法曹養成課程における経済的支援についてのパブリックコメントを法曹養成制度検討会議最終取りまとめへ生かすことを求める会長声明

 

本年5月30日、法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)において、中間的取りまとめに対して寄せられた意見の概要と最終取りまとめに向けての座長試案が提示された。


中間的取りまとめに対するパブリックコメントには3,119通の意見が寄せられ、そのうちの2,421通は法曹養成課程における経済的支援についての意見を含むものであった。法務省の説明によれば大多数が給費制の復活を支持するものであったと報告されている。また、当連合会の把握している情報では、法科大学院生、学部生、司法試験受験生など法曹志望者からの切実な意見が1,000通程度寄せられたと聞いている。


他方、司法修習生に対する経済的支援についての座長試案の1、2項では、分野別実務修習開始時における転居費用について、現居住地から実務修習地への転居を要する者について、旅費法に準じて移転料を支給するとし、集合修習期間中、司法研修所への入寮を希望する者のうち、通学圏内に住居を有しない者については、入寮できるようにする措置を講じることとしている。


これは貸与制の下で生じている著しい不均衡に対する一つの配慮として評価できないではないとしても、給費制の復活を求める法曹志望者の切実な声や裁判所法改正法及び衆議院法務委員会附帯決議の趣旨に鑑みれば、司法修習生に対する経済的支援策としては極めて不十分であるといわざるを得ない。


また、検討会議の事務局がまとめた意見の概要は、意見者の属性、意見の分布状況等についての説明がなく、内容についての分析も不十分であり、同試案にどのように反映させたのかも不明である。


さらに、同試案3項では、修習専念義務を前提に、兼業禁止基準の緩和を認めており、今後の検討で「更なる緩和の要否についても検討されることが考えられる」とされている。


しかし、短い期間で充実した修習を行うためには、修習専念義務から導かれる兼業禁止の例外は厳格に解すべきであり、経済的支援策の一つとして運用基準を緩和することは本末転倒である。


本項の措置が、充実した修習を阻害し、ひいては専念義務の形骸化につながることを強く懸念する。


検討会議の最終取りまとめにて、パブリックコメントに寄せられた意見を踏まえた、給費制の復活を含む司法修習生に対する経済的支援策が提言されることを期待する。 

 

 

2013年(平成25年)6月10日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司