「法曹養成制度検討会議取りまとめ」に関する会長声明

 

政府の法曹養成制度検討会議が「取りまとめ」を公表した。今後、これを踏まえて法曹養成制度関係閣僚会議が、政府としての措置を決定するものとされている。当連合会は、検討会議の委員及び関係機関等が、昨年8月の設置以来16回の会議を通じて検討を重ねてこられたことに敬意を表するものであるが、残された課題は大きい。

 

「取りまとめ」は、法曹有資格者の活動領域、今後の法曹人口、法曹養成制度の在り方という、法曹養成制度及びこれに関連する法曹の在り方に関わる重要事項について検討結果を示したものであるが、法曹志願者の減少をはじめとする様々な問題に対する処方箋としてはいまだ不十分であり、引き続き今後の検討体制における速やかな対応が必要である。

 

第1に、今後の法曹人口の在り方については、司法試験の年間合格者数3、000人という数値目標は現実性を欠くとして事実上撤回したが、今後の検討においては、急増による弊害が顕著な当面の合格者数を減少させ、漸増ペースへ転換する方向性をより明確にするべきである。

 

第2に、司法修習生に対する経済的支援の在り方については、実務修習地への移転費用、集合修習中の寮の問題等の具体的措置がとられることとなり、さらなる経済的支援は、司法修習生の地位及びそれに関連する措置の中で検討されることとなった。しかし、給費制の復活を求める多数のパブリック・コメントの意見や政権与党の積極的な経済的支援の提言に照らせば、その内容は極めて不十分なものに止まっている。なお、兼業許可基準の緩和を経済的支援の一つとして論じるべきでないことは、本年6月10日付けの会長声明で指摘したとおりである。

 

第3に、法科大学院制度の改革については、課題を抱える法科大学院の自主的な組織見直しを加速させることに加えて、一定期間内に組織見直しが進まない場合に法的措置を設けることが明記された。他方、法科大学院の浮揚に向けて総合的方策を展開する必要があるとされた。これらの提言を多様性の確保、地域適正配置の観点も踏まえて具体化し、法科大学院の理念に沿った抜本的な改革をさらに進める必要がある。

 

このほか、司法試験の受験回数制限を5年以内5回に緩和すること、短答式試験の科目を憲法、民法、刑法に限定することが提言されたが、法曹の活動領域拡大に向けた国の積極的な取組はいまだ具体的でなく、司法修習生へのさらなる経済的支援、制度趣旨を踏まえた予備試験の在り方、司法修習の充実なども含めて多くの課題が、今後の検討を待つこととなった。

 

今後の検討体制については、「省庁横断的にフォローアップしつつ、検討課題について速やかに結論を得ることのできる」強力な体制の整備が提言されている。法曹の活動領域の拡大等をはじめとする残された諸課題は、我が国の社会の隅々に「法の支配」を行きわたらせ、かつ、司法の機能と役割を強化し、それを支える法曹の在り方に関わる、市民にとって重要かつ身近な問題であり、法曹三者と関係省庁だけでの検討では不十分である。そこで、新たな検討体制においても司法制度の利用者である市民の意見を反映する仕組みを考えるべきである。

 

当連合会は、この「取りまとめ」を受けて、政府が、現在の法曹養成制度の問題の解決に向けた具体的な施策を速やかに実施するよう強く求めるとともに、当連合会においても、引き続き法曹養成制度の改革に向けて全力を尽くす所存である。

 

2013年(平成25年)6月27日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司