日弁連新聞 第480号

日弁連臨時総会開催
12月6日 弁護士会館

少年・刑事財政基金のための特別会費徴収の件、法律援助基金のための特別会費徴収の件、育児期間中の会費免除に関する規程制定の件など12議案が審議され、いずれも可決された。

 

少年・刑事財政基金のための特別会費徴収の件中一部改正の件(第一号議案)、法律援助基金のための特別会費徴収の件中一部改正の件(第二号議案)

本議案は、少年・刑事財政基金のための特別会費および法律援助基金のための特別会費の徴収期限を2014年6月から2017年5月まで延長し、延長後における徴収額を前者については月額4200円から月額3300円に、後者については月額1300円から月額1100円に減額することをそれぞれ求めるもの。

少年・刑事財政基金のための特別会費の減額について、その前提となった収支予測上、2014年度中にも国選付添人制度の対象事件拡大が実現する可能性が相当程度高いとされていることに対し、法案成立が具体化していない現状では金額を維持すべきであるなどの反対意見も出されたが、会員の負担軽減にも配慮すべき等の答弁がなされ、3分の2以上の賛成多数で可決された。

 

会則中一部改正(第九五条の四・会費免除)の件(第三号議案)、育児期間中の会費免除に関する規程制定の件(第四号議案)

弁護士である会員が、子の育児をする場合は、所属する弁護士会を通じて申請することにより、育児をする子の出生日の属する月から当該子が2歳に達する日の属する月までの間における任意の連続する6カ月以内の期間(多胎妊娠により2人以上の子が出生した場合にあっては9カ月以内の期間)、本会の会費および特別会費の全部を免除するもの(成立の日から2年を超えない範囲内で理事会で定める日から施行し、理事会で定める月以降の育児について適用)。

会費の免除が会員の育児参加を促すとは言えないのではないかなどの反対意見も出されたが、性別や休業の有無を問わない経済的支援が育児への関与の動機付けになるとの立場が大勢を占め、3分の2以上の賛成多数で可決された。

 

新年のご挨拶
日本弁護士連合会会長 山岸 憲司

山岸会長

明けましておめでとうございます。

変革期、転換期であると言われる状況下、気をさらに引き締めて会務にあたってきましたが、昨年は、課題山積という言葉がずっしりと肩にのしかかった1年でした。

憲法九六条の先行改正や、集団的自衛権の行使容認について、今年も各地で議論を深め、市民の方々にしっかりと恒久平和主義と憲法九条の積極的意義を理解いただくよう取り組んでいく必要があります。

特定秘密保護法については、民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道の自由の侵害をはじめとするさまざまな問題を抱えたまま短時間の審議で強行採決されましたが、日弁連としては、同法の廃止を含めた抜本的な見直しの実現に向けて、今後も活動を継続していきます。

他方で、成年被後見人の選挙権の回復、年金受給資格のない再審無罪となった元死刑囚を救済する、いわゆる免田法案の成立、障害者差別解消法の制定、集団的消費者被害回復訴訟制度の実現など、日弁連が長年取り組んできたさまざまな課題で重要な成果もあがりました。長年尽力されてきた会員および関係者の皆さまに敬意を表します。

間もなく3年が経過しようとしている東日本大震災・福島第一原発事故に関しては、引き続き被災者・被害者支援、復興支援に全力で取り組んでいます。原発被害の損害賠償請求権の消滅時効問題については、議員その他関係者の皆さんにもご尽力いただき、先の臨時国会で時効期間を延長する特例法が成立しました。

さまざまな改革課題は正念場にきています。いろいろな意味で、日弁連は新たなステージに立っているものと考えます。取調べの可視化を中心とする刑事司法改革をはじめ、法科大学院の統廃合を含む組織見直しや教育の質の確保に向けた改革、司法修習の充実、法曹人口と修習生に対する経済的支援など多くの課題を抱える法曹養成制度改革も、その結果を具体的な形で出せるよう、しっかりと取り組んでまいります。

昨年は、弁護士、弁護士会をもっと身近に感じていただけるよう、市民向けの広報活動を重点課題に掲げ、テレビ番組や広報ビデオ(CM)の制作など、さまざまな新しい取組を行いました。今後は、成果物を弁護士会等でも活用いただくなど、弁護士会との連携を強化し、継続的な広報活動を展開していきたいと考えています。

さらに、弁護士がその役割を十分に果たすことができるよう、研修の拡充、業務支援の拡大を図り、また、弁護士の不祥事の根絶に向けてしっかりとした対策をとっていきます。

会長としての残り3カ月の任期も全力で取り組んでまいります。本年もなお一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 

秘密保護法が成立

2013年12月6日、特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」)案が、参議院において強行採決され、同月13日法律第一〇八号として公布された(2面に関連記事)。

 

衆議院通過後の一二月一日には新宿駅西口で緊急街頭宣伝行動を行い、道行く人に法案の問題点を訴えた

日弁連では、法案の内容が明らかになる前から、各弁護士会の協力を得ながら秘密保全法制に対する取組を進めてきた。秘密保護法案の概要が公表されてからの約3カ月は、意見書および会長声明において法案の問題点を何度も指摘し、9月開催のシンポジウム(10月号3面に報告記事)、11月開催の院内集会、10月および12月開催の街頭宣伝などを通じて、広くその危険性を訴えた。

衆議院における修正でも法律の危険性は一切解消されず、日弁連はじめ多くの諸団体が採決に反対したが、十分な審議を経ることなく法案は強行的に採決された。

秘密保護法は、「国民の生命と財産を守る」(安倍首相)ために必要であると言われているが、その必要性を国民に納得させる手続が全く欠けており、政府は説明責任を果たしたとは言い難い。秘密の範囲が無限定であり、行政の恣意性を排除できないため、国民の知る権利を侵害するおそれが極めて大きい。また、特定秘密が違法なものであっても、これをチェックする機能が法律上全く定められていない。国権の最高機関である国会の監視権能に期待したいところだが、国会は自らその権能を放棄した内容になっている。同法第一〇条一項一号によれば、特定秘密の指定要件(「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれ」)がない場合(且つその他の要件を充たす場合)にのみ(その判断権は行政機関の長にある)、国会に特定秘密が提供されることになっている。秘密指定要件を充たしているものは国会に提供できないと定めているに等しく、憲法上の統治の在り方を歪めている。

刑罰については、特定秘密の漏えいに関し最長10年の懲役が科され、未遂や過失のみならず、教唆、共謀までが独立犯として処罰されることとなった。こうした刑罰規定が存在するというだけで、国民に与える萎縮効果は計り知れないが、実際の捜査、公判の段階で予想される逮捕・勾留や捜索差押えの威嚇効果、防御の困難性と長期の裁判手続を強いられることの不利益は、さらに甚大な影響を国民に与えることとなる。

今後は、この秘密保護法を名実ともに廃止すべく、持続的な運動とこの法律の危険性についての認識共有に向けた意見集約が、日弁連の内外で求められる。加えて、今後政府が設置するであろう情報保全諮問会議や情報保全監察室等の制度設計について臨機に意見を述べるだけでなく、場合によっては日弁連の参加を求めていくこととなろう。

(秘密保全法制対策本部本部長代行 江藤洋一)


 

法制審刑事特別部会
取りまとめに向けた議論状況

法制審新時代の刑事司法制度特別部会は、取りまとめの時期に入った。1月21、22日に開かれる作業分科会を経て、2月から4月にかけて約6回の特別部会で答申をまとめる予定である。

 

基本構想後の検討体制

特別部会では、2013年1月29日の第19回部会で「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」(基本構想)を取りまとめている。基本構想では、①取調べの録音・録画のように、制度の導入が決まっていてその内容を具体的に検討する事項と、②証拠開示制度や身柄拘束の在り方のように、制度の採否を含めて検討する事項とに分けており、特別部会の下に設置した2つの作業分科会で各検討事項について「考えられる制度案」を検討し、その制度案を特別部会が検討して結論を出すことが決まっている。その後、法制審の総会で答申がまとめられ、法案が国会に上程される見込みである。

日弁連はこれまでに、新たな刑事司法制度の構築に関して4本の意見書と基本構想に関する会長声明(2013年1月29日)を公表しており、日弁連推薦委員・幹事は、これらの日弁連意見の内容を中心に部会で発言している。通信傍受のように、日弁連は反対しているものの基本構想で対象範囲の拡大が予定されているものもある一方、証拠リスト開示のように日弁連案を受けて議論されているものもある。大詰めを迎えて議論の速度が増すと予想され、日弁連もそれに対応していくことが要請される。

 

今後の重点課題

検討テーマは多岐にわたるが、日弁連としては、「取調べの録音・録画」、「被疑者国選弁護制度」、「証拠開示」、「身柄拘束制度」の4つのテーマについては特に重点的に取り組んでいる。

取調べの録音・録画の制度化は特別部会設置のきっかけとなった最重要課題であり、日弁連は全過程の録画の義務付けを主張している。今後、対象事件を裁判員裁判にとどめず、その範囲を広げることを求めていく。被疑者国選制度の拡充については、勾留中の被疑者に対するいわゆる第三段階の対応態勢は整備されていることを説明している。証拠開示制度については証拠開示の手がかりとしての証拠リスト開示について具体的な検討がなされている。また、身柄拘束の在り方について、勾留と在宅の中間的な処分の制度の創設を求めて制度提案をしているのに加え、勾留裁判の指針規定を提案している。

部会の進捗については随時情報提供する予定である(特別部会の審議状況・日弁連の意見書等は各ホームページ参照)。

(事務次長 兼川真紀)


 

日弁連短信
特定秘密保護法の今後
抜本的見直しに向けて

谷次長

 

特定秘密保護法案は、さまざまな問題点と国民各層からの大きな反対を抱えたまま、強行採決を経て、成立した。

国会審議で政府の答弁がぶれたり、政府が秘密指定の監視機関等の創設を公約せざるをえなくなったりするなど、法案の問題点が次々に明らかとなってきた中での強行可決であり、国会審議の在り方にも大きな問題を残すものとなった。

この法案の最大の問題点は、恣意的な秘密指定を許す恐れがあるうえ、漏えい行為のほか、その教唆行為にも重罰を科するものであるため、これらによる萎縮効果をもたらすと考えられることであり、知る権利侵害の懸念は大きい。日弁連は早い段階からそれらの問題を指摘して、反対の意見を表明してきた。

しかし、問題はそれだけにとどまらなかった。国会への情報の提供が政府の判断に委ねられかねず、国会の最高機関性の点からも問題があることや、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)の基準がまったく満たされていないこと、テロリズムの定義にも問題があるといった問題点も次々と明らかにされていった。

これらはいずれも日弁連が指摘したもので、メディアや国会でそれらが取り上げられる中で、法案の問題点がますます明らかになるという経緯をたどったのであった。

このような審議経過をみても、この法律の施行にはさまざまな問題が残されているといわざるをえない。監視機関をどのようなものにするか、適性評価(特に民間事業者の従業員)をどう運用するか、政令に委任された事項をどのように定めるか、さらには、公文書管理法や情報公開法の改正をどうするか、等々である。このなかには、施行までに必ず準備しなければならない課題もある。

今後、日弁連としては、これらの課題と問題点について具体的に検討を行い、意見を述べていく必要があり、そうした作業を行う中で、この法律の問題点がいっそう明らかになると考えられる。

秘密保全法制対策本部では、これらの検討作業を行いつつ、シンポジウムや市民集会の開催、報道関係者・市民団体・経済団体・業界団体・国会議員等との意見交換などの活動を継続することとしている。このような活動を通じて、特定秘密保護法の廃止を含めた抜本的な見直しの実現を目指していきたい。

(事務次長 谷 英樹)


 

臨時国会で重要法案の成立相次ぐ
日弁連の取組が結実

2013年12月8日に閉会した第185回臨時国会で成立した法案の中には、これまで日弁連が重要課題として取り組み、大きな影響や成果をもたらしたものがある。以下では成立法案のうち3本について報告する(1面2面に特定秘密保護法の成立に関する記事)。

 

原発事故賠償時効特例法

12月4日、「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案」が可決、成立した(12月号1面に法案の内容に関する報告記事)。

本法律は、福島第一原発事故に係る賠償請求権に関する民法第七二四条の規定の適用については、①同条において「3年間」とされている消滅時効の期間を「10年間」とし、②同条において「不法行為の時から20年」とされているいわゆる除斥期間を「損害が生じた時から20年」とするもの。

本法律は、日弁連が立法措置を求めてきたもので、内容は日弁連の意見と異なる点があるもののその目的、方向性は軌を一にするものである。

とは言え、あくまでも今回の事故による損害賠償請求権の行使の期間を確保したものにすぎず、被害救済のさらなる具体化は今後の課題である。

 

消費者の財産的損害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律

12月4日に可決、成立。

この法律により導入される新たな訴訟制度は2段階に分かれ、1段階目では、特定適格消費者団体が原告となり、事業者の共通義務の有無につき審理する。この義務が認められる場合、個々の消費者から授権された特定適格消費者団体が届け出た対象債権について、簡易確定手続により支払義務の有無が決定される(第2段階)。

新制度により、消費者契約に関わる被害をより容易に回復することが期待される一方、財政的な支援制度をはじめ特定適格消費者団体の負担を軽減しうる措置を講じ、制度の実効性を高め十分な消費者被害救済を図ることが今後の課題である。

 

民法の一部を改正する法律

婚外子相続分格差を違憲とする最高裁の決定を受け、12月5日、民法第九〇〇条第四号ただし書きを削除する旨の民法改正がなされたもの。

もっとも、嫡出か否かの記載をさせる戸籍法の改正は実現できず、今後の課題となっている。

 

66期修習終了者
1286人が一括登録

400人弱が就職未定の状況

2013年12月19日、同月17日に2回試験の合格が発表された修習終了者のうち1286人が日弁連に一括登録した。同日時点での未登録者数は570人と推計され、終了者全体の約28%を占め、前年同時期と同水準となっている。2014年1月の登録予定者や、当初より登録を予定していない人数を差し引くと、400人弱の終了者が就職未定の状況にあると推計される。

日弁連は、引き続き、若手法曹センターを中心に、未登録者への採用情報提供、即時独立支援、さらには登録後のフォローアップを続けるとともに、今後の法曹養成・法曹人口の議論において、かかる就職難の状況も踏まえた検討がなされるよう働きかけていく。

 

修習終了者数 登録者数 未登録者数
新60期 979 839 32
新61期 1731 1494 89
新62期 1992 1693 133
新63期 1949 1571 214
新64期 1991 1423 400
現新65期 2080 1370 546
66期 2034 1286 570

※登録者数・未登録者数は各期一括登録日時点

法曹養成制度改革
第4回・第5回顧問会議開催

第4回顧問会議(12月9日)

法科大学院・司法修習・法曹人口に関する調査が取り上げられた。

法科大学院については、文科省から中教審の組織見直し促進および共通到達度確認試験に関する両ワーキンググループの検討状況の報告があった。顧問からは、「スケジュールを意識した検討を行うべき」、「質の面からも統廃合を進めるため、法的措置の検討も速やかに開始すべき」という意見があった。

司法修習については、最高裁から司法修習委員会の報告として、導入的集合修習を実施すること、分野別実務修習の充実化と司法修習の状況把握を強化する方向で大筋一致したことが報告された。また、導入的集合修習の実施時期については、来年度から実施すべきという意見を踏まえて検討すると報告された。

法曹人口に関する調査については、推進室から、法社会学者などから構成する調査検討体制が発足すること、2015年3月を目処に調査結果を取りまとめることが報告された。

 

第5回顧問会議(12月17日)

第5回顧問会議では、推進室から、法曹有資格者の活動領域拡大に関して法務省に設置された有識者懇談会とそれに付随する3つの分科会の活動状況等について報告され、その後の意見交換では、主に修習生に対する経済的支援と法曹人口に関する議論が行われた。

修習生に対する経済的支援については、「法曹志望者が経済的不安を抱えていることを重く受け止めるべき」という意見、法曹養成制度検討会議では修習生の地位・身分の在り方について必要に応じて検討することが確認されていることを踏まえて、「経済的支援に関する緊急的な対応を行うべき」との意見があった。

法曹人口については、「調査の結果を待つのでは遅すぎる」、「現状を踏まえて顧問会議として法曹人口について何らかの提言をすべき」、「法科大学院との関係も踏まえた議論が必要」との意見が出された。

(事務次長 鈴木啓文)


 

IBA東京大会プレイベント
アジア地域での国境を越える法律サービス
発展とその将来
11月12~13日 東京都港区

IBAのレイノルズ会長

2014年10月には、全世界から6000人を超える法律家を迎え、国際法曹協会(IBA)の年次大会が東京で開催される。大会に向けたプレイベントとして、IBA・日弁連共催による国際シンポジウムを開催し(共同議長:内田晴康会員・東澤靖会員)、国内・海外から定員の240人を超える参加希望が相次ぐ盛況ぶりであった。

 

シンポジウムでは、国内・海外から裁判官、研究者、政府関係者、弁護士などのスピーカーを招き、全体会と分科会で討論を深めた。取り扱ったテーマは、法律サービスの課題や展望に加えて、ジェンダーと法律実務、特許権侵害訴訟、M&A、ビジネスと人権・汚職、投資仲裁と商事仲裁、国際競争法など、ビジネスから公益的課題まで幅広いものであった。最高裁判所からは、鬼丸かおる判事が出席してレセプションで挨拶を行い、また海外からの参加者を中心に、最高裁への表敬訪問・大法廷見学も実施された。

今回のシンポジウムのもう1つの重要な目的は、IBAと日弁連の相互理解を深めることだった。この点では、世界最大の国際法曹団体であるIBAの幅広い活動について、レイノルズ現会長や川村明前会長が講演を行った。また、IBAからは、現会長、副会長やアジア事務所責任者のみならず、ビジネス、弁護士会活動、公益活動の各部門の議長たちが全員参加して、東京大会に向けた日弁連の準備状況を確認した。2日目に行った公益部門の分科会では、弁護士会活動、公益活動の各議長が、ビジネスと人権の課題をぜひ東京大会の代表的セッションで取り上げたいと表明した。

プレイベント成功を踏まえて、IBA東京大会プロジェクトチームが、東京大会成功のための準備を進めている。会員におかれては、国際交流の絶好の機会として、東京大会にぜひ積極的に参加いただきたい。

(国際活動に関する協議会IBA東京大会プロジェクトチーム企画部会部会長 東澤 靖)


 

家事法制シンポジウム
今、離婚関連紛争の解決に何が求められているのか
12月7日 弁護士会館

  • 家事法制シンポジウム「今、離婚関連紛争の解決に何が求められているのか」

昨今、子どもの養育問題も含む離婚関連紛争が増加し、解決の困難な事案が散見される。当事者が抱える問題、必要とする支援や弁護士・家庭裁判所へ期待することは何かを検討し、そうしたニーズや期待に応えるために改善すべき点について議論するため、本シンポジウムを開催した。

 

基調講演を行った若林氏

冒頭、若林昌子氏(公益社団法人家庭問題情報センター理事長)が「離婚関連紛争の解決を支援するために求められるもの」と題した基調講演を行い、離婚後の子どもの健やかな成長は公益的な要請でもあり、その観点から国による積極的な当事者支援への取組が求められること、当事者支援は専門的かつ継続的に行われる必要があること、そのためにも専門家の養成が不可欠であることなどを指摘した。

続いて、家事法制委員会の尾高健太郎委員(三重)から、離婚関連紛争の当事者からの相談を受けている全国の自立支援員、母子寡婦福祉連合会の相談員へのヒアリング調査の結果について、養育費や生計など経済的な問題に関する相談が多いこと、裁判所に対して敷居が高く精神的負担も大きいイメージ等があること、弁護士に対しては料金が高い・不明瞭である、説明が丁寧でないなどの意見が寄せられたことなどの報告がされた。

こうした基調講演・報告を踏まえたパネルディスカッションでは、石田敏明氏(公証人)等から家庭裁判所や弁護士を利用することのメリットや必要性が指摘された反面、大国和江委員(広島)や森岡由紀子氏(元家事調停委員)等から調停運営への不信や知識・理解不足の弁護士が手続に関与することから生じる問題などが指摘され、各パネリストから、家庭裁判所の物的人的整備、調停運用の改善、調停委員の採用要件の見直し、弁護士の家事事件専門家認定制度の必要性などについて意見が出た。

(家事法制委員会事務局長 大森啓子)


 

セミナー
自治体内弁護士という選択
11月14日 弁護士会館

  • セミナー「自治体内弁護士という選択」

2013年11月末時点で、地方公共団体に48団体、62人と、自治体内で活動する法曹有資格者の数はここ数年で増加傾向だ。しかし、具体的な職務内容や職場環境はどのようなものなのか、わからないことが多いのも事実。そこで、会員および司法修習生を対象に、自治体内職員として活躍する弁護士・法曹有資格者の業務等を紹介するため、日本弁護士政治連盟との共催でセミナーを開催した。

 

多種多様な職務内容

自治体内職員としての弁護士の業務と言えば、指定代理人として訴訟を行うことや不服申立てへの対応等がすぐ頭に浮かぶ。しかし、弁護士職員に求められる役割は自治体によって異なってくる。

千葉県流山市に政策法務室長として勤務する帖佐直美会員(東京)は、自治体側から職員の政策法務能力の向上を図ってほしいとの要望を受け、職員向け研修を数年にわたって担当し、さまざまな企画を実行している。「職員から相談を受ける時にも、まずは自分で考えてもらうことを心がけている」と解決の過程を職員にも体験してもらうよう工夫しているそうだ。

 

自治体内弁護士の魅力とは

秋山一弘会員(第二東京)は町田市職員を務めた後、町田市の非常勤職員と弁護士の仕事を両立している。秋山会員は、「一般の弁護士業務よりもさらに幅広い法律知識が身につき、損得なくみんなのために仕事ができるのが大きな魅力」と自治体内弁護士のやりがいを語った。

自ら明石市長として多くの自治体内弁護士を採用している泉房穂会員(兵庫県)は、自治体内弁護士について「弁護士としての仕事の幅が広がる。コミュニケーション能力が身につく。人脈ネットワークが築ける。これが大きな魅力」と、自治体内弁護士の経験が今後の弁護士としてのキャリアにも活かされることをアピールした。

 

夢実践シンポジウムvol.3
弁護士の海外進出
現状と具体的手法
11月18日 弁護士会館

  • 日弁連 夢実践シンポvol.3「弁護士の海外進出~現状と具体的手法~」

中小企業の積極的な海外進出や国際結婚の増加等により、渉外業務は弁護士にとって身近なものとなりつつある。そこで、本シンポジウムでは、若手弁護士の夢実践を支援する取組の一環として、一般民事・刑事事件を中心に扱う事務所で渉外業務に取り組む会員から、業務展開の経緯、方法や着眼点等について語ってもらった。

 

国内に多くの顧客がいることが強み
左から松田会員、芝池会員、兒島会員

前半は、松田純一会員(東京)から、渉外業務展開へのアプローチ方法について講演があった。 

松田会員自身は、弁護士会や日弁連での活動の中で、東南アジア、中国、韓国等を訪問したことが渉外業務への足掛かりとなったという。

「一般民事・刑事事件を中心に扱っている事務所は、国内に多くの顧客を持っていることが強み」、「顧問等として日頃から付き合いの深い国内企業に対して、身近なホームドクター的立場から、その企業が海外進出しようとする際には、きめ細かなサポートや継続的なフォローアップを行うことができる」と強調した。

 

海外へ出向いて人脈を広げよう

後半は、渉外家事事件を多く手掛ける芝池俊輝会員(札幌)、福岡という地の利を生かして東南アジアの経営コンサルティング業務を扱う兒島聖司会員(福岡県)が加わり、パネルディスカッションを行った。

今後渉外業務のフロンティアとして業務展開が期待できる国としては、その地理的近接性から東南アジア諸国、それ以外には今後ますます日本との結びつきが深まっていくであろう、コロンビア、メキシコ、アルゼンチン、チリ、インドなどの国々が挙げられるという。

海外への業務展開を考えたとき、「まずは自らが海外に出向き、人脈を広げることが大切」と兒島会員。芝池会員は、「日本の弁護士という肩書きで海外の多くの人と交流し、知り合えるのが魅力」と熱く語った。


 

JFBA PRESS -ジャフバプレス- Vol.85

会員専用ページ・総合研修サイトリニューアル!

皆さん、日弁連の会員専用ページをどのくらいの頻度で利用されていますか?
日弁連では、「より使いやすく、より役に立つツール」を目指して、会員専用ページと総合研修サイトをリニューアルしました。ぜひご活用ください。

 

【会員専用ページ】

利便性が飛躍的に向上

情報を探しやすくなったトップページ

旧会員専用ページについてよく聞かれたのは「IDもパスワードもわからないから使っていない」という声でした。

新しい会員専用ページでは、ID、パスワードをご自分で設定することができ、利便性が向上しました(文字数等の制約はあります)。登録当初は自動的にパスワードが割り当てられますので、ログイン後に「ユーザー情報の変更」からパスワードをご希望のものに変更してください。

また、「シングルサインオン」も今回のリニューアルのもう1つの目玉。これまでは、総合研修サイト等にアクセスするには、会員専用ページにログイン後、再び別のIDとパスワードを入力する必要がありました。今後は会員専用ページにログイン後は、そのまま総合研修サイトにアクセスすることができます。

逆に言えば、会員専用ページログイン用ID・パスワードの設定・管理は適切に行う必要がありますので、十分ご注意ください。

 

デザインもシンプルに

見やすく、シンプルなデザインを目指しました。トップページ中央では一般ページ同様に「お知らせ」と「イベント・研修情報」を一覧することができます。

また、実は有益情報満載の「書式・マニュアル」ページも簡単に見つけることができます。業務に役立つマニュアルなどがバージョンアップしていることもあるので、覗いてみると新しい発見があるかもしれません。

 

このページ知っていますか?

最後に知っていそうで知らないサイト情報を。過去のFAXニュースやメールマガジンは会員専用ページで読むこともできます。「自由と正義検索データベース」では、懲戒・登録情報以外のページを読むことができます。キーワード検索も可能ですので、「あれ?あの記事はいつの特集だったかな?」というときにはお気軽にご利用ください。

また、求人・求職情報では任期付公務員などさまざまな求人情報を掲載しています。新しいキャリアパスを見つけるきっかけになるといいですね。

これからもコンテンツを充実させていきますので、ぜひご活用ください。

(広報室嘱託 白木麗弥)


 

【総合研修サイト】

新サイトは主に5つの点(①eラーニング倍速再生、②会員ページとのシングルサインオン、③検索機能強化、④iPhone・iPad(注1)対応、⑤マイページ機能追加)で利便性が高まりました。

 

eラーニング倍速再生

総合研修サイトの検索結果画面

動画コンテンツの再生速度を最大2倍まで変速できる機能です。会場では2時間の研修もわずか1時間で受講可能となりますので、多忙な業務のなかでも最新の講義内容を効率的に習得することができます。また、動画コンテンツはパート毎に15分程度のチャプター構成になっていますので、必要なときに必要な部分だけ研修を受講することができます。

 

検索機能強化

検索ページを充実させるとともに、ページ左側のメニューにジャンルごとのカテゴリ一覧を設け、どこからでも希望の研修を探すことができるようになりました。また、「おすすめの講座」「関連講座」の表示機能の追加により、有益な情報収集が容易になりました。

 

iPhone・iPad対応

iPhone・iPadでの動画視聴(通常再生)が可能になりました(Android(注2)端末は端末機種によりますのでお試しください)。従前から「外出先や移動時間に研修を受講したい」との要望が多数ありましたが、これからは日弁連の研修を持ち歩いて受講できます。外出先での突然の相談対応などで書籍を参照できないときにも、総合研修サイトが心強い味方になります。

 

マイページ機能追加

研修パスポートの有効期限や倫理研修義務年の確認のほか、「受講中の講座」「お気に入りの講座」「受講履歴」などの一覧機能により、利用者にとって必要な研修コンテンツをより簡単に管理、受講することができるようになりました。

総合研修サイトのリニューアルに合わせて、日弁連では、若手会員向けの研修パスポート優遇制度の実施など、研修の充実化に注力しています。

ますます便利になった総合研修サイトをぜひご活用ください。

(研修業務支援室長 高畠希之)


 

(注1) Facebookは、Facebook,Inc.の登録商標です。
(注2) Androidは、Google Inc.の登録商標です。


 

日弁連委員会めぐり 61

取調べの可視化実現本部

繰り返されるえん罪を防ぐには、取調べの可視化の実現は欠かせません。今回は取調べの可視化実現本部の田中敏夫本部長代行(東京)、小坂井久副本部長(大阪)、池田綾子事務局長(第二東京)に、取調べの可視化の意義と実現に向けての現状について、お話を伺いました。

(広報室嘱託 大達一賢)

あらためて取調べの可視化の目的・意義について教えてください

左から、小坂井副本部長、池田事務局長、田中本部長代行

(田中)取調べを適正化しえん罪を防ぐ、ということに尽きると思います。そのために、取調べの全過程、全事件の録画を実現すべきです。ただ、現実問題として、直ちに全事件の録画を実現することは容易ではありません。裁判員裁判については試行がなされていますが、PC遠隔操作事件のように裁判員裁判対象外事件でも、取調べによる虚偽自白とそれに基づくえん罪が繰り返されていることからすると、着地点は全事件ということになります。

 

可視化実現に向けての争点は

(小坂井)争点はさまざまありますが、その一つに例外事由の問題があります。本人の羞恥心、関係者のプライバシーなどの例外を認めようとする議論もありますが、問題外です。可視化の意義からすると、限定的・一義的にすべきものです。

 

実現本部としての現在の目標は

(池田)法制審議会で、取調べの全過程の録画の制度化を実現する旨の答申を得て、刑事訴訟法の改正によって可視化を義務付けることを目標としています。しかし、従来にも増して警察の抵抗感が強くなっており、今一度全力で活動していく必要があります。

 

会員に向けてのメッセージをお願いします

(小坂井)取調べの可視化とは、あくまで取調べの全過程の録画を意味するものであり、一部の過程のみを録画するのとは全く異なるものです。全過程の録画を実現するには、まずは現場で「被疑者ノート」を差し入れ、可視化を申し入れ、公判で録音・録画記録媒体の証拠能力を争うなどの弁護活動を実践していくことが重要です。「可視化」という言葉がひと昔前に比べて浸透したように、粘り強い活動が実を結ぶと考えます。会員の皆さんには、法制化の正念場を迎える今こそ、強い関心を持って日々の弁護活動を実践していただければと思います。


 

ブックセンターベストセラー
(2013年9月・六法、手帳は除く)協力:弁護士会館ブックセンター

順位 書名 著者名・編者名 出版社名
1 慰謝料算定の実務[第2版] 千葉県弁護士会 編 ぎょうせい
2 会社法コンメンタール7 ―機関(1)§§295~347 岩原紳作 編 商事法務
3 財産開示の実務と理論 ―勝訴を無駄にしないための三段活用 小栁茂秀 著 日本加除出版
4 新版 家庭裁判所における 遺産分割・遺留分の実務 片岡 武/菅野眞一 編著 日本加除出版
5 法人破産申立入門 三森 仁 監修 第一法規出版
6 国会便覧 平成25年8月新版 133版 廣済堂出版
和解・調停条項と課税リスク 三木義一 監修/馬渕泰至 編著 新日本法規出版
8 弁護士職務便覧 ―平成25年度版― 東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会 編 日本加除出版
9 要件事実マニュアル 第4巻[第4版]―過払金・消費者保護・行政・労働 岡口基一 著 ぎょうせい
10 我妻・有泉コンメンタール民法[第3版]―総則・物権・債権― 我妻 榮・有泉 亨・清水 誠・田山輝明 著 日本評論社

編集後記

今月は、記事にはならなかったが、自殺対策のシンポジウムを取材した。自殺の原因となった借金は、破産申立で済むかもしれないが、それでは一時的な解決にしかならない。自殺の背景にある悩みや不安を無くさない限り、根本的な解決にはならず、自殺対策には弁護士1人の力のみならず、他との連携が不可欠とあらためて感じた。
翻って考えると、弁護士1人でできることはそう多くはない。複数の弁護士で対応した方が広く、深い検討ができるのはもちろん、医師、建築士等の専門家の意見が必要な場合もある。紛争が生じる前の予防的観点ではなおさらである。
広報室嘱託を始めて4年、この12月で任期満了となる。取材を通じてさまざまな方に出会い、さまざまな見方・考え方を学ばせていただいた。この経験を過去のものとせずに、今後につなげていきたい。
(R・S)