再婚禁止期間を短縮する民法の一部を改正する法律の成立に対する会長声明

本日、女性のみに再婚を禁じた民法第733条を6か月から100日間に禁止期間を短縮する改正法が可決・成立した。改正法は、離婚時に妊娠していないことが医師によって証明された場合には、禁止期間の適用を除外するとするものである。

 

今回の改正は、2015年12月16日の最高裁大法廷判決において、100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は合理性を欠くとして、憲法第14条第1項及び同第24条第2項に違反すると判断したことを受けてのものである。今回、国会において、民法第733条の再婚禁止期間の規定を改正すべきと判断された点については評価できるが、上記改正法のように100日間に期間を短縮しても、女性のみに再婚禁止期間を設けることは、必要最小限にしてやむを得ないとはいえず、再婚禁止期間自体を撤廃すべきである。この点については、国連の自由権規約委員会及び女性差別撤廃委員会からも、日本政府に対し、遅滞なく再婚禁止期間の廃止をすべきことが繰り返し勧告されているところである。

 

さらに、再婚禁止期間の短縮のほかに、夫婦同氏強制を定める民法第750条を改正し選択的夫婦別氏制度を導入すること、婚姻適齢に男女差を設ける民法第731条を改正し婚姻適齢を男女とも満18歳に統一することを盛り込んだ法制審議会による「民法の一部を改正する法律案要綱」の答申から、既に20年も経過している。国連の自由権規約委員会は民法第731条(婚姻適齢)について、女性差別撤廃委員会は民法第731条に加えて民法第750条について、日本政府に対し繰り返し改正を勧告してきた。また、本年3月7日の女性差別撤廃条約の実施状況に関する日本政府の第7回及び第8回報告書に対する女性差別撤廃委員会からの総括所見は、これらの規定を遅滞なく改正することを勧告し、さらに、勧告を実施するためにとった措置について書面による情報を2年以内に提出することを求めている。

 

当連合会は、かねてから民法第733条、同第750条、同第731条を差別的規定であるとして繰り返し改正を求めてきたが、引き続き、国に対し、民法第733条をさらに改正し再婚禁止期間の廃止を求めるとともに、民法第750条を改正し選択的夫婦別氏制度を導入すること、民法第731条を改正し、男女の婚姻適齢を満18歳に統一することを求める。

 

 


 

 2016年(平成28年)6月1日

日本弁護士連合会
会長 中本 和洋