日本の法令・裁判例・その他資料

法令

icon_page.png(1)日本国憲法
icon_page.png(2)日韓請求権協定
icon_page.png(3)国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令

戦後に朝鮮半島に帰国した朝鮮半島出身労働者への未払賃金の処理を主な目的とする政令である。本令制定当時(1950年)、朝鮮半島出身者は日本の法制上、植民地時代以来の日本国籍を保有していたが、日本戸籍とは別の朝鮮戸籍に登載されていたので、第2条2-1の「日本の国籍を有し、且つ、本邦に本籍を有しない者で本邦に住所又は居所を有しないもの」にあたる。

 

通常は供託をする者は債権者に供託の通知をする必要があり(民法495条3項)、供託金返還請求権は10年の消滅時効にかかる(民法167条1項)が、この政令の適用を受ける者については、供託の通知は必要なく(11条)、その代り消滅時効が完成しない(7条)。その結果、朝鮮半島及び台湾出身労働者の未払い賃金は本人が知らないまま供託され、未だに法務局に保管されたままになっている。

 

icon_page.png(4)財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国島の財産権に対する措置に関する法律(法律144号)

1965年に日韓基本条約と同時に締結され、第2条第1項の「完全かつ最終的に解決された」の文言は韓国の被害者に対する戦後補償は終了しているとの主張の主要な根拠とされている。

 

しかし締結当時には、この文言は外交保護権の放棄を意味するにすぎず、個人の実体的請求権を消滅させるものではないので、日本政府は日本人の残してきた在韓財産について補償する義務はないと説明されていた。1990年代には、韓国人戦争被害者の個人請求権もこの条項で消滅したものではなく、日本の裁判所に提訴することができ、請求権の存否は司法府が決定するとの趣旨の国会答弁が行われた。しかし2000年代になると、本条項の意味するところは個人請求権の消滅又は訴訟により請求する権能の消滅であるとの解釈が訴訟の中で国側から主張されるようになり、2007年の最高裁判決が中国人被害者の請求権について、日中共同声明により個人の実体的請求権は消滅していないが裁判上訴求する権能が失われた旨判示してから、韓国人被害者の請求権も本協定により裁判上訴求できなくなったとする下級審判決が相次いだ。日本政府も法律的にはこれと同様の解釈をしているものと考えられる。

 

また、第3条では本協定について解釈上の紛争が生じた場合には外交上の経路、更に仲裁手続きによって解決することが規定されている。2011年の日本軍「慰安婦」被害者、原爆被爆者に関する韓国憲法裁判所決定、2012年の強制動員労働者に関する韓国大法院判決により、本協定に関する日韓の解釈の相違が鮮明になり、本条が焦点になりつつある。

 

icon_page.png(5)台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律

日本は1950年代から旧軍人・軍属の戦没者・戦傷者等に対する十数件の援護立法を行い、これらの法律により多額の(1990年代までで35兆円)援護給付がなされてきた。しかし、原爆被害者関係を除くすべての立法には国籍条項が含まれ、朝鮮半島・台湾出身で、日本の軍人・軍属として死傷した人々は対象から除外されている。

 

このうち、台湾出身者の戦没者・重度の戦傷者に一人200万円の弔慰金・見舞金支給を定めたのがこの「台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律」及び「特定弔慰金等の支給の実施に関する法律」である。当事者らの長期間にわたる立法運動や訴訟の結果制定された法律であるが、一人200万円という金額が著しく少額である(例えば日本人の重度戦傷者に支給されてきた障害年金等の合計額の30分の1程度)、「人道的精神に基づき」「弔慰金」「見舞金」との文言を採用して戦没者・戦傷者に対する日本国の責任の認定を回避している、などの批判がある。

 

icon_page.png(6)平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金の支給に関する法律
icon_page.png(7)同法施行令
icon_page.png(8)同施行規則

1950年代から日本で制定された各種の戦没者・戦傷者援護立法には国籍条項があるため、朝鮮半島・台湾出身者で日本に居住する者やその子孫にもこれらの法による援護は及ばない。

 

この法律はこの穴を埋める目的で制定された立法であり、戦没者に260万円の弔慰金、重度の戦傷者に200万円の見舞金の支給が行われた。「台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律」と同様に当事者の長期にわたる運動の末の立法ではあったが、やはり金額が少ない、「人道的精神」「弔慰金」「見舞金」の文言を用いて日本国の責任を回避している、対象を日本居住者に限定し新たな差別を生み出した、等の批判がある。

 

icon_page.png(9)日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法

本法は戦前(降伏文書調印日以前)から引き続き日本に居住している朝鮮半島・台湾出身者及びその子孫で引き続き日本に居住している者等について特別永住権を認める等の内容を規定している。戦後補償に直接関係する法律ではないが、「平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律」が、弔慰金等の支給対象に関する規定において本法第2条を引用しているため、掲載することにした。