不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律の成立に当たっての会長声明

本日、参議院本会議で「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が可決・成立し、不当景品類及び不当表示防止法に課徴金制度が導入されることとなった。


改正法では、課徴金制度の導入に当たり、不実証広告規制に係る表示をも課徴金賦課の対象に含め、主観的要件につき故意・重過失の場合に限定されず、また、限定的ではあるものの、自主返金による被害救済の可能性が制度化されている。この改正は、表示の適正化並びに消費者被害の抑止に資するものとして、当連合会が2011年から繰り返し求めてきたことが実現したものであり、歓迎する。


しかしながら、「100分の3」という課徴金率について、当連合会では不当表示の事前抑止には十分な水準とはいえないとしてきたが、改正法では維持されることとなった。この点、衆議院及び参議院の消費者問題に関する特別委員会にて「課徴金額の算定率や規模基準の設定等について、必要な見直しを行うこと」と附帯決議がなされたところであり、この趣旨に沿って、改正法施行後の抑止力に不十分な点が認められれば、速やかな引上げが検討されるべきである。


また、2014年8月26日付けで消費者庁から公表された法律案の概要に含まれていた、課徴金納付命令が予定される場合に独立行政法人国民生活センターに行えるとした寄附制度は、改正法に盛り込まれなかった。


寄附制度は、被害救済を図るためには必要不可欠なものであり、更に、寄附金の使途については、同法上の不当表示による被害に限らず、他の法規による表示一般に関する消費者被害の回復や、消費者契約法等の規制する不当な契約問題による消費者被害の回復などにも利用可能な枠組みが検討されるべきである。参議院の消費者問題に関する特別委員会の附帯決議に触れられているとおり、「消費者被害の防止や回復のために行う普及啓発活動等の支援の在り方」として、引き続き、検討されるよう求める。


また、同附帯決議第7項の「公正競争規約制度」の普及は望ましいことであるが、表示の自主ルールの策定・改廃に当たっては、消費者団体等からの意見が反映されるべきである。


当連合会は、ここに国に対し、法施行後も実効性のある課徴金制度とするために、課徴金率の引上げや寄附制度の導入等について、具体的な検討を重ねていくよう強く求めるものである。


    

 

 2014年(平成26年)11月19日

  日本弁護士連合会
  会長 村 越   進