日弁連新聞 第494号

村越会長インタビュー
東日本大震災から4年を迎えて

東日本大震災から4年というこの節目に、あらためて被災地への思いや今後の支援に対する決意について、会長にインタビューしました。
(広報室嘱託 倉本義之 小口幸人)


 

―就任後、最初に訪れた被災地は福島県でしたが、そのときの印象は

「最後まで被災者・被害者に寄り添い支援を継続すること、風化させないことが大事」と語る村越会長

浪江町役場と川内村に行きました。浪江町は全町避難が継続していて、帰町の見通しが全く立たない厳しい状況でした。一方、川内村は除染と帰村を進めていましたが、案内された除染土の仮置場に、大量の黒い袋が置かれていて驚きました。どちらも、深刻な被害が継続していることを痛感し、元に戻るためにどのくらい時間がかかるのだろうかと思いました。

 

―その後、2014年7月にも、相馬市長のお招きで、「相馬野馬追」に行かれました。伝統の祭りをご覧になった印象は

避難指示により地域が分断されていると聞いていましたが、そんな困難な状況でも、各地域が一緒になって伝統を守り、祭りを続けるんだという強い思いを感じました。

また、立谷秀清相馬市長から、「弁護士さんがずっと相談を続けてくれて、大変感謝している」と言われました。これは、福島県弁護士会の先生方が献身的かつ継続的に法律相談に取り組まれてきたことに対する評価だと思います。

 

―岩手県と宮城県にも訪問されています。そのときに感じられたことは

津波被害の甚大さに圧倒されました。特に岩手県では、復興用地の確保や造成工事、復興住宅建設が進んでおらず、復興の遅れを感じました。

 

―最近起きた災害に関しては、広島豪雨災害の発生直後に被災地入りされました

避難所を訪れた際、被災者の方からお話を直接伺い、早く落ち着いて生活できるよう、日弁連としても力を尽くさなければと思いました。

 

―就任後、いわゆる復興特区法の改正が実現し、被災地自治体の任期付公務員の拡充などがなされていますが、被災者支援に関する日弁連の今後の課題についてお聞かせください

被災地の任期付公務員やひまわり基金法律事務所長は、そろそろ任期満了時期を迎えます。継続的な支援活動のために、後任弁護士を確保することが必要です。原発事故賠償の問題については、原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東京電力が拒否する事例が目立ってきています。引き続き同センターに協力するとともに、和解案に片面的な強制力を付与する立法も含めて取り組んでいかなければならないと考えています。

また、東日本大震災発生から1年後に、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律」が成立しましたが、大災害が発生したときに、すぐに法テラスと連携して支援ができるよう法整備が必要です。なお、この特例法は今年の3月末で有効期限を迎えます。何とかそれまでに延長する旨の改正法を成立させたいと考えています。

 

―被災地の復旧・復興、そして、被災者支援についての今後の決意をあらためてお聞かせください

いわゆる「3・11」から4年が経ち、全国的に見ると、残念ながら少し風化しつつある印象を持っています。被害が継続している限りは最後まで被災者・被害者に寄り添って支援を継続すること、イベントや取り組みを続けて風化させないことが大事だと思っています。

 

法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会
取りまとめに向けて

2013年9月、法務大臣決定により設置された「法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会」(以下「有識者懇」)における議論が、本年7月の設置期限を前に佳境を迎えている。

 

本年2月9日、第5回有識者懇が開催された。有識者懇は、国・地方自治体・福祉等分科会、企業分科会、海外展開分科会の3つの分科会を設け、これまで、今回を含め総計27回もの会議を開き、検討を重ねている。

会議当日は、3分科会からそれぞれ、「現状」、「これまでの取り組み」、「課題と対応策」、「今後の展望・方向性」について報告がなされた後、取りまとめの骨子について分野横断的な意見交換を行った。

意見交換は、①これまで行われてきた法曹有資格者の活動領域拡大のための取り組みをどう評価するか、②規模やニーズに応じた法曹有資格者の活動の在り方、③活動領域のさらなる拡大のために今後どのような具体的な方策を講じていくべきか、の3点をテーマに行われた。

日弁連の取り組み状況については、法律サービス展開本部の設置をはじめ、各種さまざまな取り組みが評価された。一方で、今後検討すべき課題等として、①法曹有資格者の活用はまだ限定的であり、有用性の周知を含め、さらなる活用に向けた取り組みが重要であること、②法曹有資格者の活用については、関係省庁、自治体、企業、関係団体等が連携する必要があるところ、まだ十分な連携が図られていない、との指摘がなされた。

なお、この取りまとめ骨子は、活動領域に関する議論の現状として、法務省から、2月24日に開催された法曹養成制度改革顧問会議において報告された。

 

法制審・民法(債権)関係
約款規制を含む改正要綱決定

約款規制の明文化を含む改正要綱が2月24日の法制審議会総会において決定された。昨年8月に決定された要綱仮案では継続審議とされた約款規制の内容は以下のとおりとなっている(その他の改正要綱内容については2014年10月号1面に掲載)。

 

「約款」の定義

規制対象となる約款(定型約款)を「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」と定義した。事業者間取引の約款や契約書のひな形は、基本的には含まれない。

 

組入要件

「定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき」または「あらかじめ定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき」に、定型約款の個別条項について合意したものとみなされる。相手方の権利を制限しまたは義務を加重する条項であって信義則に反して相手方の利益を一方的に害するものは除かれる。

 

約款内容の表示

定型取引をする合意の前またはその後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく相当な方法で開示しなければならず、正当な事由なく開示を拒んだときには、契約の内容とはならない。

 

約款の変更

「相手方の一般の利益に適合するとき」または「契約をした目的に反せず、かつ、合理的なものであるとき」に、定型約款の内容を変更できる。その効力発生時期を変更内容とともに周知させなければ、変更は認められない。

(法制審議会民法(債権関係)部会幹事 深山雅也)


 

相続法制見直しに関し、法制審の部会設置へ

相続に関する民法改正について、法制審議会に対し2月24日に諮問がなされ、部会が設置される。これまで法務省では有識者の相続法制検討ワーキングチームで検討を重ね、配偶者の相続分に関しては、夫婦の実質的共有財産について配偶者の相続分を増やすなどの複数の改正案が検討されたほか、配偶者の居住権保護、寄与分制度や遺留分制度の見直しについても検討された。一方で、こうした改正案による相続紛争の複雑困難化の恐れも指摘されている。本件については、今後日弁連でも対応を検討していく予定である。

詳細は、おって法務省ホームページに開設される法制審議会の当該部会のページを参照されたい。

(事務次長 戸田綾美)


 

ひまわり

総合法律支援法の改正作業が迷走している。昨年6月の有識者検討会の提言からどんどん後退しようとしているのである▼提言の目玉は①高齢者・障害者に対する民事法律扶助の拡充(無料法律相談の拡大、一定の行政手続への代理援助など)、②DV・ストーカー等の犯罪被害者に対する新たな支援制度の創設、であった▼ところが、その後の立法作業で、犯罪被害者に対する支援制度のうち、各種申立てや交渉の場面での弁護士費用の援助制度が全て落とされようとしている。高齢者・障害者に対する援助制度についても、高齢者・障害者の範囲や対象となる手続に大きな絞りがかけられようとしている。これでは提言の骨抜きというほかない▼この背景には、財政当局からの強い反対があったといわれている。法務省は当初、犯罪被害者への支援について、2015年度中の施行を見込んで概算要求に盛り込んだ。しかし、財務省の予算査定ではこれが一切認められなかったのだ▼有識者検討会が指摘したように、高齢者・障害者と犯罪被害者はいずれも法律サービスへのアクセスが不十分な分野である。司法アクセスの拡充と実効的な法的救済の実現は司法制度改革の重要な理念であり、政府は必要な財政的手当てを行い、提言の実現を図るべきである。

(H・T)


 

司法修習生への給費の実現と充実した司法修習に関する院内意見交換会
2月18日 衆議院第一議員会館

  • 司法修習生への給費の実現と充実した司法修習に関する院内意見交換会

日弁連が継続的に力を注いでいる司法修習生への給費の実現。その活動が大きなうねりとなりつつある。
国会の会期中にもかかわらず、国会議員本人35人、同代理88人を含む約290人の参加者を得て、給費の実現に向け、意見交換を行った。また、105人という過去最多の国会議員からのメッセージもいただいた。

 

村越会長の「日弁連は皆さんと力を合わせて司法修習生に対する給費の実現・修習手当の創設をはじめとする経済的支援を目指し、全力で取り組んでいく」との力強い挨拶で開会した後、多数の国会議員から給費の実現を求める意見が続いた。

国会議員からは、弁護士が国家・社会のインフラであることを訴える声や、修習の実態に照らせば、給費は当然であるとする声、司法制度改革の趣旨に則り多様な人材の輩出を実現するためには給費制こそが必要であり、お金がある人だけが法曹になるという制度を変える必要があるという声、法曹を目指す人の減少に危機感を示す声が次々に上がった。

さらに、議員活動の中で具体的に市民活動や公益活動を通じ、弁護士の存在の重要性を知ったとして給費制復活の重要性を訴える声や、地元地域での弁護士の活動に対する評価とともに法曹養成の重要性を説く声など、日弁連・全国の弁護士会が一丸となって行ってきた給費の実現に向けた活動への賛意がうかがわれる意見も多数出された。

最後に、法曹を目指している大学生、貸与制経験者である67期の高田一宏会員(東京)、福島から避難中であり、原発訴訟で弁護士の支援を受けている市民の方からの意見に続き、司法修習費用給費制存続緊急対策本部の新里宏二本部長代行(仙台)による、「ここ数年実施してきた集会にどんどん賛同いただいている。今こそ大きなうねりを起こそう」という宣言をもって本意見交換会を閉会した。

 

第44回市民会議
雇用改革に関する日弁連の 取り組み等について議論
1月19日 弁護士会館

今回は、雇用制度改革に関する日弁連の取り組みおよび総合法律支援法改正の議論状況について意見を交換し、弁護士の活動領域の拡大に関する取り組みについて報告した。

 

雇用制度改革に関する日弁連の取り組みについて

貧困問題対策本部・労働法制委員会の中村和雄事務局員(京都)が、政府の雇用制度改革に基づく労働法制規制緩和の動き、とりわけ労働者派遣法改正案提出と労働時間法制の規制緩和の動き、解雇の金銭解決制度の検討状況と、これらに対応する日弁連の取り組み状況を説明した。

古賀委員は、「働き方の多様化を否定するものではないが、命や健康を守るという労働者の権利は尊重されるべき」と述べ、日弁連の取り組みへの共感を示した。

中川委員は「経済のグローバリゼーションの影響もあり、働き方に対する労働者の意識の変化は不可避。新しい労働形態が生み出されること自体は受け入れた上で、制度からはじき出される弱者をいかに救済すべきかが司法の役割ではないか」とした。

 

総合法律支援法改正の議論状況について

日弁連側から、日本司法支援センター(法テラス)の活動の中で、高齢者・障害者への法的支援、大規模災害の被災者への迅速な法的支援、DV・ストーカー被害者への法的支援などの検討すべき課題が明らかになったこと、これらの課題を検討するため法務省が設置した「充実した総合法律支援を実施するための方策についての有識者検討会」が昨年6月に公表した報告の内容(日弁連新聞2014年7月号1面に関連記事)、これを踏まえて今通常国会に上程される予定の総合法律支援法改正案において、DV・ストーカー等犯罪被害者への法的支援に関する規定の新設が見送られる可能性などについて説明した。

湯浅委員は、法改正の基本的な方向性に賛成の意を表した上で、高齢者・障害者等に弁護士へのアクセス、費用の代替策を確保することとともに、弁護士側がこれらの方々に寄り添う相談支援マインドを培うことが重要と指摘した。

松永委員は、「DVやストーカー犯罪は、命に関わる被害をもたらす。本人さえ気付かない危機を専門家が救い上げることが必要」であると述べ、この点の改正が見送られることへの危機感を示し、複数の委員からも同様の意見が相次いだ。

 

市民会議委員 (2015年2月24日現在)
(五十音順)

  • 井田 香奈子(副議長・朝日新聞東京本社論説委員)
  • 長見萬里野(全国消費者協会連合会会長)
  • 北川正恭(議長・早稲田大学公共経営大学院教授)
  • 清原慶子(三鷹市長)
  • 古賀伸明(日本労働組合総連合会会長)
  • ダニエル・フット(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 中川英彦(前京都大学大学院教授、駿河台大学法科大学院講師)
  • 松永真理(テルモ株式会社社外取締役)
  • 湯浅 誠(社会活動家、法政大学現代福祉学部教授)

 

日弁連短信
法律相談センター再生のために

春名次長

2015年1月の理事会において日弁連公設事務所・法律相談センターから法律相談センター再生PTの取り組み状況が報告された。

その問題意識は、法律相談センターの有料相談が、23万件から8万件と約3分の1に減少し、無料相談も2008年度以降減少傾向にあり、弁護士会の法律相談センターが市民の相談需要に応えられていないのではないかというところにある。もしそうだとしたら、市民が抱える法的紛争をいかに的確・迅速に解決できるかという「法の支配」の実現の観点からも看過できない問題である。

同PTの再生提言案の1つ目の柱は「相談料の障壁を解消すること」である。札幌弁護士会が全面無料化に踏み切った結果、相談件数は倍増した。また、千葉県弁護士会が相談料を減額した結果、相談件数は3倍になった。相談料の障壁を低くし、より多くの市民に法律相談センターを利用してもらえるようにすることを課題としている。この点に関しては、会員の中にもさまざまな意見があると思われ、今後の検討が必要である。

2つ目の柱は「より開かれた専門相談を実施すること」である。市民は相続・離婚・交通事故・労働というような日常の紛争分野で専門性の高い相談を求めている。個々の弁護士の広告では専門表示は不可とされている中で、弁護士会の専門相談をどのように実現し、担保するかが課題となる。

3つ目の柱は「効果的な広報活動を展開すること」である。弁護士会が用意する法律相談を知ってもらい、利用してもらわないと意味はない。

そして、この提言案は「弁護士会で今すぐできること」として、11の方策を挙げているが、その中でも注目すべきはインターネットによる相談予約システムの導入である。ネット予約は24時間受け付けを可能にする。既に、大阪弁護士会が導入し、ネット予約者の半数以上が午後6時から午前9時までの夜間・早朝に予約している。

日弁連では、最終的な提言を待つことなく、より多くの弁護士会が参加できる相談予約システムの構築を検討している。

(事務総長 春名一典)


 

新事務次長紹介

 

2月28日をもって、菅沼友子事務次長(第二東京)が退任し、後任には、神田安積事務次長(第二東京)が就任した。

 

神田 安積(第二東京・45期)

神田 安積氏

 

菅沼友子前次長からバトンを引き継ぎ、事務次長に就任いたしました。総長や他の次長に早くキャッチアップできるよう努め、また、嘱託や事務局の皆さんの協力をいただきながら、与えられた職務を全うする所存です。よろしくお願い申し上げます。


 

院内学習会
秘密保護法における国会のチェックと公益通報制度は機能するか
2月17日 衆議院第二議員会館

  • 院内学習会「秘密保護法における国会のチェックと公益通報制度は機能するか」

秘密保護法が2014年12月10日に施行された。
しかし、同法に関しては、国会の監視機能および公益通報者の保護制度の不備など、その運用にも多くの疑問が呈されている。
そこで、これらの観点から、同法の抱える問題点をあらためて浮き彫りにし、その廃止を求めるため本学習会を開催し、国会議員多数を含む約90人の参加を得た。

 

不十分な公益通報制度

村越会長からの開会挨拶、秘密保護法対策本部からの基調報告に続き、三木由希子氏(NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長)から、「公益通報者保護制度は、通報者がいかに安全に通報できるかという観点から制度設計されるべきで、日本は世界で3番目に公益通報者保護法を整備したが、まだ不十分な制度に過ぎない」との懸念が示された。

公益通報者に対する保護が不十分であると、内部告発を行うことが期待できず、国会の監視の役割が全うできない恐れが指摘されている。

 

国会の監視機能について

国会は、秘密保護法の運用監視組織として、衆議院および参議院両院に「情報監視審査会」を創設することとした。しかし、同審査会には、審査会委員が各院8人ずつと少数であることや、同審査会の判断に強制力が与えられていないという問題点がある。

右崎正博教授(獨協大学法科大学院)も、「国会のチェック機能には疑問が残る。チェックは、独立機関が行うことが望ましい。さらには、司法もチェックに関わることが望ましい」と国会によるチェック機能の限界を指摘した上で、「本来在るべき情報管理制度を一から考えるべきだ」との考えを示した。

なお、本学習会では、昨年から各弁護士会等の協力を得て実施してきた「秘密保護法の廃止を求める請願署名」56527筆を紹介議員に渡すセレモニーを行い、翌2月18日付けで衆議院議長および参議院議長宛てにこれを提出した。

(秘密保護法対策本部委員 下之薗 優貴)


 

共謀罪創設反対を求める院内学習会
2月17日 衆議院第二議員会館

  • 共謀罪創設反対を求める院内学習会

昨秋の臨時国会では「共謀罪」創設を含む組織犯罪処罰法改正案(以下「共謀罪法案」)は提出に至らなかったが、新たに今年の臨時国会でテロ対策の一環として同案が提出される可能性があると言われている。
このような中、共謀罪法案提出に向けた政府の動きなどこれまでの経緯および現状について理解を深め、問題意識を共有するために、今年度3回目となる院内学習会を開催した。

 

共謀罪法案提出の動きについて、共謀罪法案対策本部の角山正本部長代行(仙台)は、仮にテロ対策等の名目で法案が提出されたとしても、共謀罪の本質は表現段階にとどまるものでも犯罪化するということを周知していかなければならないと訴えた。

ジャーナリストの斎藤貴男氏は、「次に共謀罪が出てくるとするとその名目はテロ対策。しかし、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約は、経済的な利益を目的とした組織犯罪集団を対象とした条約であったはずで、法務省もこの条約批准のための共謀罪法案であると答弁してきた。テロ対策は条約の目的に含まれていない」と一連の動きの矛盾点を指摘した。

最後に、村越進会長が「共謀罪法案は過去3回廃案となった。2020年に東京オリンピックが開催されることや、昨今の中東情勢等を理由に、政府はテロ対策の一環として共謀罪が必要だという説明をこれから積極的に国民にしていくと思われる。また、残念ながらそういう説明が受け入れられやすい状況が生まれつつある」と現状に対する認識を示した上で、「秋の臨時国会には共謀罪法案が提出される可能性が高まっている。名称を変えるという話も出ているが、中身が変わることはないだろう。同法案の国会提出を阻止するため、引き続き全力で取り組みたい」と述べ、盛会のうちに閉会した。

 

会員向け講習会
法律扶助ってなぁに?~活用のノウハウ~
2月12日 弁護士会館

「法テラス白書(平成25年度版)」によれば、2013年度の法律相談援助件数が約27万件、代理援助開始決定件数が約10万件と、多くの事件に民事法律扶助制度が利用されている。また、日弁連は、人権救済の観点から、民事法律扶助制度を利用できない方々や事件等を対象に法テラスに事務を委託の上、日弁連委託援助事業を実施している。
両制度への会員の理解を深めるとともに、問題事例への注意を喚起するため、講習会を開催した。

 

法テラスと民事法律扶助制度の概要について説明する生田課長

冒頭、村越会長からの挨拶に続き、法テラス本部民事法律扶助第一課長の生田康介会員(東京)から、法テラスと民事法律扶助制度の概要について説明がなされた。生田課長は、「民事法律扶助は法律等に基づいて公金を原資に執行される事業なので、報告書の提出は適切に行っていただきたい」と呼び掛けた。

次に、亀井時子会員(東京)が、民事法律扶助の利用における留意点について説明した。亀井会員は、事務所相談用の相談票の書式が2013年10月に改訂され、援助申込書の署名欄と、相談実施の確認欄の2か所について被援助者の自署が必要になり、旧書式で提出しても相談料が支払われないこと、事件の相手方から金銭を受け取る場合は弁護士が受領し、法テラス地方事務所長が精算方法を決定するまで預かることなど、民事法律扶助の利用の際にミスを起こしやすい点について、注意喚起がなされた。

その後、日弁連の日本司法支援センター対応室の髙橋太郎室長(東京)が、日弁連委託援助制度の概要や、その利用に当たり、対象者の要件、資力要件、必要性・相当性の3つの要件が必要になること、原則として重要事項説明書を作成することなどを説明した上で、「申込書の作成の際、要件に関する記載はできるだけ具体的にしてほしい」と留意点を述べた。

 

第17回
多重債務相談に関する全国協議会
1月24日 弁護士会館

 

消費者問題や貧困問題を取り扱う委員会の担当者が一堂に会し、情報を交換した

協議会前半では、主に消費者問題対策委員会の委員等による報告がなされた。堂野達之会員(東京)は、昨年2月から運用が開始された経営者保証に関するガイドラインの制度趣旨を説明し、同委員会の井原真吾委員(千葉県)は、貸金業法の改正について「現在与党が検討している一部業者の認可制を導入すると、今の貸金業法改正の趣旨が骨抜きとなってしまう危険がある」と述べた。

吉田哲也委員(兵庫県)は、いわゆる「カジノ解禁推進法案」について、一度は廃案になったものの、再度法案が提出される危険性に触れ、「レクリエーション施設と併設されるカジノ施設は、青少年の育成に悪影響を及ぼすばかりでなく、結果的には国内経済の発展にはつながらない」と海外の例を挙げて説明した。

吉野建三郎委員(佐賀県)と伊澤正之委員(栃木県)は、破産事件および個人再生事件記録調査の報告を行い、給与所得者等再生事件の数が激減していることや、破産者の高齢化や比較的少額の負債額での破産が目立つ一方、管財事件の増加傾向を説明した。

協議会後半では、主に貧困問題対策本部委員から報告がなされた。岩重佳治事務局員(東京)は、奨学金の制度改善の方向性等について報告し、多重債務相談枠の中でも奨学金に関する問題を取り扱うよう訴えた。

小久保哲郎事務局次長(大阪)は、生活保護法の改正について説明し、例えば同法第24条第2項では生活保護の申請に必要な書類を原則として添付しなければならないなどの定めがあるが、省令では添付書類の具体的な定めは置かれなかったので、窓口で添付書類の提出がないとの理由で受け付けに拒絶された場合には、対応の誤りを主張するよう助言した。

最後に、舟木浩事務局員(京都)が、生活困窮者自立支援事業について、現在モデル事業として京都府、滋賀県野洲市および大阪市で自治体と弁護士会との連携が行われ、今後は各地の弁護士会へ広がっていく見込みであることを報告した。


 

心神喪失者等医療観察法
付添人全国経験交流集会
1月31日 弁護士会館

2001年に発生した附属池田小学校事件を契機に、2003年、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(医療観察法)が成立し、2005年に施行された。しかし、同法は当初から問題点が指摘されており、日弁連では、改善策の検討等のため、2006年度から毎年、付添人全国経験交流集会を開催している。今回で9回目となる本経験交流集会では、付添人経験者のほか、入院決定を受けた対象者の医療に関わる医師も参加し、意見交換を行った。

 

冒頭、村田昌彦氏(独立行政法人国立病院機構北陸病院医師/診療部長)より、「医療観察法の功罪」と題する講演があった。村田氏は、実際の処遇例を挙げつつ、精神保健福祉法と医療観察法とを比較し、「精神保健福祉法は事件後早期に治療が開始されるメリットがある」「医療観察法では、社会復帰調整官に退院に向けた調整をしてもらえるのが重要な利点」と説明した。

続いて、白諾貝会員(札幌)、屋宮昇太会員(東京)および刑事法制委員会医療観察法対策部会の鐘ヶ江聖一委員(福岡県)から、それぞれの付添人活動について報告があった。白会員からは、入院決定に対する抗告審において心神喪失者と認めたことが事実誤認に当たるとして原審が取り消された事例について、屋宮会員からは、入院決定後の治療が功を奏して、決定後約1年で対象者が退院した事例について説明がなされた。

また、鐘ヶ江委員は、再入院申立てにおける付添人活動について報告し、「再入院処遇申立ての場合にも鑑定が必要」と現行法の問題点を指摘した。その後、同部会の小笠原基也事務局長(岩手)から、指定入院医療機関における定期的な法律相談について、同機関に対して実施したアンケートの集計結果が報告された上で、「今後の相談体制の確立に向けて、相談担当者の育成などが課題である」との指摘がなされた。

 

2014年懲戒請求事案集計報告

日本弁護士連合会は、2014年(暦年)中の各弁護士会における懲戒請求事案ならびに当連合会における審査請求事案・異議申出事案および綱紀審査申出事案の概況を集計して取りまとめた。
弁護士会が2014年に懲戒手続に付した事案の総数は2348件であった。
懲戒処分の件数は101件であり、昨年と比べると3件増えているが、会員数との比では0.27%でここ10年間の値との間に大きな差はない。
懲戒処分を受けた弁護士からの審査請求は27件であり、2014年中に日弁連がした裁決内容は、棄却が28件、処分取消が1件、軽い処分への変更が4件であった。
弁護士会懲戒委員会の審査に関する懲戒請求者からの異議申出は40件であり、2014年中に日弁連がした決定内容は、棄却が20件、決定取消が8件、処分変更が1件であった。
弁護士会綱紀委員会の調査に関する懲戒請求者からの異議申出は1353件、綱紀審査申出は340件であった。日弁連綱紀委員会および綱紀審査会が懲戒審査相当と議決し、弁護士会に送付した事案はそれぞれ5件、2件であった。

 

  • *一事案について複数の議決・決定(例:請求理由中一部懲戒審査相当、一部不相当など)がなされたものについてはそれぞれ該当の項目に計上した。
  • *終了は、弁護士の資格喪失・死亡により終了したもの。日弁連においては、異議申出および綱紀審査申出を取り下げた場合も終了となるためここに含む。

 

表1:懲戒請求事案処理の内訳(弁護士会)

新受 既済
懲戒処分 懲戒しない 終了 懲戒審査開始件数
戒告 業務停止 退会命令 除名
1年未満 1~2年
2005 1192 35 18 4 3 2 62 893 18 110
2006 1367 31 29 4 2 3 69 1232 24 115
2007 9585 40 23 5 1 1 70 1929 30 138
2008 1596 42 13 2 2 1 60 8928 37 112
2009 1402 40 27 3 5 1 76 1140 20 132
2010 1849 43 24 5 7 1 80 1164 31 132
2011 1885 38 26 9 2 5 80 1535 21 137
2012 3898 54 17 6 2 0 79 2189 25 134
2013 3347 61 26 3 6 2 98 4432 33 177
2014 2348 55 31 6 3 6 101 2060 37 182
  • ※日弁連による懲戒処分・決定の取消し・変更は含まれていない。
  • ※新受事案は、各弁護士会宛てになされた懲戒請求事案に弁護士会立件事案を加えた数とし、懲戒しないおよび終了事案数等は綱紀・懲戒両委員会における数とした。
  • ※2007年の新受事案が前年の7倍となったのは、光市事件の弁護団に対する懲戒請求が8095件あったため。
  • ※2012年の新受事案が前年の2倍となったのは、一人で100件以上の懲戒請求をした事案が5例(5例の合計1899件)あったこと等による。
  • ※2013年の新受事案が前年に引き続き3000件を超えたのは、一人で100件以上の懲戒請求をした事案が5例(5例の合計1701件)あったこと等による。
  • ※懲戒審査開始件数は、綱紀委員会で「懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当とする」とされ、懲戒委員会で審査が開始されたもの。

 

表2:審査請求事案の内訳(日弁連懲戒委員会)

新受(原処分の内訳別) 既済 未済
戒告 業務
停止
退会
命令
除名 棄却 原処分
取消
原処分
変更
却下・終了
2012 25 8 1 0 34 25 2 0 2 29 24
2013 29 13 4 0 46 30 3 1 1 35 36
2014 15 11 0 1 27 28 1 4 1 34 29
  • ※原処分取消の内訳【2012年~2014年:戒告→懲戒しない(6)】
  • ※原処分変更の内訳【2013年:業務停止1月→戒告(1)】
  • 【2014年:業務停止2月→戒告(1)、業務停止1年→業務停止10月(1)、退会命令→業務停止6月(1)、除名→業務停止2年(1)】

 

表3:異議申出事案受付の内訳(日弁連網紀委員会)

新受 既済 未済
審査相当 棄却 却下 終了 速やかに終了せよ
2012 778
6
759
39
4
26
834
214
2013 1590
6
1431
26
8
21
1492
312
2014 1353
5
1362
796
9
22
2194
249
  • ※2013年の新受事案のうち、同一の異議申出人による大量の異議申出事案の例が2例あり(2例の合計865件)。
  • ※2014年の新受事案のうち、同一の異議申出人による大量の異議申出事案の例が1例あり(778件)。

 

表4:異議申出事案受付の内訳(日弁連懲戒委員会)

新受 既済 未済
棄却 取消 変更 却下 終了 速やかに終了せよ
2012 32 29 0 0 1 0
3 33 16
2013 31 23 1 0 3 0 1 28 20
2014 40 20 8 1 0 1 4 34 26
  • ※取消の内訳  【2013~2014年:懲戒しない→戒告(9)】
  • ※変更の内訳  【2014年:戒告→業務停止1月(1)】

 

表5:綱紀審査申出事案処理の内訳(日弁連綱紀審査会)

新受 既済 未済
審査相当 審査不相当 却下 終了
2012 321 3 264 10 0 277 162
2013 1098 4 281 19 2
306 954
2014 340 2 1076 5
3
1086 209
  • ※2013年の新受事案のうち、同一の綱紀審査申出人による大量の綱紀審査申出事案の例が2例あり(2例の合計865件)。

 

日弁連委員会めぐり 73

民事司法改革推進本部

今回の委員会めぐりは、民事司法改革推進本部です。
身近で使いやすい民事司法の実現を目指す同本部の取り組み状況や今後の課題などについて、中本和洋本部長代行(大阪)、小林元治事務局長(東京)、出井直樹事務局次長(第二東京)にお話を伺いました。

(広報室長 勝野めぐみ)


 

左から、小林事務局長、中本本部長代行、出井事務局次長

設置の経緯を教えてください

(中本)民事・家事・行政の裁判制度をはじめとする民事司法制度の改革とその運用改善について従前から行ってきた議論を踏まえ、日弁連としての総合的な方策を立案、民事司法改革を推進するための諸活動を行う組織として2011年6月に設置されました。

 

これまでの主な取り組みは

(小林)改革の具体的課題を特定して、日弁連が取り組むべき諸課題の全体像を把握し、実現に向けた運動の進捗状況を検討するための基本文書として「民事司法改革グランドデザイン」を2012年2月に策定、公表しました(2013年10月に改訂)。日弁連ホームページからもご覧いただけますのでぜひご一読ください(HOME>日弁連の活動>司法制度の改革・改善>民事司法改革と司法基盤の整備)。

(中本)「グランドデザイン」策定後、改革実現のためには利用者の声を広く反映する必要性を痛感していました。2013年1月には「民事司法を利用しやすくする懇談会」が設立され、日弁連が事務局を務めました。経済界、労働団体、消費者団体、学識経験者等や日弁連から推薦された34人の委員が各専門分野の議論を行い、同年10月には最終報告書を取りまとめて公表しました。

 

これまでの取り組みの成果として、2014年9月からは、最高裁との協議が始まりましたね

(中本)4つの部会を設け協議を開始しました。現在、「基盤整備」部会では労働審判実施支部の拡大、「判決・執行制度の拡充」部会では財産開示制度の改正や第三者照会制度の創設、「子どもの手続代理人制度の充実」部会では手続代理人の運用や報酬の在り方を中心に議論しています。4月以降「証拠収集手段の拡充」部会での議論もスタートする予定です。

(出井)各部会とも机上の議論ではなく、課題を具体的に克服し、制度や運用の改善につなげるための実践的な議論をしています。

 

最後に会員へのメッセージをお願いします

(中本)民事司法改革に向けた活動について全国の会員に関心を持っていただき、相互に意見交換することが大切だと考えています。

(小林)民事司法改革の取り組みは、弁護士の活動領域の質・量双方の充実につながります。全国の会員が自身の問題として捉えていただければと思います。

(出井)弁護士業務の中核に関わる運動という意識で活動しています。そのためにも当本部の活動についていかに情報発信するかが肝要だと考えています。


 

ブックセンターベストセラー
(2014年11月)協力:弁護士会館ブックセンター

順位 書名 著者名・編者名 出版社名
1 模範六法 2015 平成27年版 判例六法編修委員会 編 三省堂
2 訟廷日誌 合冊 2015 付・訟廷便覧 大阪弁護士協同組合出版関係委員会 編集 全国弁護士協同組合連合会
3 訟廷日誌 分冊 2015 付・訟廷便覧 大阪弁護士協同組合出版関係委員会 編集 全国弁護士協同組合連合会
4 有斐閣 判例六法 Professional 平成27年版 2015 編集代表 井上正仁・山下友信 有斐閣
5 携帯実務六法 2014年度版 「携帯実務六法」編集プロジェクトチーム 編 東京都弁護士協同組合
6 別冊判例タイムズ No.38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版 東京地裁民事交通訴訟研究会 編 判例タイムズ社
7 弁護士業務の勘所 ―弁護士という仕事をもっと楽しむために― 官澤里美 著 第一法規出版
8 法律家のための会計入門 永野良佑 著 国元書房
9 刑事弁護Beginners(ビギナーズ) ver.2[季刊刑事弁護増刊]
現代人文社
10 Q&A 証拠説明書・陳述書の実務 岡山弁護士会 民事委員会 編著 ぎょうせい

編集後記

東日本大震災から4年が経とうとしています。震災4周年に当たる本号では、1面で会長インタビューを掲載しました。震災から4年を迎えるに当たっての、震災復興・被災者支援に対する会長の熱い思いや今後の決意などが語られていますので、ぜひお読みください。
会長インタビューにもあるとおり、残念ながら、東日本大震災関連の報道があまりされなくなったように感じます。被害が続く限り被災者に最後まで寄り添うこと、我々は決して忘れていないというメッセージを発信し続けることが、「風化」を防ぐために大事なことだと思います。
私は、震災後間もないころに宮城県で見た、元は住宅街であったであろう一面基礎のみが残る平野の風景を、避難所で被災者からお聞きした壮絶な被災体験の話を、今でもはっきりと覚えていますし、決して忘れることはないでしょう。(Y・K)