一人ひとりの被災者に対する支援継続に関する会長談話

東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故から6年が経過した。

東日本大震災の被災地では、被災者の生活再建は決して順調に進んでおらず、復興の格差が進み、一人ひとりが抱える事情は複雑化して求められる支援内容も個別化している。原発事故の被害者に対する救済・賠償は不十分であり、避難指示解除や中間処理施設の在り方、そして住宅支援の打切り等もめぐって事態は深刻化し、一人ひとりの自己決定がこれまで以上に尊重されるべき局面を迎えている。

当連合会は、被災地における人間の復興を実現すべく、対策本部等を中心に法律相談等の法的支援、実態調査、政策提言等に取り組んできたが、今後も引き続いて全力で支援に臨む所存である。

一方、本年度中には、熊本地震、東北・北海道の台風被害、鳥取県中部地震、糸魚川大規模火災等大災害が相次いだ。当連合会は、熊本地震において対策本部を設置して支援を継続し、他の災害でも全力で被災者支援に取り組んできた。今後も南海トラフ巨大地震や首都直下地震等の大規模災害が予想されており、災害対策は喫緊の課題である。

そこで、当連合会では、今般、大規模災害発生時の被災者支援の対応体制を整備するとともに、被災地の弁護士会の初動支援及び被災者支援を行うこと等を目的としてDLAT(Disaster Legal Assistance Team)システムを新たに構築し、これまで蓄積した経験と人材を活用して、一人ひとりの被災者の生活再建まで見据えた被災者支援を拡充することとした。当連合会は、全国各地の経験と英知を結集し、東日本大震災をはじめ各被災地における一人ひとりの被災者に対する支援を継続していく。

 

  2017年(平成29年)3月11日

日本弁護士連合会      

 会長 中本 和洋