高浜原発差止仮処分福井地裁決定に対する会長声明

福井地方裁判所(以下「福井地裁」という。)は、2015年4月14日、関西電力株式会社に対し、高浜原子力発電所(以下「高浜原発」という。)3、4号機の原子炉について、運転の差止めを命じる仮処分決定を言い渡した。


福井地裁では、2014年5月に大飯原子力発電所3、4号機の運転差止めを命じる判決が言い渡されたが、仮処分決定において請求が認容されたのは初めてであり、その意義は大きい。


当連合会は、2013年に広島市で開催された第56回人権擁護大会において、原発の再稼働を認めず、できる限り速やかに廃止すること等を内容とする決議を採択した。また、当連合会は、2014年に福井地裁が上記判決を言い渡した際、これを評価する会長声明を公表し、同年、函館市で開催された第57回人権擁護大会においても、行政庁が前提としない科学的・経験的見解をも司法判断の前提とすること等を求める宣言を採択した。


今回の福井地裁決定は、高浜原発から250キロメートル圏内の居住者の請求を認めたものであり、とりわけ、「新規制基準に求められるべき合理性とは、原発の設備が基準に適合すれば深刻な災害を引き起こす恐れが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。しかるに、新規制基準は緩やかに過ぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。」としたものであり、安全審査の前提となる新規制基準が合理性を欠くと断言した意義は大きい。


当連合会は、政府に対して、本決定を受けて従来のエネルギー政策を改め、できる限り速やかに原発を廃止し、再生可能エネルギーを飛躍的に普及させるとともに、これまで原発が立地してきた地域が原発に依存することなく自律的発展ができるよう、必要な支援を行うことを強く求めるものである。

     

  2015年(平成27年)4月14日

日本弁護士連合会      

 会長 村 越   進