成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の成立を受けての会長声明

 

本日、第198回通常国会において、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律が成立した。


成年後見制度は、2000年(平成12年)の民法改正により、自己決定権の尊重、ノーマライゼーション等の理念と本人保護の理念との調和を旨とする制度として、従前の禁治産・準禁治産制度に代わって発足した制度であるところ、従前の禁治産・準禁治産制度と同様に、地方公務員法や弁護士法等の資格や免許を規律する法律において、成年被後見人等となったことを「欠格事由」とする規定(以下「欠格条項」という。)が残されていた。


こうした欠格条項は、単に成年被後見人等となったという欠格事由があることのみを理由として障害のある者を経済活動や社会活動から排除するものであるため、成年後見制度の利用を阻害する要因となっており、障害者支援団体等が廃止を求めてきた。当連合会も、1999年以降、一貫して、欠格条項が不当であるとの意見を表明し、廃止を求めてきた(2000年(平成12年)11月16日付け「障害者欠格条項の撤廃を求める意見書」等)。


このような状況において本法が成立したことは、欠格条項の廃止を求めてきた当事者や障害者支援団体等の長きにわたる働きかけの成果であり、当連合会としても障害のある者の権利救済の見地から高く評価するものである。本法の施行後においては、障害のある者が、成年後見制度を利用したとしても資格や免許を失うことなく、又は新たにこれらを取得するなどして、広く経済活動や社会活動に参画することができ、ひいては共生社会が実現されることが期待できる。


もっとも、本法成立後においても、124の法律に関し、各政省令等において、新たに「心身の故障により業務を適正に行うことができない」などの場合に権利を制限する旨の個別審査規定を設けることが予定されている。これらの個別審査規定の整備や運用に当たっては、障害のある者が不当な権利制限を受けないようにするという本法の趣旨、さらには、障害者の権利に関する条約、障害者基本法及び障害者差別解消法の趣旨に抵触することのないよう、適正かつ実質的になされなければならない。


当連合会においては、本法により弁護士法上の欠格事由も廃止されたことを受け、弁護士法13条に基づく弁護士登録取消しのための資格審査において、障害のある者の権利に配慮しつつ、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の職責に適った厳正な資格審査が行われるようにすることを改めて確認する。


当連合会は、本法成立後においても、障害のある者の人権擁護に徹底して取り組んでいく所存である。



 2019年(令和元年)6月7日

             日本弁護士連合会
           会長 菊地 裕太郎