経済財政運営と改革の基本方針2014(社会保障改革部分)の見直しを求める会長声明

 

 

政府は、2014年6月24日、「経済財政運営と改革の基本方針2014(骨太方針)」を閣議決定し(以下「骨太方針2014」という。)、これに基づき、2014年7月25日、「平成27年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」(概算要求基準)を閣議了解した。

 

骨太方針2014は、「経済再生と財政健全化の両立に向けた基本的考え方」として、経済の成長に資するための財政運営という観点を明確に打ち出し、歳出面では、歳出の重点化・効率化のため、裁量的経費・義務的経費を通じて聖域なき見直しを行うとしている。

 

そして、社会保障については「自助・自立のための環境整備を進める」こと、「医療・介護を中心に社会保障給付について、いわゆる「自然増」も含め聖域なく見直し、徹底的に効率化・適正化していく必要がある」ことを「基本的考え方」とし、特に、生活保護については、住宅扶助や冬季加算等について「必要な適正化措置を平成27年度に講じる。」こと等を指示している。

 

しかし、社会保障に関する国の責務を「自助・自立のための環境整備」に矮小化することは、憲法25条1項で、すべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障し、同条2項で、そのために、国に対し、社会保障を増進する責務を課していることに反するものであり、「自助・自立」を過度に強調して、必要な社会保障に関する国の責務を後退させることがあってはならない(当連合会2013年11月21日「社会保障制度改革国民会議報告書に基づき進められる社会保障制度改革の基本的な考え方に反対する意見書」等)。

 

また、社会保障給付を「効率化・適正化」するという名目の下に、国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するために必要な社会保障給付が、非効率でも不適正でもないのに安易に削減されてはならない。

 

特に、生活保護の住宅扶助や冬季加算等に関しては、現在、社会保障審議会生活保護基準部会において、生活保護利用者が現に居住する住宅について、住生活基本法に基づく住生活基本計画が「世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準」として定める「最低居住面積水準」を満たしているか等の検証作業を行っているところである。それにもかかわらず、その検証結果を待たず、一般低所得世帯の家賃水準等との比較を理由として、住宅扶助等について「必要な適正化措置を平成27年度に講じる。」ものとしていることは、生活保護費を削減しようとする結論が先にありきと言わざるを得ない。

 

よって、当連合会は、骨太方針2014(社会保障改革部分)により、健康で文化的な最低限度の生活の内容について十分に検証がなされることなく、生活保護給付等の社会保障が削減されようとしていることに対し、その見直しを強く求める。




 

   2014年(平成26年)8月8日

  日本弁護士連合会
  会長 村 越  進