子どもへの体罰等のない社会を目指した法改正を求める会長声明

 

政府は、本年3月19日、「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」(以下「本改正案」という。)を閣議決定し、今国会に提出した。  


本改正案には、児童虐待の防止等に関する法律(以下「児童虐待防止法」という。)14条1項において親権者による体罰の禁止を新たに規定すること、児童福祉法33条の2の2項及び47条3項において児童相談所長及び児童福祉施設の長等による体罰を禁止することが盛り込まれている。  


当連合会は、かねて、体罰等はたとえ軽微なものであっても深刻な弊害をもたらし得るものであるところ、その法的禁止は諸外国において大きな成果を上げていることなどを踏まえ、家庭を含めあらゆる環境において、子どもに対する体罰及びその他の残虐な又は品位を傷つける形態の罰(以下「体罰等」という。)が禁止されることを児童虐待防止法及び民法において明文化すべきであると主張し、その実現に向けて取り組んできた(2015年3月19日「子どもに対する体罰及びその他の残虐な又は品位を傷つける形態の罰の根絶を求める意見書」)。  


それゆえ、本改正案が、学校における体罰禁止(学校教育法11条)に加えて、子どもへの体罰禁止を明文化するものであることは高く評価する。  


もっとも、本改正案には次のような問題点が残っている。当連合会は、これらの点が改善された上で、今国会で体罰等禁止の法制化が実現することを求める。


1 本改正案が禁止する対象が「体罰」に限定されていること  

体罰のみならず、体罰以外の残虐な又は品位を傷つける形態をとる罰、例えば、子どもをけなし、侮辱し、脅迫し、こわがらせ、又は笑いものにすることを意図した罰も、同様に禁止されるべきである。


2 体罰禁止の名宛人が「親権を行う者」等に限定されていること  

本改正案は上記のとおり「親権を行う者」等の体罰を禁じているが、体罰等は、親権者以外の親族、父母の内縁者から行われることもあり、また、家庭内のみならず、子どもたちのあらゆる生活場面で起こり得る。そもそも児童虐待防止法3条の児童虐待の禁止と同様に、児童に対する体罰等は誰からのものであっても禁止されるべきであり、体罰禁止の名宛人を「親権を行う者」等に限定せず、誰もがその名宛人とされるべきである。


 2019年(平成31年)4月18日

             日本弁護士連合会
           会長 菊地 裕太郎