裁判外紛争処理制度(ADR)の拡大

法律的な紛争は、最終的には裁判で決着をつけるというのが司法制度の基本です。


しかし、裁判においては、正確な事実認定に基づく判断が必要とされるので、手続がやや複雑であったり、ある程度の時間と費用がかかるのは避けられません。


そこで、裁判とよりも簡易・迅速に安価な費用で紛争を解決できる、裁判外紛争解決機関が工夫されてきました。この機関のことをADR(Alternative Dispute Resolution)と呼んでいます。


ADRはわが国でも、交通事故、建築、個別労働関係などの個別の分野、弁護士会が設立している仲裁センターなどが設立されていましたが、今回の改革において、ADRの範囲を拡大してより利用しやすくするため、以下の制度が導入されました。


  1. 弁護士又は弁護士法人でなくとも、法務大臣の認証を受けた「認証紛争解決事業者」は、報酬を得て和解の仲介の業務を行うことが可能となります。
  2. 隣接法律専門職種(司法書士、弁理士、社会保険労務士、土地家屋調査士)に法律で定められたADR機関での一定の紛争解決手続代理が認められました。


この改革に対応するため、日弁連は、2001年にADRセンターを立ち上げ、ADRに関する調査・研究・政策提言などを行っています。

なお、改革の詳しい経緯と概要は以下のとおりです。

  1. 2001年6月12日の司法制度改革審議会の「ADRが、国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるよう、その拡充、活性化を図るべきである。」とする意見書を受け、司法制度改革推進本部内の「ADR検討会」で、「総合的なADRの制度基盤の整備」が議論され、2004年12月1日には、利用者の利便の向上と手続の選択を容易にすることを目的とした「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(以下「ADR法」と言います。)が公布されました。この法律は、2007年4月1日から施行されました。
    ADR法では、弁護士又は弁護士法人でなくとも、法務大臣の認証を受けた「認証紛争解決事業者」は、報酬を得て和解の仲介の業務を行うことが出来るとされています。
  2. 隣接法律専門職種については、①認定司法書士に一定の範囲で仲裁手続の代理権、筆 界特定手続の代理権が認められ、②弁理士の仲裁代理業務が調停、あっせんを含む裁判外紛争解決手続についてのものであることを明確化し、ADR手続代理業務の対象に著作物に関する権利に関する事件が追加され、③特定社会保険労務士に、一定の公的ADRにおける代理権と一定の民間紛争解決手続において紛争価額が60万円以下は単独の、紛争価額が60万円を超える場合は弁護士と共同の条件で代理権が認められ、④土地家屋調査士には、筆界特定手続の単独代理権と、認定土地家屋調査士に一定の民間紛争解決手続において弁護士と共同の条件で代理権が認められました。