名張毒ぶどう酒事件の死後再審請求を支援する会長声明

 

本日、元再審請求人奥西勝氏の妹岡美代子氏は、名古屋高等裁判所に対し、いわゆる名張毒ぶどう酒事件について、死後再審請求の申立てをした。当連合会は、この再審請求を支援し、裁判所に対し、速やかに再審開始決定をするよう求めるものである。


本件は、1961年(昭和36年)3月、三重県名張市で、農薬が混入されたぶどう酒を飲んだ女性5名が死亡し、12名が傷害を負った事件である。奥西氏は、第一審で無罪となったが、控訴審で逆転死刑判決を受け、上告棄却により死刑判決が確定した。当連合会は、1973年(昭和48年)、再審支援のため、名張事件委員会を設置し、以来、奥西氏救済のために最大限の支援をしてきた。


名張毒ぶどう酒事件は、2005年(平成17年)4月、第7次再審請求の請求審において、一旦、再審開始決定がなされたが、2012年(平成24年)5月、差戻し異議審において同決定が取り消された。その直後、奥西氏は重篤な病に陥り、以来、3年以上にわたり、闘病生活を続けてきた。


弁護団は、本年5月、名古屋高等裁判所に対し、第9次再審請求の申立てをし、審理は始まったばかりであった。しかし、10月4日、残念ながら、奥西氏は決定を待たずして病死し、同月15日に訴訟手続の終了決定がなされた。半世紀以上、無実を叫び続けながら、生きて雪冤を果たすことができなかった奥西氏の無念はいかばかりかと察するに余りある。この事件の再審が未だに開かれない要因は、裁判所が、確定判決に対する合理的疑いが生じているにもかかわらず、これを無視し、死刑判決を維持し続けてきたことにある。


今日、奥西氏の遺志を引き継ぎ、その遺族が死後再審請求を申し立てた。当連合会は、今回の死後再審請求の申立てについても、引き続きこれを支援し、名張毒ぶどう酒事件の再審開始、無罪判決の獲得に向けて、あらゆる努力を惜しまないことをここに表明する。

 

2015年(平成27年)11月6日

日本弁護士連合会

会長 村 越   進