日弁連新聞 第512号

高校生模擬裁判選手権
7月30日 東京・大阪・金沢・愛媛

全国の高校生たちが実際の法廷で熱戦を繰り広げる高校生模擬裁判選手権。今年、栄えある第10回を迎えた。関東、関西、中部・北陸、四国という地域ごとに、全国4会場で同日開催され、各地域の優勝校・準優勝校は別表のとおりとなった。
本稿では、関東大会の模様をお伝えする。

(共催:最高裁、法務省、検察庁ほか)

 

今回課題となった事案は、結婚詐欺。被告人の女性は、被害者と結婚するつもりがなく、また、別の男性に渡す意図があったのにこれを隠して、被害者から100万円をだまし取った、という公訴事実で起訴された。

午前中に第一試合、午後に第二試合が行われ、高校生たちは、一方の試合では弁護人、もう一方の試合では、検察官の立場で主張・立証を行った。手続は、冒頭陳述に始まり、被害者証人尋問、被告人質問、論告・弁論と、現実の裁判さながらに進行する。各校は、論告・弁論を行う際、自分たちの主張をまとめた手製のボードを掲げるなど、それぞれに工夫を凝らした。試合の様子。現実の裁判さながらに進行した

試合後の講評では、ある審査員からは「争点との関係性を意識して質問がなされていたり、実際の法曹に遜色ない臨機応変な質問ができていたり、大変素晴らしかった」との感想が寄せられ、また、別の審査員からは「反対尋問が非常に上手で驚いた。自分がやってもこんなに上手にはできないと思う」と最大級の賛辞が贈られた。

高校生からは、「尋問では、原則誘導禁止という制約がある中で、意図する内容を引き出すのが難しかった」「対戦校の主張・立証活動を見て、鋭いと思うところがたくさんあった。まだまだ工夫できたと思う」との感想が寄せられた。本選手権を通して、刑事手続の意味や刑事裁判の原則を理解することにとどまらず、事実を多面的に把握する力、主張を整理し分かりやすく説明する力など、「自立した大人になるために必要な力」も育んでくれたようだ。

 

 

各会場の優勝校および準優勝校 
【関東大会(東京)】
優勝:湘南白百合学園高等学校(神奈川)
準優勝:山梨学院高等学校(山梨)
【関西大会(大阪)】
優勝:京都教育大学附属高等学校(京都)
準優勝:同志社香里高等学校(大阪)
【中部・北陸大会(石川)】
優勝:福井県立勝山高等学校(福井)
準優勝:福井県立藤島高等学校(福井)
【四国大会(愛媛)】
優勝:愛光高等学校(愛媛)
準優勝:高知追手前高等学校(高知)

 

弁護士職務の適正化に関する全国協議会
8月3日弁護士会館

市民窓口、紛議調停、懲戒制度運用をテーマとした本協議会は、今回、初の試みとして、例年冬期に開催している弁護士職務の適正化に関する全国連絡協議会を「市民窓口及び紛議調停制度に関する全国連絡協議会」と改称し、例年8月に開催している「懲戒手続運用等に関する全国協議会」と合わせて二つの協議会を同日(午前/午後)に開催した。

 

市民窓口及び紛議調停制度に関する全国連絡協議会

市民窓口の機能強化の観点から、苦情処理手続の適正化を図るため、マニュアル作成や実務上の問題点等について意見交換や情報共有をした。

また、市民窓口や紛議調停において、弁護士報酬に関する事例が恒常的に多いといわれる実情を踏まえ、弁護士報酬に関する論点を含む協議問題(設題)を題材に、意見交換を行った。

 

懲戒手続運用等に関する全国協議会

弁護士法第58条第2項のいわゆる会請求および懲戒の手続に付された事案の事前公表の在り方に関して、実務上の問題点や悩みについて率直な意見交換を行った。

さらに、弁護士不祥事対策の取り組みや依頼者保護制度等についても、その検討状況を共有した。

 

不祥事の根絶に向けて

弁護士会の担当職員および担当役員等が一堂に会する本協議会では、各地の実情を踏まえた意見交換が活発になされ、弁護士不祥事の根絶に向けて、全弁護士会が一丸となり取り組むことをあらためて確認し合う、貴重な機会となった。

(弁護士職務の適正化に関する委員会  委員長 金子正志)

 

国連難民高等弁務官事務所と新たな協力関係

新たな協力関係構築に向けて固く握手を交わした

8月4日、ダーク・ヘベカー国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表と中本会長は、協力関係に関する合意書に調印し、日弁連と国連難民高等弁務官事務所は、新たな協力関係を構築することとなった。

国連難民高等弁務官事務所は、これまでも日弁連が設けた難民認定法律援助基金特別会計に資金を拠出し、難民認定申請を支援する弁護士の能力向上に向けた事業を日弁連と協同して行ってきた。近時、国際的な難民の急増とともに日本においても難民申請者が年間7500人(2015年)を超える数に急増していることも受け、両者は、弁護士の能力向上に加え、公正かつ効率的な難民認定制度の構築などに向けたさまざまな取り組みについて包括的な協力関係を結ぶこととなった。当面、難民審査参与員との懇談会の共催、難民申請者の収容に関する研究会の共催を準備中であり、協力関係の進展がより良い難民認定手続の実現に結び付くことが期待される。

(人権擁護委員会委員 市川正司)

 

第27回POLA(アジア弁護士会会長会議)
7月20日~23日 モンゴル・ウランバートル

アジア太平洋地域の弁護士会会長が一堂に集うPOLAが開催され、日弁連からは石原真二副会長が出席した。

 

「会長会議」では、昨年に引き続き弁護士の秘匿特権に関する決議案が検討された。また、トルコにおけるクーデター事案の情勢が刻々と報じられる中、政権による裁判官の職務追放・身体拘束、弁護士の職務執行抑圧の報道を受けて、法の支配の後退について懸念を表明するとともに、同国政権が国連「弁護士の役割に関する基本原則」を尊重することを求める声明を早急に取りまとめて発表した。
「ワーキング・セッション」では、①違憲審査制度と弁護士・弁護士会の役割、②鉱業と人権、③プロボノおよび法律扶助の3つのテーマを議論した。石原副会長は、「②鉱業と人権」セッションで、日本の産業近代化以降の経済社会の発展に伴う公害・環境問題の変遷とそれらに対する日弁連の取り組みや、現代の我が国における職場環境・労働安全管理の領域では過労死やメンタルヘルス障害の予防が重要課題となっていることなどについて報告した。
来年の第28回会議は、スリランカで開催される予定である。

(国際室嘱託 相馬 卓)

 

新事務次長紹介

五十嵐新事務次長8月31日付で、吉岡毅事務次長(第一東京)が退任し、後任には、五十嵐康之事務次長(第一東京)が就任した。

 

五十嵐 康之(第一東京・51期)


日弁連が社会において果たす役割は年々大きくなっていると思います。その日弁連の活動を陰から支える貴重な機会をいただき、身の引き締まる思いです。一日も早く業務に慣れ、日弁連の力となれるよう努力してまいります。

 

 

 

 

特別特集
全国弁護士会キャラクター

全国の弁護士会ではさまざまなキャラクターがイベント等で活躍しています。そこで今回は、特別特集として、各地のPR大使として一役かっている可愛い働きもの・弁護士会キャラクターたちをメッセージ付きで一挙ご紹介します!

(広報室嘱託 渡邊 寛一)

 

  全国弁護士会キャラクター (PDFファイル;686KB)

 

日本初の女性弁護士たち
~「まさこ先生」のモデルとは~

まさこ先生本稿上欄では、特別特集として、弁護士会のキャラクターを取り上げました。中でも、鳥取県弁護士会のマスコットキャラクター「まさこ先生」は、実在した女性初の弁護士、中田正子さんをモデルにしています。本稿では、この中田正子さんと、同じく1940年に女性初の弁護士となった三渕嘉子さん、久米愛さんをご紹介し、3人の実像にせまります。

(広報室嘱託 大藏隆子)

 

 

*登場する女性弁護士の氏名は、弁護士名簿の登録情報に基づいて記載しています。

1893年に制定された旧弁護士法は、弁護士の資格要件について「日本臣民にして民法上の能力を有する成年以上の男子たること」と定めており、女性は弁護士にはなれませんでした。

それが、1936年の改正法の施行によって、女性にも弁護士になる道が開かれました。

一方で、戦前の大学は男性のみに開かれており、女性には学びの機会そのものがありませんでした。しかし、1929年、民法学者の穂積重遠氏の呼び掛けで、明治大学に女子部(旧明治大学短期大学の前身)が発足し、女性も法律と経済を学べるようになりました。ただ、この女子部は、そこを卒業して初めて男性とともに学ぶ明治大学に入学ができるというものでした。1938年、この女子部を巣立った三渕嘉子さん(以下「三渕さん」)、中田正子さん(以下「中田さん」)、久米愛さん(以下「久米さん」)、という3人の女性がそろって高等文官試験司法科試験(※1)に合格し、彼女たちが、弁護士試補(※2)としての修習期間を経て、日本初の女性弁護士となったのです。

 

三渕 嘉子さん 〜初の女性裁判所長 

三渕さんは、司法科試験受験の際、控室で司法官試補(※3)採用の告示に「ただし、日本帝国男子に限る」と記されていたのを目にし、猛烈な怒りを感じていました。当時、同じ試験に合格しても、女性は裁判官・検察官に任官できなかったのです。

終戦後の1947年、東京で弁護士として勤務していた三渕さんは、男女平等の世になるのだから、これからは女性でも裁判官になれるはずだと考え、司法省に裁判官への採用願を出しました。司法省勤務を経て、1949年、任官に至ります。

その後、三渕さんは、家事や少年の問題に熱心に取り組み、1972年には、新潟家庭裁判所において、日本初の女性裁判所長となりました。浦和家裁・横浜家裁でも所長を務めました。退官後は、再び弁護士登録(第二東京)をするとともに、労働省の男女平等問題専門家会議の座長を務めるなど、精力的に活動しました。

 

中田 正子さん 〜初の女性弁護士会会長

中田さんは、新渡戸稲造が校長を務めていた女子経済専門学校(現・新渡戸文化中学校・高等学校)で、吉野作造から政治学を、我妻栄から民法学をと、素晴らしい講師陣から学ぶ中、特に法律学に興味を持ち、弁護士を目指しました。
弁護士登録後は、東京で人事訴訟事件を中心に執務していましたが、1945年、肺結核を患った夫の療養のため、夫の実家である鳥取に疎開し、そこで終戦を迎えました。

中田さんは、夫の体調が回復したら東京に戻るつもりでいたそうですが、その夫は、1947年、鳥取県の県会議員になり、1950年には参議院議員に当選。以降、6年の任期を計3回務めることとなったため、夫の選挙地盤である鳥取に根付くことになりました。自宅を事務所として開業し、一男二女を育て上げました。

1969年には、鳥取県弁護士会会長に就任。全国で初めて、女性の弁護士会会長を務めました。

 

久米 愛さん 〜日本婦人法律家協会会長 

久米さんは、津田英学塾(現・津田塾大学)で英語を学んだ後、法律の勉強を始めました。
久米さんもまた、三渕さん・中田さんと同様、東京で弁護士(第一東京)としてのスタートを切りましたが、終戦直後は、弁護士の仕事が少なかった時代でした。夕方まで事務所で執務した後、ミシンで洋服を仕立てたり、レース編みや刺繍をしたり、時には、語学力を生かしてGHQの通訳をしたりと、厳しい時期を凌ぎました。

1950年、久米さんは、GHQの招きを受けた婦人使節団の一員として、4か月間のアメリカ視察へと旅立ちます。この時の経験から、日本でもアメリカのように女性の地位を向上させたいという思いを抱くようになり、同年9月、仲間とともに日本婦人法律家協会を立ち上げました。同協会は、女性法曹の親睦団体でありながら、時に、女性裁判官の採用に消極的姿勢を示した最高裁に抗議文を出したり、各省庁の検討会議や委員会に女性委員の紹介を行ったり、女性法曹の社会的活躍を後押しする活動を行いました。久米さんは、協会設立時から、65歳で没するまで、ずっと同協会の会長を務めました。

久米さんはまた、政府代表や代表代理として、国連総会にもたびたび出席しました。

 

書籍 「華やぐ女たち 女性法曹のあけぼの」

本稿の執筆に当たっては、佐賀千惠美会員(京都)執筆の書籍「華やぐ女たち 女性法曹のあけぼの」(金壽堂出版/2013年4月)を参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

同書には、中田さんご本人や、3人のご家族へのインタビューなども記載されており、3人がそれぞれに仕事のみならず家事や育児に奮闘された様子も含めて、彼女たちの実像を詳しく知ることができます。女性のみならず、男性にも、ぜひお読みいただきたい一冊です。

(注)

※1 戦前の司法試験
※2 戦前の弁護士となる者のための修習制度。高等文官試験司法科試験合格者が弁護士になるには弁護士試補として1年6か月間弁護士事務所において修習を受けることが必要とされた。
※3 戦前の裁判官または検察官となる者のための修習制度

 

シンポジウム
隔離法廷と法曹の責任
ハンセン病療養所入所者に対する「特別法廷」を考える
7月16日弁護士会館

 

  • シンポジウム「隔離法廷と法曹の責任-ハンセン病療養所入所者に対する『特別法廷』を考える-」
4月25日、最高裁は、ハンセン病患者・元患者の裁判を療養所など法廷外の場所、いわゆる「特別法廷」で行った件で調査報告書を公表し、患者・元患者に対して謝罪した。今後、日弁連が、この問題に関しどのように取り組むべきかを考えるため、シンポジウムを開催した。

 

冒頭、中本会長が挨拶し、特別法廷に弁護士もいた以上、弁護士会は自らの問題として検証する必要があると述べた。

続いて、特別法廷の下で死刑判決が下された菊池事件をモデルに、特別法廷の実像を描いた映画「新・あつい壁」を上映した。法曹三者が白い予防衣を着用し、手袋をはめて裁判手続を行い、証拠品を火箸でつかむなど、特別法廷の実際の様子が放映された。

上映後、人権擁護委員会第4部会(医療に関わる人権問題)の黒木聖士委員(福岡県)が最高裁の調査報告について報告を行った。調査報告は、1960年以降の特別法廷について、裁判所法第69条第2項違反を認めたものの、憲法第82条第1項・第37条第1項が要請する公開原則には違反していないと結論付けたこと、他方、有識者委員会は、これに疑義を呈し、憲法第14条第1項の平等原則違反をも指摘したことを詳説した。

菊池恵楓園の在園者たちもビデオレターを寄せ、特別法廷では、有菌地帯と無菌地帯とが区分され、在園者のみが有菌地帯に着座した、と差別的な開廷状況について紹介した。

内田博文名誉教授(九州大学・元「ハンセン病問題に関する検証会議」副座長)は、基調講演の中で、最高裁が謝罪したことを評価しつつも、検証の意義は、名誉回復・被害救済・再発防止策の実施にあるところ、これらの点に十分な言及がないと指摘した。また、検察庁・弁護士会にも責任があり、法曹三者が一致して対応し、すき間のない救済を図らなければならないと訴えた。

菊池事件の再審弁護団長である德田靖之会員(大分県)は、菊池事件は、凶器の発見状況など複数の証拠からえん罪の疑いが濃厚であること、同事件では、被告人が全面否認していたにもかかわらず、第一審の国選弁護人が、すべての検察官提出証拠に同意する不適切な弁護活動を行ったことを報告した。そして、弁護士は、公共の福祉による制約を意識するばかりに、人権の絶対性への意識が不足しがちである、人権の絶対性を忘れてはならないと訴えた。

三木賢治氏(元毎日新聞論説委員/元「ハンセン病問題に関する検証会議」検証委員)は、元患者の多くが今なお病歴を隠して暮らしており、現在進行形の問題であると指摘した。

 

シンポジウム
試行を終えて 改めて消費者庁等の移転問題を考える
8月8日主婦会館プラザエフ

 

本年7月、消費者庁および国民生活センターの徳島移転の試行が実施された。これを受け、河野太郎前内閣府特命担当大臣は同月29日の記者会見において、消費者庁等の移転については3年程度をめどに見直しを行うこと、徳島県庁内に最大40人規模の研究・分析機関「消費者行政新未来創造オフィス(仮称)」を設置し、新たな消費者行政を作り出す方針を示した。
8月末に予定されている政府の「まち・ひと・しごと創生本部」による取りまとめを前に、あらためて移転に反対すべくシンポジウムを開催した。

 

試行結果の評価

消費者問題対策委員会の鈴木敦士幹事(東京)は、消費者庁業務の試行について、他地域からのアクセスや立法作業の問題に加え、日常的な接触と対面での話し合いが必要な業務はテレビ会議システムでは対応できないことを指摘し、地方移転を直ちに断念すべきと強調した。また、新未来創造オフィスの設置は、消費者庁に新たな機能を担わせることになり、職員の増員を予定していないのであれば、加重労働につながるおそれがあると警告した。

野々山宏幹事(京都)は、国民生活センター業務の試行について、徳島県以外の研修参加者数の減少や商品テスト施設の問題点を挙げるとともに、移転による産業育成効果は薄く、地方創生に資するという本来の目的からしても徳島への移転は適切ではなく、判断を先送りすることなく断念すべきと訴えた。

 

国会議員らから

佐々木さやか参議院議員(公明党)は、消費者行政に資さない移転には、反対を表明し続けると述べた。また、清水忠史衆議院議員(共産党)は、日弁連をはじめ消費者団体の活動によって今回の大臣の発言に至ったと、その活動に敬意を表するとともに、今回の件を踏まえ、地方移転にはなじまない消費者庁の消費者行政における司令塔機能の重要性の周知の必要性と、本来あるべき地方創生の意義についての議論を深める必要性を述べた。船田元衆議院議員(自民党)および中山弘子前新宿区長からも、消費者庁等の機能低下につながるとして、移転に反対する旨のメッセージが寄せられた。

*日弁連は、8月17日付で会長声明を公表し、消費者庁等の移転については直ちに断念すべきであり、本年8月末に予定されている「まち・ひと・しごと創生本部」の取りまとめでも、移転しないという結論を明記すべきとした。

 

第50回市民会議
法曹養成制度改革、「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の成立、熊本地震災害対策の取り組みについて議論
7月27日弁護士会館

中本執行部に変わって初めての市民会議では、法曹養成制度改革推進会議決定後の法曹養成制度改革についての取り組み、改正刑事訴訟法成立までの取り組みと今後の対応、熊本地震に対する取り組みについて報告、議論を行った。

 

法曹養成制度改革

小林元治副会長、早稲田祐美子副会長が、昨年6月の法曹養成制度改革推進会議決定後の日弁連の取り組みを報告した上で、特に法曹志望者減への対応は関係者が連携して取り組むべき喫緊の課題であることを説明した。
委員からは、一度定着した法曹へのマイナスイメージを払拭することは難しいが、弁護士の活動領域は国・自治体、企業、国際分野等へと拡がりを見せており、法曹の未来は明るいとの指摘があったほか、法曹養成制度改革においては、今一度、審議会意見書の理念に立ち返り根本的に議論すべきであるとの意見が述べられた。

 

刑事訴訟法改正

山口健一副会長から、先の国会において改正された刑事訴訟法の内容および課題を概説した上、日弁連としては、えん罪撲滅のために可視化の扉を開くことを最優先課題として取り組んだことを報告した。

委員からは、可視化実現に至った改正法を評価する声が相次いだが、さらなる可視化に向けての日弁連の活動方針や、改正法に盛り込まれた司法取引・通信傍受制度の内容・弊害について、多くの質問が寄せられた。その他、刑事司法全般につき、犯罪者の更生など法律家の関与の充実を期待する意見が述べられた。

 

熊本地震

岩渕健彦副会長から、本年4月14日の発災以降の日弁連の取り組みについて報告した。

委員からは、在宅被災者を含む被災地の隅々に弁護士の支援が届くよう、出張相談、巡回相談の継続を期待するとの意見が述べられた。

 

市民会議委員

(2016年7月27日現在)(五十音順)

井田香奈子(副議長・朝日新聞東京本社オピニオン編集部次長)

長見萬里野(全国消費者協会連合会会長)

北川正恭(議長・早稲田大学名誉教授)

清原慶子(三鷹市長)

神津里季生(日本労働組合総連合会会長)

ダニエル・フット(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

中川英彦(元京都大学法学研究科教授)

松永真理(テルモ株式会社社外取締役)

村木厚子(前厚生労働事務次官)

湯浅 誠(社会活動家、法政大学現代福祉学部教授)

 

ブックセンターベストセラー
(2016年6月・六法、手帳は除く)協力:弁護士会館ブックセンター

順位 書名 著者名・編者名 出版社名
1 若手法律家のための法律相談入門 中村 真 著  学陽書房
2 相続・遺言ガイドブック  第二東京弁護士会法律相談センター運営委員会 編著 LABO
3 労働相談実践マニュアル Ver.7―改正派遣法、パート法対応 障害者雇用、公務員関係を新設 日本労働弁護団 著 日本労働弁護団
4 実務 相続関係訴訟―遺産分割の前提問題等に係る民事訴訟実務マニュアル

田村洋三・小圷眞史 編著、北野俊光・雨宮則夫・秋武憲一・浅香紀久雄・松本光一郎 著

日本加除出版
5 別冊ジュリストNo.228  租税判例百選[第6版]

中里 実・佐藤英明・増井良啓・渋谷雅弘 編

有斐閣
6 労働法[第十一版]法律学講座双書 菅野和夫 著 弘文堂
7 若手弁護士のための初動対応の実務 長瀨佑志 著 レクシスネクシス・ジャパン
8 LGBTsの法律問題Q&A 大阪弁護士会人権擁護委員会性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム 著 LABO
9 交通事故診療と損害賠償実務の交錯 交通事故賠償研究会 編 創耕舎
別冊判例タイムズNo.38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版 東京地裁民事交通訴訟研究会 編 判例タイムズ社