憲法記念日を迎えるに当たっての会長談話

 

日本国憲法が施行されてから、本日で72年目の憲法記念日を迎えました。  


日本に中長期に在留する外国人は、2018年に、特別永住者を含め270万人を超えました。外国人労働者の受入れ拡大のために出入国管理及び難民認定法が改正されたことから、今後一層、異なる文化的な背景を持つ外国人が日本で生活を送ることになります。外国人に対する差別的取扱いやヘイトスピーチの実情に目を向けると、彼らを社会の一員として温かく迎えられているとは言えないのではないでしょうか。  


また昨今、同じくマイノリティーである同性パートナーが法的承認や差別是正を求める訴えを強めています。しかし、これに応える政策は進んでいるとは言えない状況にあります。  


これらのマイノリティーの声は、国際化、多様化する日本社会やビジネスの現場において、人権の保障はどうあるべきか、それは国際標準に合致しているかという問いを投げかけています。 


その問いに対して、全ての人が人種、国籍、信条、性、身分などに関係なく人権を保障され個人として尊重される社会を山の頂に例えてみると、私たちはまだ山頂を目指して歩いている途上にあります。山登りの合間に寒風でかじかんだ手をカップに添えながら飲む1杯のコーヒー。そんなコーヒーのように、個々人の違いを認め受容して温かく包み込む寛容な社会を作り上げていかねばなりません。偏見、差別、排除といった冷たさに抗いながら。実際、そのための様々な斬新な試みが人々の間に見られます。その先には、いさかいや紛争のない平和な社会が広がり、共生という山の頂上で一人ひとりがきらめいていると確信いたします。  


憲法記念日に当たり、改めて個人の尊重と平和の意義を、皆様と共有したいと思います。


当連合会は、自由、平和、そして個人の尊重という日本国憲法の価値を希求して、基本的人権の擁護と社会正義の実現のために活動を続けてまいります。


 2019年(令和元年)5月3日

             日本弁護士連合会
           会長 菊地 裕太郎