日弁連新聞 第471号

法律相談センター全国統一ナビダイヤル
「ひまわりお悩み110番」開設

日弁連は、3月1日に法律相談センターの全国統一ナビダイヤル「ひまわりお悩み110番」を開設した。相談希望者がNTTコミュニケーションズ社のナビダイヤル番号0570―783―110(なやみ110番)に架電すると、近くの弁護士会法律相談センターの受付電話に繋がるというもの。全国統一の番号ができることで、法律相談センターへのアクセスをより容易にすることをねらいとしている。各地の法律相談センターの電話番号も従前どおり使用できる。

 

相談相手に、弁護士は入っていますか?  

ナビダイヤル新聞広告全国統一ナビダイヤル導入に向け、弁護士による法律相談に関するキャッチコピーを募集したところ、1441作品の応募があり、最優秀作品に「相談相手に、弁護士は入っていますか?」(神奈川県・奥原友明さん)が選ばれた。

 

継続的な広報を

開設当日には、読売新聞と全国の地方紙に広告を掲載してPRするとともに、弁護士会館において、ベストセラー「佐賀のがばいばあちゃん」で知られる島田洋七さんとテレビ番組「行列のできる法律相談所」のレギュラーである本村健太郎会員(東京)をゲストに迎え記念イベントを行った。日弁連は、今後も各地の弁護士会と協力し、全国統一ナビダイヤルの継続的な広報に努めていく。(六面に開設記念イベントの記事)

 

債権法改正の動き
法制審・中間試案に対するパブコメ募集開始
日弁連も意見書取りまとめへ

法務省は、3月11日に「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」を公表した。同試案について、4月上旬から2カ月間程度の期間でパブリックコメント(パブコメ)の募集が実施される。

   

中間試案は、これまでの網羅的かつ深い議論から、意見を集約する段階への移行を印象付ける内容となっており、2011年の中間論点整理で六三あった項目が四六となり、当初言われていた広範囲なものではなく、部会での一致点を見出すべく一定程度絞り込まれたものとなった。
日弁連は、2010年六月理事会で「民法(債権法)改正問題に取り組む基本姿勢」を採択し、これに基づいて法制審に推薦した委員・幹事のバックアップに取り組むと同時に、中間論点整理時には、全弁護士会に対する意見照会を踏まえた意見書や、個別論点に関する意見書を5本取りまとめ、法務省に提出した。
また、中間試案のパブコメへの対応のため、昨年11月頃から中間試案のたたき台に基づいて全弁護士会に対して意見照会を実施した。今後、意見照会の結果やこれまで公表した意見書等を踏まえ、パブコメ対応の意見書を取りまとめる。
パブコメ実施後、法制審部会は第三巡の議論に入るが、日弁連は中間試案への対応を含め、今後の対応を重大局面と位置づけ、随時意見を述べていく予定である。
なお、債権法改正については、会員ホームページに特設コーナーを設置している。同コーナーには、これまでに発信した意見書、今回の意見照会に関する資料、各種参考資料、たたき台が掲載されている法務省ウェブサイトのリンクを掲載しているので、参照していただきたい。
(事務次長 鈴木啓文)

   

 

福井女子中学生殺人事件 
異議審で再審請求棄却
会長声明で「不当決定」と非難

3月6日、名古屋高裁は「福井女子中学生殺人事件」再審請求事件の異議審において、原審(請求審)である名古屋高裁金沢支部の再審開始決定を取り消し、再審請求を棄却した。これを受けて弁護団は最高裁に特別抗告した。
本件は1986年3月に発生したが、被告人とされた前川彰司氏は一貫して無実を主張し、第一審(福井地裁)は無罪となった。ところが、控訴審は逆転有罪(懲役七年)となり、最高裁も1997年11月に上告を棄却し有罪判決が確定した。前川氏は、服役後の2004年7月に再審請求を申し立て、原審である名古屋高裁金沢支部が2011年11月に再審開始を決定したが、検察側が異議を申し立てていた。
日弁連は高裁決定に対し「再審制度にも『疑わしいときは被告人の利益に』という刑事裁判の鉄則が適用されるとした白鳥・財田川決定を無視し、新証拠それ自体に旧証拠を凌駕するほどの証明力を要求しているという点で、不当極まりない」と非難する会長声明を発表した。

 

大崎事件第二次再審請求も棄却

同じく3月6日、鹿児島地裁は「大崎事件」に関する第二次再審請求を棄却した。本件は、1979年に鹿児島県大崎町で発生した事件であり、被告とされた原口アヤ子氏ほか二人が殺人・死体遺棄により有罪判決を受けた(確定)。原口氏は服役後に再審請求を行い、2002年3月に鹿児島地裁が再審開始を決定したが、2004年12月に福岡高裁宮崎支部が再審開始決定を取り消し、最高裁も特別抗告を棄却しており、今回は二度目の再審請求だった。 本件の審理において、裁判所は、弁護団の再三の要請にもかかわらず、検察官に対して未開示証拠やそのリストの開示を求めることなく審理を終結しており、日弁連は、裁判所の対応は再審事件における証拠開示の流れに逆行するものであって「極めて遺憾」との会長談話を発表した。

 

福井女子中学生殺人事件の経過

 
1986年 3 月19日 事件発生
1987年 3 月29日 前川氏逮捕  
1987年 7 月13日 前川氏起訴 
1990年 9 月26日 第一審(福井地裁)無罪判決 
1995年 2 月 9日 控訴審(名古屋高裁金沢支部)逆転有罪判決(懲役7年)  
1997年 11月12日 上告棄却 
2003年 3 月 6日 刑期満了出所

2004年 3 月19日 日弁連支援決定 
2004年 7 月15日 再審請求(名古屋高裁金沢支部)

2011年 11月30日 再審開始決定

2013年 3 月 6日 異議審決定(再審棄却)

2013年 3 月11日 最高裁に特別抗告   

 

憲法改正の動きに対する日弁連の対応 
国家安全保障基本法と憲法九六条改正に反対する二つの意見書を採択

 

 

これまで30年以上にわたり、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、密接な関係にある外国への武力攻撃を実力で阻止する「集団的自衛権の行使」は、政府解釈によって憲法九条違反とされてきた。ところが、第二次安倍内閣が発足してから、この集団的自衛権の行使を、「国家安全保障基本法」を制定することにより認め、同時に軍事秘密を守るための秘密保全法制を定めようとする動きが進んでいる。
また、憲法を改正しやすくするため、まず九六条を改正し、憲法改正発議要件を「衆参両院総議員の3分の2以上の賛成」から「2分の1以上の賛成」にあらため、改正のハードルを低くしようとする動きも、強まっている。
日弁連は、憲法委員会を中心にこれらの憲法上の問題点につき検討を重ね、いずれの動きも、日本国憲法の基本理念である立憲主義に違反し、平和主義、国民主権主義、基本的人権尊重主義の基本原理を後退させるものとの結論に至った。そして、3月14日の理事会で、「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する意見書」と、「憲法第96条の発議要件緩和に反対する意見書」の2つの意見書が審議され、圧倒的多数の賛成で採決された。今後も、憲法改正の動きについては、時宜にかなった意見を述べていく予定である。

(憲法委員会事務局長 藤原真由美)

 

 

ひまわり 

   

先日、口蹄疫の被害調査のために宮崎県を訪ねた。県が終息宣言をしてから8月で3年が経つが、甚大な被害に見まわれた現地は、未だに復興も半ばといった状況にある▼調査では、当時現場で自ら陣頭指揮に当たられた自治体市長の報告もお聴きすることができた。市長によれば、「宮崎県はそれ以前に二度口蹄疫による被害を受けてきたが、2010年当時は、まさか口蹄疫が再度発症するとは考えておらず、気の緩みがあった。そのためもあって、初動対策に誤りがあり、それが被害を拡大させてしまった」とのご説明だった▼現場を知る方の発言は重い。不幸にして起きてしまった災害の現場での出来事が、その後に対策として活かされなければ、再びそれ以上の災害被害に見まわれてしまうことになる。「今回の経験を活かせれば、これから口蹄疫災害に遭っても被害の拡大は防げるはずだ」と力強く語ってくれた市長が頼もしく思えた▼日弁連では、この度、「東日本大震災無料法律相談事例集」を取りまとめた。4万件を超える法律相談の中から、1000件の事例を抽出したものである。これは、記録集ではない。今後の復興政策、被災者支援活動に役立てることのできる貴重な事実の宝庫である。ぜひご活用いただきたい。 (S・N) 

 

 

法曹養成制度検討会議
法科大学院の統廃合等を議論

 

2月22日に開催された第9回法曹養成制度検討会議では、法曹の活動領域拡大と法科大学院統廃合・定員削減をめぐって議論が行われた。

 

企業、自治体、海外支援の各分野について検討

活動領域拡大については、各分野について委員や関係省庁を含むチームで検討した結果が報告され、意見交換が行われた。
企業内については、「法曹有資格者の採用は増加しており、法科大学院の授業やエクスターンシップを充実させることが有用である」との指摘がある一方、「今後も増加傾向はある程度は続くものの、各企業の採用枠には上限があるのではないか」との疑問も示された。
次に、地方自治体分野については、自治体側の法的ニーズは大きいが、相互理解の場が少なく、厳しい財政状況などの中で任期付公務員等の採用に議会や住民の理解を得る方策の検討が必要であることが示された。
他方、企業の海外展開支援については、「これに対応する専門法律家の養成が重要であり、大学や関係省庁が果たすべき役割は大きい」などの意見が述べられた。

 

統廃合のさらなる措置

法科大学院の統廃合については、第四回検討会議の議論を受け、公的支援の見直し以上の措置をとる場合の論点整理が事務局から報告された(法務省ホームページ掲載資料)。
措置の基準としては、「司法試験の合格状況が客観的・明確な指標となる」との意見、「入学者の質により変わりうるのでもあり必ずしも法科大学院の教育力を反映したものではない」との意見があった。
とるべき措置としては、司法試験受験資格見直しなどの法令上の措置も検討されたが、まずは公的支援見直しを徹底することを求める意見が多数であった。
他方、定員削減については統廃合だけでは不十分であり、別途大規模・中規模校の定員削減を検討する必要が指摘され、継続課題となった。
なお、日弁連からは地方・夜間法科大学院出身者のアンケート調査結果を資料提出し、これら法科大学院の積極的意義について説明を行った。
(事務次長 中西一裕)

 

 日弁連短信

インド、タイ弁護士制度調査

大貫裕仁 事務次長去る2月24日から3月1日まで、法務省・日弁連による合同企画で、インドおよびタイの司法制度調査のために現地の関係機関を訪問した。その目的は、両国の弁護士制度の調査と外弁制度創設の可能性調査である。インドおよびタイを対象国としたのは、昨今のインド進出企業の増加に鑑み日本の弁護士のサポートニーズが高まっていること、タイには東アジアの中でも日本企業および日本人の数が極めて多いためそれに伴う日本の弁護士のサポートニーズがより高まっていること等に鑑み、現地の弁護士制度をきちんと把握するとともに外弁制度創設の可能性を検討する必要性があると判断されたからである。
インドでは、邦人弁護士、インド日本商工会(日系企業により構成)、デリー法曹協議会、法務省、商工省を訪問した。現地の弁護士制度について説明を受けるとともに、日本の外弁制度を紹介し、かかる制度についての意見交換をした。それぞれの機関が持っている関心事が必ずしも一致しているわけではないので、微妙に意見が異なっているように思える部分もあったものの、インドの状況がかなり把握できて非常に参考になった。また、邦人弁護士、インド日本商工会等がインドの地で活躍している様子を直接知ることができ、可能な限りのサポートをしていきたい、とあらためて感じた。
タイでは、邦人弁護士、JETROバンコク事務所、タイ三菱商事、タイ弁護士会、労働省、法務省を訪問した。現地の弁護士制度、日本の外弁制度に関して有益な意見交換が出来た。タイには非常に早い時期から日系企業が進出していた関係で、堅固な日系社会ネットワークが構築されている印象を受けた。リーガルサービスの海外展開を考える際には、このような基盤があることに十分配慮した進め方が必要との気持ちを強く持った。
ちなみに、法務省と日弁連が合同で海外調査を行ったという例は過去になく、今回が初めての企画である。法務省と日弁連は、意見を戦わせるときには十分にやりとりすることは当然だが、求める目的が一緒の場合には、今回のような合同企画で進めることは極めて有効であると素直に感じた。また、現地での日本大使館の方のサポートは非常に有り難かった。
最後に、インドの料理はカレー色以外のものも、きついカレー味をしていることにビックリしたことを記して、筆を置く。

(事務次長 大貫裕仁) 

 

 

男女共同参画推進
日弁連の第二次基本計画を承認

 

3月14日の理事会にて第二次日弁連男女共同参画推進基本計画(第二次基本計画)が承認された。
日弁連における男女共同参画の推進は司法におけるジェンダーバイアスを排除し、国民の半数を占める女性の法的サービスへのアクセスを容易にし、社会における男女共同参画の推進に寄与し、弁護士・弁護士会や司法に対する国民の信頼を高めるという重要な意義を有するものである。かかる認識のもと、日弁連は2007年6月14日男女共同参画推進本部を設置し、2008年3月13日に第一次基本計画を策定した。第一次基本計画では2012年度までの五カ年において取り組むべき具体的施策を規定し、同年にそれまでの取組状況を検証し、計画の見直しを行うこととした。
今回承認された第二次基本計画は、第一次基本計画における施策のさらなる拡充を目指すものとなっている。具体的には男女共同参画推進体制の構築と整備を急務とするほか、政策方針決定過程への女性会員の参画拡大、会員各自の意識高揚、男女会員間の格差の解消、女性弁護士のロールモデルの提示、仕事と家庭の両立支援策の整備等である。
今後も日弁連のあらゆる組織、活動における男女共同参画の実現に向けて積極的主体的な取組を進めたい。

 

 

シンポジウム
中小企業金融円滑化法終了が迫る!
弁護士・弁護士会は何をなすべきか
2月25日 弁護士会館

 

金融機関関係者、公認会計士、税理士らを迎え討論した本年三月の中小企業金融円滑化法終了に伴い、金融機関の対応によっては、多くの中小企業の経営に影響が出る可能性がある。無用な経営破たんを避けるために、円滑化法終了後の対策として、何をすべきかを検証した。

   

冒頭の基調発表で、髙井章光会員(日弁連中小企業法律支援センター事務局次長)および大西正一会員(同副本部長)が、金融円滑化法の終了の対応策として特定調停手続を活用する方策について、他のスキームと比較するなどして説明した。続いて、来賓として登壇した鈴木正徳中小企業庁長官が、同日に発表された中小企業庁と日弁連との共同コミュニケに盛り込まれた連携強化について触れ、日弁連および全国の弁護士に対する高い期待感を表明した。
後半のパネルディスカッションでは、中小企業の現状について、銀行の与信管理や審査を担当する三成英之氏(肥後銀行)が、「今後は粉飾でごまかすことなく、真っ当に従業員や第三者のことを考える中小企業が勝ち残る」と指摘し、公正な企業経営の重要性を語った。中小企業の再生を多く手掛ける柴田昌彦氏(税理士)は、「中小企業の経費削減は既に限界であり、また新規の顧客開拓も現実的に難しい以上、金融機関には返済計画のリスケをお願いするしかない」と切実な現状を訴えた。
中小企業再建の債権カットのスキームについて、小國義之氏(公認会計士)は、特定調停の活用を提案しながら、私的整理の場面では弁護士の交渉力が試されると述べた。また、再建における弁護士の役割について、荒尾俊比古氏(熊本第一信用金庫審査部副部長)は、金融機関の経営監査委員を入れて中小企業の再建スキームを作成する場合であっても、弁護士が関与することにより公正性が確保できると期待感を表明した。また、東健一郎会員(日弁連中小企業法律支援センター委員)も、事業再生に取り組む弁護士が増えてほしいと述べ、今後の中小企業の事業再生において弁護士が担うべき役割の重要性が改めて確認された。

 

2013年度役員紹介

3月8日に開催された代議員会(本人出席258人、代理出席229人)において、2013年度役員が選出された。就任にあたり、13人の副会長の抱負と理事および監事の氏名を紹介する。

 

菊地 裕太郎(きくち ゆうたろう)(東京・三三期)

菊地 裕太郎[出身]北海道
[抱負]取調べ全過程の可視化、身柄拘束全件の被疑者国選の実現等に向けて、その法案化を担う刑弁センター、可視化実現本部等を担当します。また新たな研修センターの立上げ、就職・開業等の若手業務支援の若手法曹センターも担当します。
 山と積まれた課題にひとつひとつ意欲をもって堅実に取り組みます。

 

 

横溝 髙至(よこみぞ たかし)(第一東京・三〇期)

横溝 髙至[出身]埼玉県
[抱負]法テラスは市民が法的サービスを受ける拠点です。法の支配を全国隅々まで押し進めていくためには法テラスの存在は極めて重要です。市民に信頼される司法の実現をめざし日弁連との連携を強化していきたいと思います。

 

 

山岸 良太(やまぎし りょうた)(第二東京・三二期)

山岸 良太[出身]東京都
[抱負]平成11年当時、大学では法曹教育が行われず、研修所は刑事・民事裁判中心の教育で、二弁副会長としてロースクール構想に法曹の未来を託しましたが、今や危機的状況です。よき法曹養成制度のため全力を尽くします。

 

 

海老原 夕美(えびはら ゆみ)(埼玉・三四期)

海老原 夕美[出身]茨城県
[抱負]両性の平等、高齢社会対策本部、高齢者・障害者の権利などを担当します。憲法に両性の平等が規定されていても、なお女性の人権が軽視されるという実態が存在していますし、高齢者・障害者の権利をめぐってもさまざまな問題があります。両性の平等、社会的弱者、少数者の人権擁護など弱者の視点にたち、尽力していきたいと思います。

 

佐野 善房(さの よしふさ)(千葉県・三四期)

佐野 善房[出身]東京都
[抱負]民暴被害救済事案に係ってきた経緯がありますので、民暴被害根絶のため尽力いたします。また弁護士業務に対する妨害事案も多数発生していますので、その防止と対策にも力を入れます。

 

 

福原 哲晃(ふくはら てつあき)(大阪・二九期)

福原 哲晃[出身]山口県
[抱負]民事司法改革推進本部を担当いたします。「民事司法を利用しやすくする懇談会」での議論をアクセルにして、利用者である国民の視点に立って、「民事司法改革グランドデザイン」の実現に向けて取り組みます。

 

 

春名 一典(はるな かずのり)(兵庫県・三四期)

春名 一典[出身]兵庫県
[抱負]広報、修習、業務改革、業革シンポ、ADR、中小企業支援などを担当します。いずれも弁護士、弁護士会の存在感を高めるために重要な分野であると自覚しています。室・委員会の皆様と共に力を尽くします。

 

 

安井 信久(やすい のぶひさ)(愛知県・三二期)

安井 信久[出身]愛知県
[抱負]司法制度調査会、行政訴訟センター、立法対策センターなどを担当します。司法と立法・行政との関係性を踏まえた積極的な活動を心掛け、司法の果たすべき役割の実現と共に、日弁連の政策実現に全力を尽くします。

 

 

河田 英正(かわだ ひでまさ)(岡山・二六期)

河田 英正[出身]岡山県
[抱負]社会における弁護士の役割は拡大し、その数は急激に増加してきました。弁護士としての共通する理念と基盤をしっかりと確立していくことが求められています。消費者問題、公害・環境問題等を担当させていただきます。

 

 

松田 幸子(まつだ さちこ)(宮崎県・三八期)

松田 幸子[出身]山形県
[抱負]人権擁護大会、男女共同参画推進本部、家事法制、子どもの権利に関する委員会、全面的国選付添人実現本部、国際人権を担当いたします。会員の熱心なご努力が日弁連活動の成果につながるよう微力ながら努める所存です。

 

 

大沢 一實(おおさわ かずみ)(青森県・三五期)

大沢 一實[出身]宮城県
[抱負]被災地の弁護士として、東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部の担当となりました。二重ローン問題の実効的解決、被災地域の再生を目指します。日本の人権状況の更なる改善、犯罪被害者等施策の充実に努めます。

 

 

房川 樹芳(ふさがわ きよし)(札幌・三四期)

房川 樹芳[出身]北海道
[抱負]人権擁護委員会の主担当です。冤罪事件における証拠開示は喫緊の課題です。裁判を受ける権利を保障する裁判官非常駐問題、法曹一元実現に向けての弁護士任官なども担当です。課題解決のため微力ですが、全力を尽くします。

 

 

田村 裕(たむら ひろし)(高知・二八期)

田村 裕[出身]高知県
[抱負]犯罪被害者支援、業際・非弁などを担当します。若年弁護士の質と勢力を我が潜在パワーと把え、市民の弁護士職に対する支持を広く集める方法で業際問題等に対応したいと考えます。その他関係委員会と協力して全力を尽くします。

 

 

理事

  • 飯野 紀夫(東京)
  • 氏原 隆弘(東京)
  • 太田 秀哉(東京)
  • 金子 正志(東京)
  • 蒲野 宏之(東京)
  • 並木 政一(東京)
  • 的場美友紀(東京)
  • 松村眞理子(第一東京)
  • 斎藤 祐一(第一東京)
  • 鈴木 和憲(第一東京)
  • 栃木 敏明(第二東京)
  • 髙畑  拓(第二東京)
  • 柳  志郎(第二東京)
  • 中山ひとみ(第二東京)
  • 木村 保夫(横浜)
  • 仁平 信哉(横浜)
  • 池本 誠司(埼玉)
  • 湯川 芳朗(千葉県)
  • 佐谷 道浩(茨城県)
  • 橋本賢二郎(栃木県)
  • 小磯 正康(群馬)
  • 中村 光央(静岡県)
  • 東條 正人(山梨県)
  • 諏訪 雅顕(長野県)
  • 味岡 申宰(新潟県)
  • 辰野 久夫(大阪)
  • 森信 静治(大阪)
  • 矢倉 昌子(大阪)
  • 藤井 正大(京都)
  • 吉川 哲朗(京都)
  • 鈴木 尉久(兵庫県)
  • 正木 靖子(兵庫県)
  • 以呂免義雄(奈良)
  • 甲津 貴央(滋賀)
  • 田中 祥博(和歌山)
  • 纐纈 和義(愛知県)
  • 川上 明彦(愛知県)
  • 向山 富雄(三重)
  • 栗山  知(岐阜県)
  • 島田  広(福井)
  • 西井  繁(金沢)
  • 藤井 輝明(富山県)
  • 小野 裕伸(広島)
  • 大田 明登(山口県)
  • 近藤 幸夫(岡山)
  • 杉山 尊生(鳥取県)
  • 大野 敏之(島根県)
  • 橋本 千尋(福岡県)
  • 我那覇東子(福岡県)
  • 桑原 貴洋(佐賀県)
  • 梅本 國和(長崎県)
  • 千野 博之(大分県)
  • 衛藤 二男(熊本県)
  • 柿内弘一郎(鹿児島県)
  • 西田 隆二(宮崎県)
  • 當真 良明(沖縄)
  • 内田 正之(仙台)
  • 小池 達哉(福島県)
  • 伊藤 三之(山形県)
  • 村井 三郎(岩手)
  • 江野  栄(秋田)
  • 源新  明(青森県)
  • 長田 正寛(札幌)
  • 中村  隆(札幌)
  • 和根崎直樹(函館)
  • 小林 史人(旭川)
  • 齋藤 道俊(釧路)
  • 小早川龍司(香川県)
  • 大西  聡(徳島)
  • 岩﨑 淳司(高知)
  • 五葉 明徳(愛媛)

監事

  • 三浦  修(東京)
  • 大澤 英雄(第一東京)
  • 小倉 純夫(千葉県)
  • 林  晃史(兵庫県)
  • 塚越 正光(三重県)

民事司法懇・片山善博議長に聞く

利用者に身近な民事司法の実現を目指し、本年1月24日に設立された「民事司法を利用しやすくする懇談会」(民事司法懇)。10月末の政府などへの提言に向けて、議長に就任した片山善博教授(慶應義塾大学)に現在の民事司法に対する問題意識や民事司法懇における議論の方向性などを伺った。
片山善博議長―これまでの司法との関わりを教えてください。

私が自治省にいた頃の経験を思い出します。一九九五年頃、土地の固定資産税評価額を大幅に上昇させるという改正を行ったことに伴い、固定資産評価審査委員会に二万件もの不服申し立てがなされ、訴訟も起こされました。訴訟対応をする中で、裁判所が「行政は正しい」という前提で動くことに対する違和感を覚えました。

 

―鳥取県知事時代には司法過疎対策に取り組まれました。


私が知事に就任した当時、ウラン残土の撤去のために、該当地域の自治会の方々が国の機関に訴訟を起こすのを支援し、県が訴訟費用を立て替えたことがありました。その際、住民の方々の訴訟に対するアレルギー感覚・敷居の高さを知りました。当時の県内弁護士は実働が二〇人程度で、圧倒的に弁護士のマンパワーが足りませんでした。そこで、県内の司法インフラの状況を弁護士会や裁判所、消費生活相談員やケースワーカーなどとともに点検した上、弁護士を積極的に誘致するべく、県からの補助金を出すなどの対策をとりました。

 

―そのような経験を踏まえ、民事司法懇ではどのような議論を期待しますか

現状の民事司法は、利用者である市民に遠い存在です。それを近づけるという意味で、「民事司法を利用しやすくする懇談会」とはとても良いネーミングだと思います。「利用しやすくする」ために、「司法はサービス産業」という本質を考えてほしいと思います。市役所だって土曜日に受付を行うようになったのに、裁判所はなぜ土日や夜間に開廷しないのか。法科大学院ができて法曹の数が飛躍的に増加したのだから、方策はあるはずです。
また、利用者の側も司法に対する意識は極めて希薄です。学校で三権分立という言葉は習うものの、司法の使い方については教えていない。そこで、司法を利用することについての啓発活動も必要と考えています。そのためには市民と裁判所をつなぐ弁護士の役割はとても重要で、民事司法懇の提言も、裁判所のインフラ不足を指摘するだけではなく、弁護士会がともに汗をかこうとする姿勢を見せることが重要です。県知事時代には鳥取県の広報媒体を用いて司法制度改革をPRしました。日弁連や裁判所の広報媒体はそもそも一般市民に届いていないので、自治体を通じて司法制度の意義を伝えていくべきでしょう。

   

―弁護士や弁護士会に期待することを教えてください。

弁護士は、業務を通じて多数の事例に接しており、その中で現実に合わない事例や制度を把握しています。まずはそれらを率直な意見として聞かせていただきたい。弁護士の一人一人が司法サービスの実践者であると同時に、司法制度改革に向けた情報提供者であることを自覚していただく必要があります。
民事司法を利用しやすくするための制度改革は待ったなしであり、それを待つ利用者たちの行列は、既にできているのです。

 

 

<片山善博議長略歴>
  • 1951年7月/岡山県出身
  • 1974年4月/自治省入省
  • 1999年4月/鳥取県知事当選、2003年に再選
  • 2007年4月/慶應義塾大学大学院法学研究科教授に就任
  • 2010年9月/総務大臣就任
  • 2011年9月/総務大臣退任、現在に至る

 

 

第37回市民会議
自治体内弁護士の拡充を議論
3月6日 弁護士会館

今回は、自治体内弁護士の拡充をテーマに、兵庫県明石市の任期付公務員である益田明子会員(兵庫県)を招き議論した。なお、4月以降の新年度議長・副議長として、北川正恭議長と豊秀一副議長が再任された(任期一年)。

 


明石市は2012年度に弁護士を一挙に5人採用し、2013年度からは社会福祉士4人、臨床心理士3人を採用する。地方分権が進み自治体に権限が集中するなか、弁護士である泉房穂市長は、職員の専門性を高めていくとの意図から専門家の採用に積極的に取り組んでいる。弁護士職員は市民向け法律相談、条例制定など政策法務への関与、コンプライアンス態勢強化などに従事している。
明石市を選んだ理由について、益田会員は「任期が5年と長く、弁護士を複数名採用するという条件が魅力的に映った」と語り、委員からの「信頼関係構築についての苦労は」との質問に対しては、「部長級の職員から積極的に接していただくことにより早く馴染むことができた。弁護士が複数いたので孤立することもなかった」と述べた。
山岸会長が「弁護士は自治体に対し物申す立場であったが、法の支配を貫くという観点からは、連携と協働を模索していくことも必要になる」と指摘すると、元三重県知事の北川議長は「法的アドバイスを常に受けることができれば現場の職員も安心して執務できる。今は自治体の側が様子を見ている部分もあるが、理解が深まれば弁護士職員はもっと増えるはず」と期待を述べた。

 

市民会議委員(2013年3月6日現在)
長見萬里野(全国消費者協会連合会会長)
北川正恭(議長・早稲田大学公共経営大学院教授)
清原慶子(三鷹市長)
古賀伸明(日本労働組合総連合会会長)
ダニエル・フット(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
中川英彦(前京都大学大学院教授、駿河台大学法科大学院講師)
松永真理(株式会社バンダイ社外取締役)
湯浅 誠(反貧困ネットワーク事務局長)
豊 秀一(副議長・朝日新聞大阪本社社会部次長)
(以上、五十音順)

 

 

災害復興支援に関する全国協議会
3月4日 宮崎市

第8回災害復興支援に関する全国協議会が開催され、全国から委員など約80人が参加した。

 

口蹄疫災害に関する調査

ワークショップの模様2010年4月に宮崎県内で発症が確認された口蹄疫災害について、日弁連は同年8月に災害対策本部を設置し、二度の現地視察の後、防疫体制の強化や農家等に対する損失の全額補償等の提言を行った。2011年3月には家畜伝染病予防法の改正法が成立し、提言の一部が反映されたという経緯がある。
そこで、協議会に先立つ3月3日には、口蹄疫災害に関する調査を実施し、口蹄疫メモリアルセンター(高鍋町)を視察後、二班に分かれ農家等との意見交換会を行った。
JA尾鈴(川南町)の畜産部長と意見交換を行った会員は「経営を再開できた農家の方は少しずつ元気になっていったが、畑作への転換すらできずにそのまま亡くなってしまった方もいるという話が心に残った。処分した家畜や肥料の補償だけでなく、生活再建の支援が必要だと感じた」と話した。都農町の生産農家や獣医師、NPO法人代表との意見交換会では、生産農家の方の「牛は家族である」との話に「心のケア」の重要性を認識した。

 
会長等が出張中に地震災害が発生したら

翌日の協議会では、所属弁護士会において会長等が出張中に地震災害が発生したと想定し、ワークショップ方式で一二班に別れて議論した。①残った理事者が直ちに行う行動、②会員の安否確認の方法、③弁護士会館への避難者受入れの是非等について議論がなされた後、各班の報告者から災害対策マニュアルの整備の必要性や、メールなどによる緊急連絡網の整備、訓練の実施など、各会のさまざまな取り組みが報告された。弁護士会によって規模や組織体制が異なるため、災害時の対応も一様ではなく、それぞれの事情に応じた備えが必要かつ喫緊の課題であるとの認識が共有された。

(災害復興支援委員会 副委員長 安藤建治)

 

災害対策本部仙台会議
現場からの問題提起を
3月11日 仙台弁護士会館

日本大震災から二年の節目の日に、東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部会議を仙台市で開催し、被災三弁護士会と意見交換した。

 

 

原発事故被災者支援法に基づく具体的施策を

原発問題について米村俊彦会員(福島県・相馬支部)は、福島県でも津波被害が小さくないにもかかわらず目が届いていない現状を指摘した。また渡辺淑彦会員(福島県・いわき支部)は、被害者の多くがいわき市に住むことを希望しているが、財物賠償価額の提示額が低く、地価も高騰しているため、不動産を取得できないでいると報告し、改めて原発事故子ども・被災者支援法に基づく施策の必要性を浮き彫りにした。今後は国会議員との連携により基本方針の提出、政策化を求めていくこととなった。

 

住宅の再建への支援を

二重ローン問題について、小向俊和会員(仙台・私的整理ガイドラインPT)は、既に手元資金で弁済したり新規融資を受けた人は、現在の運用では救済されないと報告した。瀧上明会員(岩手)は、「たとえ今回の震災で適用されないとしても、引き続き被災ローン減免制度の立法化を目指すべき」と訴えた。
まちづくりにおいても、住民の意思形成の困難さや、相続人の追跡が困難なため土地の買取りができず復興の足を引っ張るという実態が報告されるなど、多くの問題提起があり、白熱した意見交換会となった。

 

人権擁護大会プレシンポジウム
原発事故から2年を迎えて
3月8日 弁護士会館

  • 人権擁護大会プレシンポジウム原発事故から2年を迎えて

低線量被ばくの影響や、損害賠償の問題は、いずれも福島の住民を中心に不安を募らせている。本シンポジウムでは、チェルノブイリ事故後の研究報告、原発賠償の時効問題などについて有意義な報告がなされた。

 

付健康被害の連鎖

チェルノブイリ事故後、緊急子ども健康支援とともに実態に即して放射線の健康影響研究を開始したのが「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークである。吉田由布子事務局長は、「ポスト・チェルノブイリ」世代でも健康被害が疑われる子どもが増え続けていることを報告した。その理由について、「放射性物質は胎盤を通り胎児へ移行する」と指摘し、「原発事故子ども・被災者支援法の内容に、原発事故の影響を把握する健康調査を盛り込まなければならない」と訴えた。

 

実効性ある損害賠償請求のために

原発の損害賠償の消滅時効問題については、東京電力から解決案が提示されているが、松本克美教授(立命館大学法科大学院)は「抜本的な解決には程遠い」と厳しく指摘する。そもそも民法第七二四条の適用を受けるのかという解釈論を踏まえ、原発事故の特性に応じた消滅時効についての立法が必要と指摘した。
秋元理匡会員(千葉県)は、被害者の生活再建を可能にし、原発事故の責任の所在を明らかにするため、各地の弁護団が連携し、訴訟も見据えて取り組んでいると報告した。

 

 

秘密保全法制シンポジウム
言論・報道の自由を守れるか
2月26日 弁護士会館

  • 秘密保全法制シンポジウム 言論・報道の自由を守れるか  

パネリストは一同に法制への危惧を述べた秘密保全法制は国会に上程されていないが、与党である自民党が成立を目指している「国家安全保障基本法案」には、秘密保全法制の導入が盛り込まれており、民主党政権時よりも緊迫した状況となっている。本シンポジウムでは、特に言論、報道の自由との関連で問題点を議論した。

 

基調報告に立った人権擁護委員会副委員長の田中早苗会員(第一東京)は、秘密保全法制で漏えいが禁じられる「特別秘密」の範囲が不明確なため取材源は口をつぐみ、取材する側は「特定取得罪」を怖れて萎縮してしまうと指摘した。憲法委員会副委員長の福山洋子会員(第二東京)は、「国家安全保障基本法案」は憲法改正によらないで集団的自衛権行使を狙うものだが、秘密保全法制の導入も盛り込まれており、今後の動きを注視する必要があると述べた。

 

秘密保全より情報公開を

続いて、ジャーナリストの轡田隆史氏と青木理氏、新聞記者の梶山天氏(朝日新聞社)と高田昌幸氏(高知新聞社)を迎えて討論した。志布志事件のえん罪報道に取り組んだ梶山氏は「県警内部文書を入手したことでずさんな捜査が裏付けられたが、秘密保全法制によってそんな取材もできなくなる」と語り、北海道新聞社時代に道警裏金問題報道に取り組んだ高田氏は「秘密保全法ができれば『捜査上の秘密』の名の下にいくらでも裏金を作ることができてしまう」と危惧を述べた。
元共同通信記者の青木氏は「役所がもっている情報は市民である私たちの財産。今必要なのは秘密保全ではなくむしろ情報を公開する法制のはず」と指摘した。轡田氏は「このテーマがなかなか報道されないのはなぜなのか。法案の問題点が記事になるよう大手メディアにも迫っていく必要がある」と語った。

 

 

シンポジウム
顔画像で行動を検索できる社会と私たち
便利さはプライバシーに勝るのか
2月27日 弁護士会館

  • シンポジウム「顔画像で行動を検索できる社会と私たち~便利さはプライバシーに勝る?」

地下鉄サリン事件で指名手配されていたオウム真理教元信者について、金融機関、勤務先、コンビニ等の防犯カメラの映像が連日放映されていたのは記憶に新しい。今や、犯罪捜査の端緒として防犯カメラは無視できない存在となっている。他方、防犯カメラにより、誰が、いつ、どこで何をしていたかが判別できることから、国民監視カメラともなり得る。本シンポジウムは、プライバシー権侵害の危険性という観点から監視カメラを再考した。

警察OBの原田氏が民間カメラ画像活用のあり方について問題提起した民間カメラ画像の使用に令状は不要!?

前半は、日弁連情報問題対策委員会委員の奥村裕和会員(大阪)と原田宏二氏(元北海道警察釧路方面本部長・市民の目フォーラム代表)の基調講演があった。
奥村会員は、警察が警察設置の監視カメラにとどまらず、民間のカメラの活用も積極的に進めている現状を報告した。現在、警視庁は、都内の民間カメラを使用して、テロリストらを画像から瞬時に割り出すシステムを試験運用しているという。
原田氏は「従前の捜査は、聞き込み、検問・緊急配備に始まったが、現在は監視カメラの映像収集から始まる」と語り、警察設置のカメラの画像を捜査に使用する際には令状が必要とされるにもかかわらず、民間カメラの場合には捜査関係事項照会書だけで画像利用が行われていると問題提起した。

 

法律で設置・利用の基準を定めるべきに

後半は久保田かおり氏(西日本新聞記者)を加え、パネルディスカッションを行った。
原田氏は、「監視カメラ設置基準の法制化、監視カメラの映像の捜査利用基準の法制化、画像鑑定の公正性の確保が必要」と指摘した。久保田氏は「防犯カメラが本当に防犯に役立っているのか」と問題提起をした上で、「犯罪の防止に必要なのは、教育の充実、社会での居場所作り」であると主張した。

 

弁護士任官10周年シンポジウム
任官者の質・量の拡充のために
3月2日 弁護士会館

2001年12月の最高裁との「弁護士任官等に関する協議の取りまとめ」に基づき、推進体制の枠組みが整った現行の弁護士任官制度がスタートした。翌年開催された第一九回司法シンポジウムでは、2011年に任官者数は年間100人に達するとのシミュレーションを提示した。しかし、2003年から2010年の弁護士任官者は44人にとどまっている。本シンポジウムでは、この10年間の状況を踏まえ、質・量ともに弁護士任官を拡充させるための今後の具体的方策を検討した。

 

シミュレーションからの軌道修正が必要

榎本康浩氏(大阪高等裁判所判事・元岡山弁護士会)はシミュレーションを軌道修正する必要があると指摘し、「弁護士任官はキャリア制度のアンチテーゼと考えるべきではないのでは」と、弁護士任官の目的の再検討を求めた。
飯考行准教授(弘前大学)は、弁護士任官の参考例としてキャリア任官者と弁護士任官者とが刺激しあうオランダのミックスシステムを紹介した。
馬場健一教授(神戸大学大学院)は「60期以降任官に積極的な人が増えてきている」と指摘し、今後は選考方法の改善に重点をシフトしていくべきと論じた。

 

「40%問題」の背景とは

弁護士会の推薦委員会が推薦した任官希望者のうち四割が指名諮問委員会で不適・取下げとなるという、いわゆる40%問題について、明賀英樹会員(大阪・下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員)は、「事件処理能力重視で選ぶ裁判所の意向と、面接時に希望者の資質を把握し切れない弁護士会側の事情が背景にある」と指摘した。

 

推薦委員会に任官経験者を

実際に推薦委員会で面接を担当する中川英彦氏(第二東京弁護士会推薦委員会市民委員)は「最近は自信を持って送り出せる任官希望者が増えてきたように思う。裁判所の視点を持つための一環として、推薦委員会に任官経験者を入れてみては」と提案した。弁護士任官等推進センター事務局長の今川忠会員(大阪)は「今後は各地の推薦委員会の間での情報共有に取り組みたい」と述べた。  

 

裁判所支部機能の拡充に関する全国交流会
全国津々浦々まで平等な司法サービスを 
3月8日 弁護士会館

日弁連は、2005年11月に「裁判所支部の充実を求める要望書」を取りまとめ最高裁に提出するなどして、この問題に取り組んできた。本交流会は、現時点での「裁判所支部機能の拡充に向けての取組方針」を確認するために開催され、テレビ会議も含めると、北から南まで九五人もの弁護士が参加し、意見交換した。

 

青森地裁十和田支部が裁判官常駐に

青森県弁護士会から、「青森地裁十和田支部は今年から事実上裁判官常駐となった」との報告があった。その要因として、「地元の弁護士が支部問題につき市長出席の市民集会を開催し、新聞報道されたことが世論を動かした」、「十和田支部管内の弁護士数が急増し、事件数も伸びたことで、非常駐では事件処理が追いつかなくなった」ことが指摘された。
コメンテーターの佐藤岩夫教授(東京大学社会科学研究所)は、「自分の生活圏で事件を処理するという理念を掲げ、政治的働きかけと事件の掘り起こしによる事件数の増大という両輪で突破を図るべき」と語り、日弁連からは、「日弁連のキャラバンを利用してほしい、キャラバンの際には自治体、マスコミへの声掛けをお願いしたい」と呼びかけた。

 

支部でも労働審判を

続いて、労働審判が本庁でしか開催されないため、申し立てを控える依頼者が多いという問題が指摘された。
佐藤教授は「支部で労働審判を扱うには、審判員の確保、裁判官の負担がハードルになる」と指摘し、「労働審判を支部で開催するためには、労働問題に不慣れな裁判官をサポートする力量が弁護士に求められる」と語った。
最後に、佐藤教授から、「弁護士の法律相談、弁護士会のADR、裁判所における手続という三点セットを総合的に考えていかなければならない」との提言があった。  

 

シンポジウム 
地盤情報開示のあり方を考える
わが家の地盤は大丈夫?
3月6日 弁護士会館

  • シンポジウム「わが家の地盤は大丈夫?~東日本大震災後の地盤情報開示のあり方を考える~」


    家屋、建造物に甚大な被害をもたらした東日本大震災から二年が過ぎようとする中、地盤情報は市民にとって重要な関心事である。本シンポジウムでは、地盤情報の集約と今後の開示体制のあり方を検討した。

冒頭の基調報告で、消費者問題対策委員会委員の千葉晃平会員(仙台)は、仙台市では一〇〇世帯のうち八世帯が震災による建物被害を受け、日弁連のヒアリング等の調査の結果、土地購入時に、「かつては水田があった」、「盛土や切土によって造成された土地であった」などの地盤情報が一切開示されていないことが明らかになったと述べた。さらに、宅地被害予防の観点から現行制度を概観すると、宅地造成等規制法、都市計画法、土地区画整理法などが挙げられるが、これらは投機的取引の抑制などに主眼が置かれており地盤情報そのものの開示を定めていないとして、「地盤情報の開示に関する基本法制の制定が望まれる」と指摘した。
パネルディスカッションでは、国土交通省都市局都市安全課長の清水喜代志氏が、「地盤の液状化や軟弱地盤の問題が顕在化してから日が浅く、予算等の問題から新しい組織を設置する余裕がない」として、「今存在するデータを国民に提供することが重要」と述べた。谷和夫氏(防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター)は、開示情報の正確性について、「開示主体が民間の場合には事後チェック体制を整えることが必要」と述べ、地盤工学に関する見識を担保すべく、「地盤品質判定士」という資格の設置を提唱した。太田敏一教授(明石工業高等専門学校)は、市民への有用な開示のあり方として、「地震が発生した際に、どのような揺れになるのかといったわかりやすい情報提供が必要」と主張し、宮野賢一氏(東日本大震災宅地被害ネットワーク代表)は、地盤情報は「国民共通の利益である」として、開示への理解を求めた。

 

JFBA PRESS -ジャフバプレス- Vol.76

全国統一ナビダイヤル開設記念 
「がばいばあちゃん」と法律相談
3月1日 弁護士会館


一面記事でもご紹介したとおり、3月1日に法律相談センターの全国統一ナビダイヤル「ひまわりお悩み110番」がスタートしました。
 当日は記念イベントを開催し、「佐賀のがばいばあちゃん」で有名な島田洋七さん(漫才師・作家)、佐賀県出身で「行列のできる法律相談所」でもお馴染みの本村健太郎会員(東京)をお招きして笑いの絶えないトークショーが披露されました。
(広報室嘱託 柴田亮子)

 

コンビニと同数の弁護士が傍にいる

冒頭、日弁連公設事務所・法律相談センター委員長の上田英友会員(福岡県)が全国統一ナビダイヤル開設の意義や法律相談センターの利用方法について基調講演を行った。
上田委員長は、近年の全国コンビニ数の変遷と弁護士数の変遷を示し、大凡重なり合うことを指摘した。その上で「至るところにあるコンビニと同数の弁護士が実は傍にいるので、ぜひ活用していただきたい」と参加した市民に語りかけた。

 

最優秀賞の奥原さん(左)と優秀賞の浅倉さん(中央)、奥田さん(右)キャッチコピー優秀作品を表彰

その後、昨年末から公募した「弁護士による法律相談」に関するキャッチコピーの優秀作品の表彰式を行った。応募総数1441件の中から、最優秀作品は、奥原友明さんの「相談相手に、弁護士は入っていますか?」、優秀作品には浅倉稔雅さんの「つなげます、あなたの町の頼れる弁護士へ」と、奥田雅信さんの「弁護士は頼れる暮らしのサポーター」が選ばれ、賞状と目録が山岸会長から手渡された。

 

「がばいばあちゃん」のような話を引き出す力を

続いて、武井共夫副会長(横浜)とフリーアナウンサーの小池達子会員(第二東京)を聞き手として、島田さんと本村会員のトークショーが披露された。
小池 島田さんというと「がばいばあちゃん」がまずは思い浮かびますが。
島田 あれは、子どもの頃預けられた佐賀のおばあちゃんが亡くなったときに、引き出しに僕を育てた記録を書いた一九冊のノートがあって、それをもとに書いたものです。だから、本当の作者はおばあちゃん。
武井 佐賀のおばあちゃんのもとで、貧乏ではあったけど温かい少年時代が綴られていますね。川に入って市場から流れてくる食材を拾ったというのは、本当ですか。
島田 実は、市場ではなくてスーパーだったんです。貧乏だったので、いつも僕は「腹が減った」と言ってたように思います。そのたびにおばあちゃんには「気のせいや」と言われてました(笑)。 山岸会長(中央)、島田さん(左)、本村会員(右)で記念撮影
小池 おばあちゃんに何か相談することもあったのでしょうか。
島田 ありましたね。佐賀を離れる時、「オレ、アホだから心配や」って言ったら、「別の奴が勉強してくれるから大丈夫」と笑い飛ばしてくれました。
漫才師になってからも、「山あり、谷あり」と愚痴をこぼしたら、おばあちゃんから「頂上まであがったら、一度下りて来い。谷にはきれいな水が流れているぞ。ほっとしてからもっと高い山に登ればいい」と言われました。「生きてく上で見栄をはるな。それだけで随分楽になる」というのもよく言われましたよ。
武井 おばあちゃんは親身に話を聞いてくれたのですね。弁護士も、うまく話を引き出す力が必要ですね。

 

弁護士の「敷居を下げる」ために

小池 ところで、本村さんは俳優でもいらっしゃいますが、俳優と弁護士、どちらが本業なのですか。
本村 そりゃあ、弁護士ですよ。裁判所に行くときは、普通の眼鏡で行ってます(笑)。
小池 俳優仲間から法律相談を受けることもありますか。
本村 あります。もちろん無料で。何を相談すればいいかもわからない、弁護士も知らないという人がたくさんいるんじゃないでしょうか。敷居が高いと感じている人が多いと思います。
武井 今回、全国統一ナビダイヤルが開設されたのですが、これが少しでも弁護士の敷居を下げることに繋がればいいのですが。
島田 悩んだら、誰かに聞いてもらうだけでほっとして、半分くらい解決するもんです。皆さんもこれからは弁護士への相談も考えるようにしましょう。

 

☆  ☆  ☆

この全国統一ナビダイヤルの開設を機に、「相談相手に弁護士」がいることを思い出してもらって、「コンビニの数ほどいる」弁護士につなぎ、相談者の「暮らしのサポーター」になるべく努力しなければならないと決意を新たにしました。

 

 

日弁連委員会めぐり 52

日弁連公設事務所・法律相談センター

市民と弁護士をつなぐ最初の窓口となる法律相談センターや公設事務所などを所管するのが日弁連公設事務所・法律相談センター(LC)です。現在および今後のLCの取り組みについて、上田英友委員長(福岡県)と林信行事務局長(第二東京)にお話を伺いました。
(広報室嘱託 大達一賢)

公設事務所設置の現状は

林 公設事務所は、本年3月1日現在で累計112か所を設置し、現在も公設事務所として運営しているのが68か所です。
私も5年前に青森県の十和田に赴任し、対応しきれないほどの仕事量を経験しましたが、今では地域によって大きく異なっているというのが実感です。公設事務所の運営は、基本的に各弁護士の自助努力によりますが、日弁連としては、赴任する各弁護士に対して業務処理や事務所運営についてアドバイスをする体制を整えています。

 

全国的に法律相談センターの相談件数が減少していますが、その対策は

林事務局長(左)と上田委員長上田 減少傾向にあるのは確かですが、その幅には大きく差があります。自治体などと連携して自治体の相談窓口に弁護士を派遣したり、自治体と共同して相談センターそのものを運営したりするなどの工夫をしているところの減少幅は限定的です。
相談件数の底上げのために、広報に力を入れています。ホームページの充実やテレビ・ラジオCMなどがありますが、後者は費用面や、弁護士業務が短時間のCMでPRするのに必ずしも向いていると言えないこともあり、多用はできません。ほかには、自治体広報誌に弁護士会の無料相談を掲載してもらったりしています。
また、本年3月1日に「ひまわりお悩み110番」を設置し、これまでバラバラだった全国の法律相談センターの統一ナビダイヤルを設置しました。これにより利用者のアクセスが容易になり、件数増加につながればと願っています。

 

弁護士過疎や偏在の解消はかなり進んだと思われますが、今後の方針は

上田 2011年12月に、地裁支部のゼロワン地域はいったん解消しましたが、今後も不断の努力が必要です。また、簡裁単位ではゼロワンが依然として存在しますし、管内の地域的偏在の問題もあると思います。
 また、女性弁護士ゼロ地域の解消も必要と考え、公設事務所への女性弁護士の赴任の際には、事務所のセキュリティ強化支援などを行っています。

 

会員に向けてメッセージをお願いします

上田・林 公設事務所は、会員の皆様のひまわり基金で運営できており、ありがたく思っています。経済的合理性の観点からは必ずしも見合わないところもありますが、今一度日弁連・弁護士の公益性の観点から、ご理解を賜りたいと思います。過疎地解消の取り組みは終わりのないものですので、今後ともご協力をお願いいたします。

 

ブックセンターベストセラー
(2012年12月・六法、手帳は除く)協力:弁護士会館ブックセンター

順位 書籍 著者・編者 出版社
1 労働法[第十版]法律学講座双書 菅野和夫 著 弘文堂
2 実務必携 預金の差押え 一般社団法人 金融財政事情研究会 編 きんざい
3 最高裁判所判例解説 民事篇 平成二十一年度(下)(7月~12月分)  法曹会 編 法曹会
4 最高裁判所判例解説 民事篇 平成二十一年度(上)(1月~6月分)  法曹会 編 法曹会
5 破産実務Q&A200問 ―全倒ネットメーリングリストの質疑から 全国倒産処理弁護ネットワーク 編 きんざい
6 概説 家事事件手続法 秋武憲一 編著 青林書院
7 Q&A 士業のための確定申告 伊藤 税・野口雅史 共著 新日本法規出版
8 東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情 第3版 東京家庭裁判所家事第6部 編著 判例タイムズ社
9 会社更生法 伊藤眞 著 有斐閣
10 法律事務所のためのパソコンマニュアル ~弥生会計編 Ver.3.0~ 第一東京弁護士会弁護士業務改革委員会コンピュータ部会 編 第一東京弁護士会会

編集後記

春は出会いと別れの季節、本号が発行される時期は桜が咲いている頃でしょうか。新執行部スタートのニュースを告げるこの日弁連新聞の編集そのものは年度末の業務、というわけで、広報室も4月から新しい広報室長を迎えることとなりました。先月号は通常の四面に震災特集の四面を加えた八面構成、そして次号の編集体制一新とチャレンジが続いていますが、これからも会員の皆様に日弁連の活動、業務に関する情報をわかりやすくお届けできるよう一丸となって取り組みます。個人的には、これからも刑事司法、国際交流、震災復興支援等、さまざまな分野で活躍されている会員の皆さんの生の声をたくさんお届けできればということで、あちらこちらに取材にお伺いします。取材でお聞きできたたくさんの有意義なお話を果たしてどううまくまとめればいいか、私にとってはそれが幸せな悩みです。(R・S)