情報監視審査会の設置に関する国会法改正案の国会提出についての会長声明  

 

2014年5月30日、自民党、公明党は、国会における特定秘密の指定等の運用を監視する機関である情報監視審査会の設置に関する規定を定める国会法改正案を衆議院に提出した。


昨年12月6日に成立した秘密保護法については、国民主権と民主主義、基本的人権尊重という憲法の基本原理に抵触するばかりか、慎重審議を求める大多数の国民の意見を無視して、法案提出からわずか42日間という短い国会審議で採決の強行が繰り返されたことに批判が集まったものである。また、情報監視審査会は、秘密保護法上の特定秘密の指定等の運用を監視するために設置されるものとされているが、特定秘密の指定等の監視の在り方は、知る権利、ひいては国民主権に関わる重大な問題である。それにも関わらず、自民党、公明党が、市民から広く意見を聞く手続も経ないまま本法律案を国会に提出したことについては、秘密保護法成立時と同じ過ちを繰り返していると言わなくてはならない。


また、同法律案102条の15は、内閣が、特定秘密の提出が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある旨の声明を出しさえすれば、特定秘密を国会に提出しなくてよいとしている。これは、秘密保護法10条が、特定秘密の提出等が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあると行政機関が判断した場合には、国会に特定秘密が提出等されないため、国会の行政監視機能を後退させると批判されている点が何ら払しょくされずそのまま踏襲されていることになる。さらに、秘密保護法10条や本法律案102条の15の定める安全保障に著しい支障を及ぼすとの要件は極めて抽象的であり、いかようにも解釈可能である。このような秘密保護法の考え方そのものが抜本的に変更されなければ、行政機関の判断次第で情報監視審査会が特定秘密の提出を受けない可能性は払しょくされず、どのような監視機関を設置したとしても、特定秘密を見ないまま特定秘密の指定などについての監視を行うことになり、十分な監視を期待することはできない。


結局のところ、本法律に定める情報監視審査会の設置によっても特定秘密指定の運用の適正化を図ることはできず、秘密保護法の廃止を含めた抜本的な見直しが必要である。


当連合会としては、情報監視審査会の設置に関する国会法改正案の審議において、拙速な審議を繰り返さないことを求めるとともに、同法律案によっても行政による恣意的な特定秘密指定の運用がなされる危険性が払しょくできない以上改めて秘密保護法の廃止を含めた抜本的見直しを求めるものである。


 


  2014年(平成26年)6月11日

  日本弁護士連合会
  会長 村 越   進