医学部の入学試験における女性差別を根絶し、医療現場における男女共同参画の実現を求める会長声明

 

文部科学省は、大学の医学部医学科の入学試験において、女性受験者等に対し、一律に不正な得点調整がなされていたことが明らかになったことを受けて、2018年8月から、医学部医学科を置く全ての大学に対する緊急調査を実施し、同年12月14日、「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査最終まとめ」を公表した。この最終まとめにおいて、入学試験における不適切な事案等が多数指摘されたが、このうち3大学が性別により取扱いの差異を設けた不適切な事案として、1大学が不適切である可能性の高い事案として指摘された。


大学は私立大学を含め公共性を有しているところ(教育基本法8条、私立学校法1条)、このような入学試験における性別を理由とする一律の不利益な取扱いは、法の下の平等を定める憲法14条1項、性別によって教育上差別されないとする教育基本法4条1項及び教育の分野において女子に対する差別撤廃の措置を締約国に求める女性差別撤廃条約10条の趣旨に反する不合理な差別であり、教育を受ける権利(憲法26条1項、社会権規約13条1項)を侵害する行為である。


今回の問題の背景には、妊娠・出産・育児を機に医療現場から離れる女性医師が少なくないという現状がある。女性医師が安心して就業を続けるためには、医療現場における性別役割分業意識に基づく女性差別や偏見を排することは当然のこととして、医療現場において、男女を問わず医師がワーク・ライフ・バランスを保ちながら、就業を継続できる環境を整備することが必要である。


当連合会は、入学試験における性別による差別を根絶するために、文部科学省に対し、同省から、不適切な事案であると指摘された各大学に、大学の自治や教育の自由に配慮しつつ、被害者の救済及び入学試験における性別等による差別の禁止を徹底する措置を要請することを求める。また、医療現場における男女共同参画が実現され、二度と今回のような不利益取扱いが生じないようにするために、厚生労働省に対し、医療現場に関わる団体等と十分に協議し、男女を問わず医師がワーク・ライフ・バランスを保ちながら活躍できる環境づくりに必要な施策等を実施することを求める。


        

 2019年(平成31年)1月25日

             日本弁護士連合会
           会長 菊地 裕太郎