67回目の憲法記念日に当たっての会長談話

憲法は人権を守り、国の在り方を定める最高法規である。日本国憲法は、基本的人権の尊重とともに、戦争放棄のみならず、戦力不保持・交戦権否認という徹底した恒久平和主義を基本原理とすることで、平和国家としての国の在り方を定めた。


日本国憲法第9条は、平和国家としての日本の未来を指し示すものとして、悲惨な戦争体験を経た日本国民から受け入れられた。その後、世界各地では数々の戦争が起きたが、日本は一度も戦争に参加することなく今日に至っている。


今、政府が進めようとしている集団的自衛権行使容認の動きは、日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国のために戦争をすることを意味し、戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えることになる。


そのような憲法の基本原理に関わる重大な解釈の変更が、国民の中で十分に議論されることなく、政府の判断で行われることは、憲法により国家権力を制限することで人権保障を図るという立憲主義に反し、憲法の存在意義を失わせることであり、絶対に認めることはできない。


当連合会は、1950年5月12日に開催された全国弁護士平和大会での平和宣言において、「日本国憲法は世界に率先して戦争を放棄した。われらはこの崇高な精神に徹して、地上から戦争の害悪を根絶し、各個人が人種国籍を超越し、自由平等で且つ欠乏と恐怖のない平和な世界の実現を期する」と表明したが、この決意は今も変わらない。


日本が過去の侵略戦争への反省の下に徹底した恒久平和主義を堅持することは、日本の侵略により悲惨な体験を受けたアジア諸国の人々との信頼関係を構築し、アジアにおいて武力によらずに紛争を解決し、平和な社会を創り上げる礎になるものである。


当連合会は、先日、憲法問題対策本部を発足させたところであり、立憲主義を堅持し、徹底した恒久平和主義を守るために、全力を尽くすことを誓うものである。


 2014年(平成26年)5月3日

  日本弁護士連合会
  会長 村 越   進