合意の方法については、裁判所に対する申立を裁判所外での当事者の合意に基づき当事者共同の名義をもって行う制度とすること。
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