裁判員制度の導入

「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(裁判員法)は、2004年5月21日に成立し、同月28日に公布されました。これによって、裁判官と一般市民による裁判員が一緒に刑事裁判を行う「裁判員制度」が、2009年5月21日から始まりました。

 

これまで、司法に市民が参加する制度としては検察審査会や調停委員などがありましたが、司法全体として見た場合には、市民参加の場面は非常に限られていました。今回の裁判員制度は、司法の中核ともいえる訴訟手続に市民が参加する制度であり、市民が裁判官とともに責任を分担しつつ、裁判内容の決定に実質的、主体的に関与することになります。これにより、法律の専門家ではない人たちの感覚や社会常識が、裁判の内容に反映され、その結果、裁判が身近でわかりやすいものとなり、一般市民の司法に対する理解と信頼が深まることが期待されています。

 

裁判員制度では、刑事事件のうち、死刑又は無期の懲役もしくは禁固に当たる罪にかかる事件(たとえば、殺人、強盗致傷等)、法定合議事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件(たとえば、傷害致死、危険運転致死等。死刑、無期等の場合を除く)の裁判について、裁判官3人と国民から選任された裁判員6人が裁判を行います。(ただし、自白事件で、検察官にも被告人・弁護人にも異議が無く、かつ裁判所が適当と認める事件については、裁判官1名と裁判員4名の裁判体で裁判をすることができます。)

 

もっとも、次のような課題もあります。

 

第1に、裁判員の実質的・主体的関与を真に可能にするとともに、被告人の防御権を保障した刑事手続の確立を図ることが必要です。そのためには、新たに創設された証拠開示制度や被疑者段階からの国選弁護制度などが適切に運用されること、また、取調べ過程の可視化(録画・録音)、身体拘束制度の抜本的改革をはじめとする制度改革が制度の施行までに実現されることが不可欠です。

 

第2に、国民がすすんでこの制度を担うためには、十分な情報提供、誰もが参加しやすい環境整備、守秘義務の範囲の明確化なども、重要な課題です。

 

日本弁護士連合会では、裁判員本部を設置して、これらの課題に取り組むとともに、政府及び最高裁判所とも協力した国民への広報啓発活動、弁護士に対する研修など、取り組みを行ってきました。