再婚禁止期間の廃止及び選択的夫婦別氏制度の導入を求める会長声明

本日、国会において、「民法の一部を改正する法律」が成立し、男女ともに婚姻適齢が満18歳に統一されることとなった。


今回の婚姻適齢に関する法改正については、法制審議会による「民法の一部を改正する法律案要綱」の答申から既に22年が経過し、改正の検討に長期間要したものの、当連合会がかねてから改正を求めてきた民法における差別的規定の見直しであり、評価できる。


一方、再婚禁止期間を定める民法第733条については、2015年12月16日の最高裁判決を受けて、6か月から100日に再婚禁止期間を短縮する法改正がなされたが、女性にのみ再婚禁止期間を設けることは、必要最小限にしてやむを得ない制約とは言えず、再婚禁止期間自体を撤廃すべきである。


また、夫婦同氏強制を定める民法第750条については、憲法第13条及び同第24条が保障する個人の尊厳、同第24条及び同第13条が保障する婚姻の自由、同第14条及び同第24条が保障する平等権を侵害し、女性差別撤廃条約第16条第1項にも反するものである。加えて、前述の法律案要綱においても、選択的夫婦別氏制度を導入する旨の答申がなされており、早急に見直しが必要である。


これらの規定に対し、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し繰り返し改正を勧告しており、女性差別撤廃条約の実施状況に関する日本政府の第7回及び第8回報告書に対する総括所見(2016年3月7日)の中でも、「女性が婚姻前の姓を使用し続けられるよう婚姻したカップルの氏の選択に関する規定を改定すること。さらに離婚後女性に対するいかなる再婚禁止期間も廃止すること」を改めて勧告している。


また、2018年2月に内閣府が公表した「家族の法制に関する世論調査」において、「選択的夫婦別氏制度」を導入してもよいとの回答が過去最高の42.5%、導入する必要はないとの回答が過去最低の29.3%となり、選択的夫婦別氏制度を導入してもよいとの回答が導入する必要はないとの回答を上回っている。特に、18~49歳の女性では、導入してもよいとの回答が50%を超えていることが注目される。


当連合会は、引き続き、国に対し、民法第733条を更に改正し再婚禁止期間の廃止を求めるとともに、民法第750条を改正し選択的夫婦別氏制度を導入することを求める。



  2018年(平成30年)6月13日

日本弁護士連合会      

 会長 菊地 裕太郎