日弁連新聞 第496号

「総合法律支援法の一部を改正する法律案」
国会に提出される

3月24日、政府は総合法律支援法の一部を改正する法律案を閣議決定し、国会に提出した。

 

改正案の主な内容は、①認知機能が十分でないために自己の権利の実現が妨げられているおそれがある国民等(特定援助対象者)に対する法律相談の拡充や一定の行政不服手続までの代理援助の拡大、②DV・ストーカー・児童虐待を現に受けている疑いがあると認められる者に対する法律相談制度の創設、③大規模災害時における被災者に対する無料法律相談制度の創設、④スタッフ弁護士について、日本司法支援センターが、弁護士会および日弁連等と連携の下、地域の関係機関との連絡調整など職務の円滑な遂行に必要な措置を講じ、研修等の資質の向上に努める旨の規定の創設、である。

改正案は、昨年6月に法務大臣に提出された「充実した総合法律支援を実施するための方策についての有識者検討会」報告書を受けて、政府内で検討して作成されたものであるが、その内容には、報告書の提言から大きく後退している部分も多い。

①について、報告書では、本人の判断能力が十分でないこと等を理由に弁護士等とのアクセス障害を有する高齢者・障害者に対する無料法律相談制度としていたが、改正案では、対象者の範囲が絞られ、特定援助対象者とされている。その上、改正案では、一定の資力がある者には、相談後「負担金」を求める制度とされているが、アクセス障害解消の効果があるのか疑問が残る。また、行政手続は対象範囲とされず、対象となる行政不服手続も極めて限定される見込みである。

②のDV等被害者に対しても、創設されるのは法律相談制度のみであり、報告書で提言された、相談後の被害防止のための弁護士活動への援助については制度化されていない。しかも、改正案は、この法律相談援助にも「負担金」制度を設けている。

③の被災者相談も対象者や範囲については今後検討が必要であるし、④スタッフ弁護士に関する規定創設には多くの弁護士会から反対もあった。

日弁連では、昨年9月末、検討段階の法案を受けて、全国の弁護士会等に意見照会を行い、その後も執行部を中心に関係機関との協議を続けてきた。今回の改正案で不十分な点については、今後の議論の行方も注視しつつ、真に司法アクセス障害の解消につながる制度となるよう、引き続き対応する予定である。

(日本司法支援センター対応室長 高橋太郎)


 

集団的自衛権の行使容認に反対する全国キャラバン東京集会
日本はどこに向かうのか
4月7日 弁護士会館

  • 日本はどこに向かうのか ~集団的自衛権の行使容認に反対する全国キャラバン東京集会~

政府は、5月の連休明けに、昨年7月の閣議決定を根拠として、集団的自衛権の行使等を可能にするための関連法案を上程するといわれている。
日弁連は、関連法案に反対する立場をあらためて示し、広く市民の理解を得ることを目的として、昨年12月から本年4月までを「集団的自衛権行使容認に反対する全国一斉行動~日弁連キャラバン月間~」とし、シンポジウムや署名活動を含む街頭宣伝等を行ってきた。
この全国キャラバンの中間まとめとして、300人を超える参加者を得て集会を開催した(共催/東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会、関東弁護士会連合会)。

 

会場は300人を越える参加者で熱気に包まれた

冒頭、村越会長の「市民の皆さまと手を携え、集団的自衛権の問題に取り組んでいきたい」との挨拶に続き、石川健治教授(東京大学法学部/立憲デモクラシーの会呼びかけ人)が、「濫用される権力/濫用できない自由─「いやな感じ」再論─」と題し、特別講演を行った。

次に、憲法問題対策本部の山岸良太本部長代行(第二東京)が、集団的自衛権行使容認に反対する意見書の提出や二度にわたる定期総会での反対決議、パレードの実施状況など、日弁連の取り組みを報告した。

その後、同本部の櫻井みぎわ幹事(横浜)、武村二三夫委員(大阪)、中野竜河委員(仙台)、川口創事務局員(愛知県)、三橋閑花会員(静岡県)が、各地における全国キャラバンの取り組みなどについて報告した。

最後に、横湯園子氏(元中央大学教授)、川崎哲氏(集団的自衛権問題研究会代表/国際交流NGOピースボート共同代表)、那須弘平会員(第二東京/元最高裁判事)によるリレートークを行い、那須会員が、「平和を謳う憲法前文はまさに憲法の魂であり、大事にしなければならない」と会場に訴えた。


 

第66回定期総会
東京で開催(5月29日)
日弁連会長選挙規程中一部改正の件を含む7本の議案を審議予定

5月29日(金)午後1時から、パレスホテル東京(東京都千代田区)において、第66回定期総会が開催される。
平成27年度(一般会計・特別会計)予算議決の件、宣言・決議の件を含む7本の議案が審議される予定である(議案内容等の詳細は、5月19日頃に送付される議案書に記載)。
本稿では、議案のうち会長選挙規程(会規第十九号)中一部改正の件の概要を紹介する。多数の会員の参加による充実した審議をお願いしたい。

 

日弁連の会長は、会員の投票による直接選挙制により選出されているが、近年その投票率が低下している。本議案は、この現状に照らし、各弁護士会に対する意見照会結果を踏まえ、候補者の有効で活発な選挙活動を可能にすること、選挙人(会員)の投票行為の利便性を向上させること等を目的に会長選挙規程中一部改正を提案するものである。主な改正点は以下のとおり。

①不在者投票の最長実施時間の延長(120分から180分へ)

②郵便投票の送付手段への信書便の追加

③再投票における規定の読み替え

④選挙公報の掲載内容の見直し

⑤候補者私設のウェブサイトによる選挙運動の解禁

⑥電子メールによる選挙運動の解禁

⑦形式的な体裁の見直し

なお、本改正が定期総会で可決された場合、平成28年度同29年度会長選挙(平成28年2月施行)から改正内容が適用される。

 

最高裁判所裁判官候補者の募集について

最高裁判所裁判官のうち、2016年7月3日に山浦善樹裁判官(東京弁護士会出身)が定年退官を迎える予定です。

そこで、日弁連では後任候補者の推薦手続を進めています。下記会員専用ページに掲載している「日本弁護士連合会が推薦する最高裁判所裁判官候補者の選考に関する運用基準」や「最高裁判所裁判官候補者の推薦基準」等を確認の上、同ページ掲載の履歴書を2015年8月25日(火)までに弁護士会連合会を通して、または直接日弁連の最高裁判所裁判官推薦諮問委員会にご提出ください。

また、候補者を推薦するには、50人以上の会員の推薦が必要となります。応募に当たっては、推薦者50人の署名・捺印とともに、推薦届もご提出ください。

 

*詳細は会員専用ページをご確認ください(4月24日付お知らせ)。

HOME≫お知らせ≫2015年≫最高裁判所裁判官候補者の募集について

 

ひまわり

2月18日に司法修習生への給費の実現と充実した司法修習に関する院内意見交換会が開催された。国会の会期中にもかかわらず、与野党双方から国会議員本人35人、同代理88人を含む約290人が参加した▼通路は立ち見の参加者と報道関係者で溢れていた。何度か院内集会を取材してきたが、これほどの熱気は記憶にない。全国の弁護士会が給費の実現と充実した司法修習という同じ目標の下に、まさに一丸となって連携し、継続的に行動した成果といえるだろう▼昨年4月に成立した復興事業用地確保に関する特措法成立に向けた活動について、本年に入り、岩手県知事から岩手弁護士会に感謝状、東北弁護士会連合会と日弁連に礼状が贈られた。これも、会を超えた連携の成果が認められたと評価できる▼立法提言を必要とする課題は山積している。集団的自衛権の行使容認への反対など全国にまたがる課題もあれば、各会それぞれの課題もある。いずれも容易に解決できる課題ではないが、同じ目標を見据え、弁護士会を超えて連携することに一つのカギがあるのではないだろうか。全国の弁護士会が同じ目標の下、一束の矢となり、一斉に行動することができれば、確かな成果に近付くことができるのではないだろうか。

(Y・O)


 

2015年度会務執行方針(要約)

「分け入っても分け入っても青い山」 (山頭火)

 

基本姿勢

会長に就任して2年目に入り、2015年度は、私の任期の後半戦になります。難問が山積しており、山頭火の句のような心境でもありますが、初心を忘れることなく、13名の新副会長と一丸となって全力で取り組む所存です。

今年度、会務執行に臨む基本的な考え方は、以下のとおりです。

 

1 幅広い市民の理解と信頼を得ることを基本とする

日弁連の活動と弁護士自治は、幅広い市民の理解と信頼に支えられていることを肝に銘じなければなりません。すべての判断基準は、市民の利益に叶いその理解と信頼を得ることができるか否かにあります。

 

2 現実を踏まえ着実な改革を進める

社会には、異なる立場、異なる見解のプレイヤーがたくさんいることは当然であり、日弁連の見解が常に正しいものとして受け入れられるわけではありません。そうした中で日弁連の主張を最大限実現するためには、孤立を回避することが不可欠であり、独りよがりや原理主義と批判されるような言動は排さなければなりません。司法と日弁連の歴史に思いをいたし、経緯と情勢そして現実を冷静に見極め、説得力のある最善の主張を展開することにより多くの人々の理解を得、力を合わせて改革を着実に前進させることが大切です。

 

3 日弁連と弁護士会の結束を大切にする

日弁連内には、様々な問題について異なる意見が存在します。可能な限り情報と認識の共有化を図りながら、全弁護士会の代表者で構成される理事会を中核として丁寧な会内議論を行い、会内合意の形成を追求します。相違や対立を克服し、「社会に向けて一致して発信し行動する力強い日弁連」を目指します。

 

4 社会に向けた実践活動を

社会の理解と支持獲得のための実践活動にこそ、日弁連と弁護士会の持てるすべての力を投入しなければなりません。そのために、会員と弁護士会の心と力を一つにする必要があります。

 

5 司法と弁護士の未来を切り拓く

司法の容量と役割を大きくすることを大命題とし、司法基盤の整備、司法アクセスの改善、活動領域の拡大、国際活動の強化、法曹養成制度改革、若手会員の支援、人権擁護活動、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故の被災者・被害者支援、民事・刑事の司法改革、弁護士自治の強化を一体のものとして総力で取り組みます。私たちの手で司法と弁護士の未来を切り拓きましょう。

今年度において取り組むべき重要課題は、以下のとおりです。

 

第1 身近で使いやすい司法の実現

裁判官の増員、弁護士任官を推進し、裁判所支部機能の充実強化に取り組みます。司法予算の増額の必要性を引き続き訴えるとともに、地域司法計画を推進します。

司法アクセスの改善に努め、インターネット予約システムの導入などによる法律相談の活性化・再生と、民事法律扶助の拡充に取り組みます。法律援助事業の国費・公費化、権利保護保険の拡大を目指します。弁護士過疎・偏在対策をより一層進めるため、ひまわり基金法律事務所や都市型公設事務所の在り方、支援策を検討します。

広報活動強化のため、弁護士会と連携し、戦略的かつ継続的、全国的な広報活動を展開します。

 

第2 活動領域の拡大

高齢者・障がいのある人など福祉分野や、中小企業支援のため、関係機関と連携を強化します。

また、海外展開、行政連携の強化に取り組むとともに、企業や国・地方自治体等における組織内弁護士の採用拡大を図り、隣接士業問題に的確に対応します。

 

第3 法曹養成制度改革

地域適正配置や夜間法科大学院等の学生の多様性確保に十分留意しつつ、法科大学院の統廃合と定員の大幅な削減を進め、質の高い教育が実施される態勢を確立し、司法試験合格率の向上を図ります。また、法科大学院にかかる時間的・経済的負担の軽減を図ります。

司法試験年間合格者数を速やかに1500名に減員すべく、全力で取り組みます。

司法修習のさらなる充実を求めるとともに、司法修習生に対する給費の実現、修習手当の創設等、経済的支援の充実強化を目指します。

 

第4 若手会員支援

司法修習生と若手会員に対する就業支援及び独立開業支援を継続して行います。研修、OJT、業務モデル開拓等の支援、若手会員相談窓口の全国展開のための検討のほか、若手会員との交流の機会を設け、若手会員の意見を日弁連の政策・会務に反映させるよう努めます。

 

第5 憲法と人権に関する諸問題についての取組

集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定の撤回を引き続き求めるとともに、いわゆる安全保障関連法案に反対し、そのための取組を進めます。

「人権のための行動宣言2014」では、国内人権機関の設立、個人通報制度の実現、再審支援、両性の平等、子どもの人権保障、高齢者・障がいのある人の権利擁護、外国人・民族的少数者の人権保障、難民保護、犯罪被害者支援、消費者・患者の権利確立、環境保全、民事介入暴力の排除と暴力追放、貧困問題・生活保護問題、死刑廃止についての全社会的議論の呼びかけ、原爆被害者の救済と核兵器の廃絶、法教育の推進等を掲げました。これらの人権諸課題に積極的に取り組みます。

特定秘密保護法の廃止を含めた抜本的見直しの実現を目標とし、運用状況を監視するとともに、公文書管理法と情報公開法の改正等を実現する取組を進めます。また、共謀罪に反対します。全面的国選付添人制度の実現を目指します。

 

第6 東日本大震災被災者、福島第一原子力発電所事故被害者の支援と復旧復興支援

原発事故被害の完全な賠償の実現のため、原子力損害賠償紛争解決センターの運営への協力などの活動を継続するとともに、同センターの和解仲裁案に片面的拘束力を付与する法改正、原発事故子ども・被災者支援法の理念の実現を求めます。汚染水漏れについて、国をあげた抜本的な対策を求めます。

復興まちづくりでは、被災者本位のまちづくりが行われるよう、弁護士が行政と住民の橋渡し役となるよう努めます。今後発生することが予想される大災害に備え、必要な準備・法整備を進めます。

 

第7 刑事司法改革

取調べ全過程の録音・録画(取調べの可視化)をはじめとする刑事訴訟法の改正が行われます。弁護実践において可視化の運用を拡大させるとともに、制度の見直しをにらんで、全件を対象とするよう求めていきます。

新たに導入される捜査公判協力型協議・合意制度には慎重に対応し、対象範囲が拡大する通信傍受の運用を注視します。弁護実践を重視し、研修、経験交流等を充実させます。

さらに、逮捕段階への公的弁護制度の拡大、全面証拠開示、再審請求審における証拠開示制度の整備、勾留及び保釈制度の改善等の諸課題に精力的に取り組んでいきます。

 

第8 民事司法改革・民事法制整備

民事司法改革の諸課題について、引き続き会内議論を深め、昨年度から始まった最高裁判所との協議を進めます。民法(債権法関係)改正について、施行に向けた準備を進めます。

 

第9 国際活動の強化

諸外国の弁護士会・国際法曹団体等と幅広く連携し、日弁連の国際的プレゼンスのさらなる向上を目指します。

 

第10 弁護士会・日弁連の発展

会員の不祥事を根絶し、市民の弁護士・弁護士会に対する信頼を維持するため、不祥事対策を強化します。不祥事の背景にはメンタルヘルス不調があることも多いことから、会員等が電話やメールでメンタルヘルスの相談ができる全国的なサポート体制を整備します。

弁護士会への財政的支援の強化、専門分野や新たな法律分野の研修の充実、男女共同参画の推進、組織・財務改革に取り組みます。

 

おわりに

理事会における議論や会員との意見交換の充実、関係機関等との一層の信頼関係の構築に努めます。

また、弁護士職員の確保を含めた組織強化を図ります。

残る任期中全力を尽くします。

皆さまのご支援とご協力をお願いいたします。

 

全文は日弁連ホームページをご覧ください。


 

録画媒体の適正な管理を

昨今、刑事事件で取調べの録画がなされる事例が増加し、公判段階で弁護人が録画媒体の謄写を求め、これを保管する例が増えている。これらの録画媒体については、紙の記録と同様、情報が流出しないよう注意しなければならない(弁護士職務基本規程第18条参照)。特に、インターネット上で一度情報が流出すると、その影響は計り知れないものとなり得る。会員各位におかれては、次の点を徹底されたい。

①録画媒体の管理を適正に行うこと。
②情報流出を避けるため、録画媒体を視聴する際には、再生機器(コンピュータを含む)がインターネットなどにより外部につながった状態としないこと。
③コンピュータについて、ウイルス対策ソフトを使用するなど、意に反して情報が流出しないよう努めること。
④弁護活動のため、反訳業者、供述心理の専門家、医師などの第三者に録画媒体を交付等する際には、過って情報が流出することがないよう、弁護人と同様の注意喚起をし、情報使用中の適正な管理および使用後の返却を求めること。

*法律事務所事務職員にも周知徹底してください。

*詳細は、会員専用ページをご確認ください(3月26日付お知らせ)。HOME≫お知らせ≫ 2015年≫録画媒体の取扱いにご注意ください

 

弁護士任官者の紹介

4月1日付けで次の会員が裁判官に任官しました。

 

大塚 博喜氏

大塚 博喜氏57期・元東京弁護士会所属(茨城県出身)
司法修習終了後、弁護士法人北千住パブリック法律事務所に勤務(東京弁護士会)。
2007年から法テラスの常勤弁護士として、法テラス静岡法律事務所にて勤務(静岡県弁護士会)。
2010年から再び弁護士法人北千住パブリック法律事務所にて勤務。
〈初任地 東京高裁〉


 

弁護士職務基本規程に関する意見交換会
3月20日 全国町村会館

弁護士職務基本規程(以下「規程」)は4月で施行から10年を迎えた。この間、法曹人口の急増、弁護士に対する社会の要請の変化とこれに伴う活動領域の拡大、法制度の変容、裁判例や懲戒事例の集積など、規程を取り巻く環境は激変したが、内容の見直しは一度も行われていない。弁護士の「倫理と行動規範」はこのままでよいのか、規程やその運用は社会の変化に対応し切れているか。これらの問題意識の下、2010年に続き2回目となる意見交換会を開催し、全国の法科大学院の法曹倫理担当教員、弁護士会および日弁連の実務担当者など80人超が参加して活発な議論を行った。

 

本意見交換会では、集中した議論を行うため、法科大学院の法曹倫理担当教員、弁護士会および日弁連の委員会などに対して事前に実施したアンケート(回答数112)中、特に意見の多かった①利益相反、②守秘義務、③組織内弁護士、の3点にテーマを絞った。アンケート結果での特徴は、利益相反に関しては各照会先から満遍なく意見が寄せられたのに対し、守秘義務に関しては専ら法科大学院から意見が寄せられ、逆に組織内弁護士については法科大学院からの意見はほとんどなく、弁護士会からの意見が大多数であり、関心の差がうかがわれた。また、この傾向は意見にも反映された。

これらのテーマについて、参加者からは、多様な意見が寄せられ、活発な議論が交わされた。主に論点となったのは、①のテーマについて、職務禁止の同意による解除を認めるべきか、遺言執行者の規律に関する解釈運用を規程中に明記すべきか、任期付公務員や法人化等に伴う会員の流動化を踏まえ第57条を整理すべきか、②のテーマについて、守秘義務の対象は依頼者の秘密に限定すべきか、例外事由を具体的に列挙すべきか、③のテーマについて、組織内弁護士について定めた第50条および第51条を廃止ないし再構築すべきかなどである。特に、③について多様な立場からの意見があり、この10年での弁護士の活動領域の拡大を実感した。

本意見交換会を機に、規程に関し、会内外でさらに活発な論議が展開されることを期待したい。

(弁護士倫理委員会 副委員長 鳥山半六)


 

再審開始決定1周年集会
袴田事件は終わっていない!
3月27日 弁護士会館

  • 袴田事件は終わっていない!-再審開始決定1周年集会-

袴田巖氏に再審開始および死刑・拘置の執行停止決定がなされてから1年。
再審事件や刑事司法の在り方について展望するとともに、同氏への支援の継続をあらためて表明するため、集会を開催した。会場にはマスコミを含め約170人が参加した(共催/袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会)。

 

「(巖氏は)ようやく笑顔も出るようになり、人に挨拶するようにもなった」と語るひで子氏

冒頭、村越会長は「日弁連が事件を支援してから33年目に裁判所が画期的な判断をし、巖氏は身柄を解かれた。しかし、同氏は79歳の高齢であり、心身を病んでいる。幾日の猶予も許されない」と、1日も早い再審開始を訴えた。

新田渉世氏(日本プロボクシング協会理事・事務局長)および輪島功一氏(元プロボクサー)は、ボクサーは頑張る気持ちが人一倍。巖氏が元気なうちに早く完璧な自由にしてあげたいなどと訴え、巖氏に対する支援の継続を表明した。

続いて、小川秀世会員(静岡県/袴田事件弁護団事務局長)が、今になって初めて、逮捕当日に行われた任意の取調べの状況を録音したテープが23巻提出されたことを報告し、これらのテープがこれまで開示されなかったことに疑問を呈した。

豊崎七絵准教授(九州大学大学院法学研究院)は、「二重の危険禁止の法理の下では、利益再審だけが許容され、無辜の救済に資する限度を超えた手続上の負担を再審請求人に課し得ない。再審開始決定に対する即時抗告は本来許されない。まして即時抗告審での実質審理による長期化は明らかに不当」と指摘した。

当日は巖氏本人の参加はなかったが、姉のひで子氏が、「最初に身柄が解放された時、巖は能面のような顔をしていたが、ようやく笑顔も出るようになり、人に挨拶するようにもなった」と現状を伝え、巖氏が拘禁症状に苦しみながらも少しずつ人間らしさを取り戻していく日常生活の様子がビデオで紹介された。 最後に瑞慶覧淳氏(日本国民救援会)が、「身柄が解放されても事件は終わっておらず、検察は平然と巖さんの命をもてあそんでいる。社会の関心が失われることなく、1日も早く再審無罪を勝ち取りたい」とあらためて決意を述べた。


 

障害者の施設内虐待対応研修
4月11日 弁護士会館

障害者虐待防止法においては、障害者虐待防止の責任主体は行政とされている。そのため、弁護士等外部の専門職には、その専門性に応じ、行政に適時適切な助言をすることが求められる。
もっとも、施設内での施設従事者等による虐待は複雑な背景事情の下で発生することが多いため、事情を詳しく知らない外部の専門職が、事案の特殊性を踏まえ、踏み込んだ質問・助言を行うことは容易ではない。
そこで、行政に対し、専門職として適切な助言をするために必要な知識と技能を学ぶため、講義とロールプレイの方法による研修を、日本社会福祉士会と共催で実施した。

 

弁護士と社会福祉士が8人ずつのグループに分かれ、ロールプレイを行った

前半は講義形式による研修を実施した。まず日弁連から、時に慎重になり過ぎる行政に対し権限行使を促す助言をするには、各権限の法律上の根拠と要件を示すことが必要となるとの観点から、行政が行使できる権限について、条文に沿って解説した。

続いて日本社会福祉士会から、被虐待者の50.6%が知的障害者であることなど、施設内における障害者虐待の特徴が説明されるなど、特に初動期段階に専門職チームが注意すべき点を中心に確認する内容の研修を行った。

後半は、弁護士と社会福祉士が8人ずつ合計17のグループに分かれ、2つの事案に基づくロールプレイを行った。まず、初動期段階に招集された担当者会議という設定でのロールプレイでは、「後に訴えられたら」と権限行使に慎重になり過ぎる行政に対し、どう助言し、どのように権限行使を促すかが問われ、参加者は助言する際のスタンスや必要な知識を学んだ。

また、虐待事実が認定された後のケース会議という設定でのロールプレイでは、本来自らが判断すべき事項について、行政が専門職に答えを求めて来たときの対応や助言者としてのスタンス、疑われる虐待のうち、どこまでの虐待の事実があったと認定するかなどを、参加者は体験を通じて学んだ。


 

院内集会
アメリカの労働時間法制の現状と最低賃金引上げをめぐる動き
3月23日 衆議院第二議員会館

  • 院内集会「アメリカの労働時間法制の現状と最低賃金引上げをめぐる動き」

一定の要件を満たす労働者に対し使用者側の残業代支払義務を免除する「高度プロフェッショナル制度」の創設などが盛り込まれた「労働基準法等の一部を改正する法律案」が国会に提出された。この制度の下敷きとなったアメリカのホワイトカラー・エグゼンプション(以下「WE」)制度の現状把握等を目的として実施した訪米調査の結果を報告し、法案の問題点や日本の最低賃金制度について議論を深めるため、院内集会を開催した。

 

アメリカにおけるWEの現状

貧困問題対策本部の三浦直子事務局員(東京)は、アメリカではWE対象者が当初の想定より低収入の労働者にまで大幅に拡大し、長時間・過密労働の弊害が生じているという現状と、これを受けてオバマ政権が労働時間規制について抜本的な改正を労働長官に指示していることを報告した。

井上幸夫会員(第二東京)は、アメリカでいわゆる「名ばかり管理職」が問題となり、年間7000件にも上る残業代請求訴訟が提起されていることを紹介し、「アメリカ調査の結果から見る限り、WE制度は長時間労働や過労問題、低賃金問題を引き起こしており、アメリカでも改革が必要とされている現状にある」と指摘した。

 

最低賃金引き上げは貧困解消の鍵

前掲の訪米調査ではアメリカにおける最低賃金引き上げの動きも調査の対象とした。近年、最低賃金を引き上げる法律制定の動きが加速しており、貧困問題対策本部の鴨田譲委員(埼玉)は、ニューヨーク州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州などが相次いで最低賃金を引き上げたほか、シアトル市とサンフランシスコ市では15ドルの大幅な引き上げが実現したことを報告するとともに、「貧困問題の解決には最低賃金の引き上げが重要だ。広範な運動の盛り上がりが、最低賃金の引き上げには欠かせない」と指摘した。

(貧困問題対策本部 事務局次長 小川英郎)


 

国際シンポジウム・セミナー
国際業務の拡大に向けて

社会全体が国際化する中で、国際業務に対する法的ニーズも多様化し、弁護士の活躍の場も広がってきている。弁護士による国際業務の拡大に向けて、日弁連も活発に取り組んでいる。

 

国際業務シンポジウム
共催:愛知県弁護士会
3月27日 名古屋市
  • 弁護士の国際業務シンポジウム~羽ばたけ世界へ

第一部では、弁護士の国際業務・中小企業の海外展開支援・外国人関係事件・海外法律事務所とのネットワーク構築活動・人材育成の各取り組みについて第一線で活躍する会員らが講演した。

第二部では、「羽ばたこう世界へ」と題し、国際業務活動の魅力についてパネルディスカッションを行った。名嶋聰郎・脇田あや両会員(愛知県)が、地方都市からどのように国際業務に取り組めるか、また世界的に活躍できるのかを語り、熱心な議論を交わした。

愛知で国際業務についてのシンポジウムを実施するのは初めて。当初は、100人程度の参加者数を想定していたが、当日は181人が来場し、大盛況となった。多くは若手会員であり、国際業務に対する高い関心と期待の大きさがうかがわれた。

(法律サービス展開本部国際業務推進センター委員・愛知県弁護士会国際委員会委員長 小川晶露)


 

国際セミナー「若手弁護士のための国際進出支援(国際投資・紛争解決・スポーツ法)」
共催:若手法曹国際協会(AIJA)
4月3日・4日 弁護士会館
  • 国際セミナー「若手弁護士のための国際進出支援(国際投資・紛争解決・スポーツ法)」

AIJAは、世界各国の若手法曹関係者間の相互協力および相互尊重を促進するため、1962年に設立された45歳以下の法曹資格者で構成する国際法曹団体であり、日弁連との共催イベントは、2013年の国際セミナーに続き今回で2回目となる。

セミナーには、ダーク・ノイツAIJA会長をはじめ、13の国・地域から約80人の参加者を得た。村越会長の冒頭の挨拶では、本セミナーが国際業務に従事する会員への情報提供や情報交換の場となり、また、一人でも多くの会員が国際的な業務に興味を持つ機会になることへの期待が述べられた。

セッションでは、日本および各国の若手弁護士にとって関心の高い国際投資、国際的な紛争解決に関するテーマのほかに、スポーツ法という比較的新しい分野についても取り上げ、活発な議論が交わされた。また、レセプション等では、参加者同士が交流を深め、国際的な人的ネットワークを築く機会となった。

 

JFBA PRESS -ジャフバプレス- Vol.99

司法記者に聞く【Part2】

今回は、本紙2月号(第493号)で特集した司法記者インタビューの第2弾として、毎日新聞社の和田武士さんと読売新聞社の越村格さんからお話を伺いました。

(広報室嘱託 倉本義之)


 

経歴をお聞かせください

(和田)2000年に入社し、初任地は下関支局で6年間過ごしました。その後、福岡市にある報道部で福岡県警や裁判所を担当し、2010年から東京本社所属となり、裁判所を担当しました。現在は法務省の記者クラブに所属しています。印象に残っていることは、裁判員裁判がスタートしたときのことです。一般の方が法壇上の裁判員席に着席している光景を今でもよく覚えています。

(越村)2005年に入社し、甲府支局で山梨県政などを担当しました。2010年から東京本社勤務となり現在は司法記者クラブで刑事裁判を担当しています。印象に残っている取材は、甲府支局時代に経験した2009年の衆院選です。選挙中から民主党の大勝が予想され、日本が大きく変わるのではないかという熱のようなものを当時肌で感じたことを記憶しています。

 

日々の仕事の様子を教えてください

(越村)原稿の準備に時間をかけることが多いです。大きな事件の初公判や判決は午前中から始まることが多いのですが、その日の夕刊に間に合わせるために、事前に関係者への取材や過去の記事の確認などを行い、原稿の骨子を作成するようにしています。

(和田)法務省の担当ですので法制審の取材などを行っています。「新時代の刑事司法制度特別部会」が開催されていた時期は、法務省への取材や次の部会で審議される論点について取材していました。毎回部会の前に日弁連で開催された勉強会(記者レク)は大変有益でした。記者レクの内容自体が記事になるわけではありませんが、正確な記事を書くための重要な素材になりますので非常に助かりました。

 

日弁連の活動についてどのようなご感想をお持ちですか
(和田)法制審・刑事特別部会の例で言うと、各論点にさまざまな意見がある中、裁判所や捜査当局とは違う視点から問題点を洗い出し、率直な指摘を重ねていたという印象があります。今回の審議に関しても重要な役割を果たしたことは間違いないと思います。

(越村)司法改革を含め個々の政策について、内部で意見が分かれることは当然あるでしょうし、それが故に日弁連として意見を一つに集約することは難しいと思います。それでも、法律家の立場で在野から意見を述べるというスタンスは忘れないでほしいですね。

 

事件報道・裁判報道の難しさは

(越村)記事の中で「公判前整理手続」などの専門用語を見ただけで、もういいやと続きを読むのをやめてしまう読者も多いと思います。私たちの仕事は読んでもらえないと何の価値もありませんので、いかに読みやすい文章にするかということに最も腐心しています。裁判は一般の方からすれば一見とっつきにくいかもしれません。しかし、傍聴すれば、犯罪は意外に身近にあることを感じたり、社会問題が見えてきたりと学ぶことが多くあります。読者が、私たちの書いた記事を読んだことをきっかけに、裁判に興味を持ち、一度傍聴してみようか、と思ってもらえたらうれしいですね。

(和田)少し抽象的かもしれませんが、例えば裁判の取材をする中で、気の毒な当事者をかわいそうだなと感情を移入する一方で、常にニュースバリューを見極める記者としての冷静な目も持つようにしています。そのバランスや見極める力が非常に難しい仕事だといつも感じています。

 

刑事弁護人の取材対応について要望することは

(越村)被疑者・被告人が逮捕や起訴されたときに、被害や周辺状況について報道されがちですが、被疑者・被告人の言い分などがもっと世間に出てもいいのではないかと思います。私たちが被疑者・被告人を直接取材するのは困難で、それができるのは弁護人だけではないかと思います。

(和田)捜査当局からの情報だけで記事を書いているのではないかと批判を受けることがありますが、記者は、被疑者・被告人の言い分も聞き、できるだけ公正な記事を書きたいと考えています。弁護士の皆さまにはぜひこの点をご理解いただければと思います。

 

日弁連委員会めぐり75

互助年金・福祉厚生委員会

今回の委員会めぐりは、会員のための福利厚生制度を支えている互助年金・福祉厚生委員会です。
意外と知られていない日弁連の保険などについて、岸上茂委員長(第一東京)と土井隆前委員長(第二東京) にお伺いしました。

(広報室嘱託 大藏隆子)


 

岸上委員長(左)と土井前委員長

委員会設置の経緯は

(岸上)旧弁護士互助年金・休業共済委員会および旧弁護士補償制度・互助年金委員会の活動を引き継ぐものとして、2008年4月に設置されました。

 

主な活動内容を教えてください

(土井)弁護士互助年金事業の管理運営、弔慰金・見舞金の審査・贈呈、日弁連団体定期保険および弁護士休業補償保険の管理運営を行っています。

 

団体定期保険には若手も含めて多くの会員が加入していますね

(岸上)現在、約1万5000人(うち配偶者:約3000人)が加入しています。全国の会員の3分の1が加入しているというのは、他業種・団体に比べても極めて高い加入率です。団体保険の場合、加入者数が多いほど掛金や配当率が有利になりますので、市販されているネット保険などと比べても、有利な内容になっています。

 

互助年金についてはなじみの薄い会員も多いようですが

(土井)日弁連の互助年金は、一口5000円で20口まで入れる月払い(A種)と一時払い(B種)とを組み合わせて加入できる15年保証の終身年金保険です。運用実績が大変優れており、現在、年利1.25%(複利)で運用されています。あまり知られていないのですが、この保険はいつでも払出し可能です。現在の利回りですと、2年半程度預ければ元本割れしませんし、低金利の今、定期預金よりずっと有利ですので、プライベートバンクのように活用されている会員もいます。84歳まで加入でき、国民年金に未加入の方でも入れるというメリットもあります。知らないともったいない制度ですので、ぜひご活用いただきたいですね。

 

会員へのメッセージをお願いします

(岸上)日弁連は会員の福利厚生にさまざまな側面から取り組んでおり、当委員会が管理運営を担っている優れた保険商品の提供もその一つです。弁護士登録のときに入った保険を何となく続けている会員も多いのではないかと思いますが、今の保険と日弁連の保険のどちらが有利か、ぜひ見直していただけたらと思います。また、保険の内容について分からないことがあれば、いつでも日弁連経理課までお問い合わせください。

*詳細は会員専用ページ(HOME≫届出・手続≫共済制度募集・届出)をご覧ください。


 

ブックセンターベストセラー
(2015年1月・六法、手帳は除く)協力:弁護士会館ブックセンター

順位 書名 著者名・編者名 出版社名
1 別冊ジュリストNo.223 民法判例百選Ⅰ 総則・物権[第7版] 潮見佳男、道垣内弘人 編 有斐閣
2 弁護士のための確定申告と税務(弁理士・司法書士対応)平成27年用 天賀谷茂、呉尚哲、熊澤直、名取勝也、吉川達夫 編著 レクシスネクシス・ジャパン
3 一問一答 平成26年改正会社法 坂本 三郎 編著 商事法務
4 和解交渉と条項作成の実務 ―問題の考え方と実務対応の心構え・技術・留意点― 田中 豊 著 学陽書房
5 別冊判例タイムズ No.38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版 東京地裁民事交通訴訟研究会 編 判例タイムズ社
6 別冊ジュリストNo.224 民法判例百選Ⅱ 債権[第7版] 中田裕康、窪田充見 編 有斐閣
7 法律事務所のためのパソコンマニュアル―弥生会計編 Ver.4.0― 第一東京弁護士会弁護士業務改革委員会コンピュータ部会 著 第一東京弁護士会
民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案の概要 潮見佳男 著 きんざい
9 別冊ジュリストNo.225 民法判例百選Ⅲ 親族・相続 水野紀子、大村敦志 編 有斐閣
10 刑事弁護Beginners(ビギナーズ) ver.2[季刊刑事弁護増刊]
現代人文社

編集後記

2月号と本号の2回にわたり司法記者インタビューを掲載しました。多忙な業務の合間を縫ってインタビューに応じてくださった記者の方々に、この場をお借りして御礼を申し上げます。
インタビューの中で、記者の方が、専門用語を用いつつも、読者に読みやすい記事になるよう悩み努力されているというお話が印象に残りました。「公判前整理手続」ですら、市民と司法との距離を遠ざける用語であることも分かりました。記者の方の努力は、市民と司法との距離を縮めるための努力と言えるでしょう。市民の方に弁護士をより身近に感じてもらうべく日々努力している日弁連広報に身を置いている者として、大変共感しました。
弁護士・弁護士会の活動が一般市民に正しく伝わるよう、日弁連とマスコミ各社との関係を維持・強化していきたいと思います。(Y・K)