反原発デモへの警察の不当介入に関する人権救済申立事件(警告・要望)

警視総監宛て警告、東京都公安委員会委員長宛て警告及び要望

2015年3月11日


 

申立人らが企画した原子力発電の廃止を求めることを目的とする集団示威運動(デモ行進)について、申立人らは、警視庁警備連絡係との事前協議で大幅なコース変更を求められた。その後、申立人らは、一部のコースを変更し、デモ開催予定日の13日前に許可申請書を提出したところ、東京都公安委員会は、開催日の2日前になってから、「進路周辺の交通秩序への重大な支障等を防止して公共の秩序を保持するため」という抽象的な理由で、デモコースを大幅に変更する条件を付して、申立人らに許可した。


デモ実施の際の警備においては、申立人らが上記許可に従い、順当な実施を図ろうと意図しているにもかかわらず、各デモ集団に対して、その両側に警備の警察官を配備するいわゆるサンドイッチ規制を行い、デモ参加者と一般の見物人を分断する措置を行った。そのような行為に抗議したデモ参加者と警察官との接触等があった状況の下で、1名に対する明らかな不当逮捕を含む12名のデモ参加者に対する都条例違反あるいは公務執行妨害の容疑での逮捕がなされた。


これらの行為は、本件デモの主催者や参加者に対する人権侵害に当たるとし、警視総監に対し警告し、東京都公安委員長に対し警告及び要望した事例。

 

1 警視総監に対する警告
  集団示威運動の警備に関し、過剰な規制行為及び不当な逮捕を今後行わないことを警告した。

 

2 東京都公安委員会委員長に対する警告及び要望
  集団示威運動の許可に関し、条件を付する場合でも、

① 開催場所・進路等についてデモ行進の同一性を侵害するような大きな変更を行わないこと。

② 条件を付する具体的な理由を明示すること。

③ 場所・進路等の相当程度の変更を伴う条件付許可をする場合には実施日までに相当の期間を置くこと。


を、警告した。


また、本件デモ行進に対する警視庁の警備及び逮捕は、人権を侵害する違法な行為であったと判断されるため、今後、かかる過剰な警備活動及び違法な逮捕が行われることがないよう、警視庁に対する管理権限を行使することを求め、要望した。