行政訴訟改革

「行政訴訟」は、行政の活動が法律に基づいて適切に行われているかどうかを、裁判所を通じてチェックするもので、憲法の三権分立を実現する重要な制度です。ところが、今までの行政訴訟制度は、訴えを提起するための要件が厳しく(処分性・原告適格等の問題)、もし訴えの提起が認められても、行政裁量を理由に裁判所が行政の判断を追認するものが大半であり、市民にとって非常に使いにくいものでした。


そこで、行政訴訟制度を使いやすく、充実したものとするため、司法制度改革審議会(1999~2001年。2001年6月12日意見書発表)を経て、司法制度改革推進本部の行政訴訟検討会で検討を重ねてきました。


その成果として行政事件訴訟法が一部改正(行政事件訴訟法の一部を改正する法律:平成16年法律第84号)され、司法の行政に対するチェック機能の強化が部分的に実現されました。改革の主な内容は、以下のとおりです。

 

  1. 救済範囲の拡大

      (1)義務付け訴訟・差止訴訟の法定
      (2)確認訴訟の例示
      (3)第三者の原告適格の拡大 

  2. 審理の充実・促進のための釈明処分の特則の法定

  3. 行政訴訟をより利用しやすく、分かりやすくするための仕組み

      (1)被告適格の変更
      (2)抗告訴訟の管轄裁判所の拡大
      (3)出訴期間の延長等
      (4)出訴期間等の情報提供(教示)制度の新設

  4. 本案判決前における仮の救済制度の整備

      (1)執行停止要件の緩和
      (2)仮の義務付け・仮の差止め制度の新設


しかし、上記内容の行政事件訴訟法の改正は、いわば行政訴訟制度の第1弾の改革に過ぎず、見直すべき課題は依然として多く残されています。


具体的には、裁量統制の改革、行政計画・行政立法の争訟手続の整備、客観訴訟の充実(団体訴訟、納税者訴訟の創設)、弁護士費用の片面的敗訴者負担制度の導入等については、速やかに改革のための検討を開始する必要があります。


日弁連では、引き続き、第2弾の改革を推し進めるため、会内に設置した「行政訴訟センター」を中心に、調査研究に基づく具体的な制度設計とともに、恒常的に行政法制度の監視・改善を行う機関の設置や、公金検査請求訴訟制度の創設、その他様々な角度から、提言や意見表明を行っていきます。