「弁護士ゼロワン地域」の解消に関する会長談話

本年12月18日、旭川弁護士会に新たに弁護士が1名登録し、「流氷の町ひまわり基金法律事務所」(旭川地方裁判所紋別支部管内・北海道紋別市)を開所したことをもって、地方裁判所支部単位での「弁護士ゼロワン地域」が解消された。

 

当連合会は、1996年(平成8年)の定期総会で採択された「名古屋宣言」において、弁護士過疎・偏在を解消するために全力を挙げて取り組む決意であることを内外に明らかにした。

 

そして、1999年(平成11年)に、全会員から特別会費を徴収して「日弁連ひまわり基金」を設置し、2000年(平成12年)の島根県浜田市を皮切りとする、全国各地の延べ109か所への「ひまわり基金法律事務所」の設立により、弁護士の常駐を支援することを通じて、司法サービスを提供してきた。

 

また、2006年(平成18年)に設立された日本司法支援センター(法テラス)の司法過疎対応地域事務所に配属される常勤スタッフ弁護士の確保、養成及び支援においても、当連合会は重要な役割を担ってきた。

 

さらに、2007年(平成19年)には、「弁護士偏在解消のための経済的支援」制度を設け、弁護士偏在地域において独立開業する弁護士を支援すると共に、過疎・偏在地域に赴任する弁護士を養成するための拠点事務所の設置等にも取り組んできた。これらの取組のために、本日までに当連合会が投じた金額は、約16億円余に及んでいる。

 

こうした弁護士過疎・偏在対策により、1996年(平成8年)当時、全国に78か所存在した「弁護士ゼロワン地域」が解消された。

 

全国各地の会員、弁護士会及び弁護士会連合会と共に、弁護士過疎・偏在地域の解消に取り組んだ結果、この日を迎えることとなり、当連合会としても大変意義深いことである。

 

他方、状況によっては、今後も「弁護士ゼロワン地域」は再度発生する可能性があり、引き続き努力が求められている。

 

弁護士過疎のみならず、広く司法過疎を解消するためには、裁判官及び検察官の増員・常駐、裁判所及び検察庁支部の機能の強化や法律扶助予算の増額等、「国民の裁判を受ける権利」の実質的な保障という、国の責務に基づく司法基盤の整備が強く求められる。

 

当連合会は、国のみならず、地方自治体や関係公的機関との連携・協力を深める等して、全国各地の司法アクセスを容易にし、あまねく「法の支配」を行き渡らせるために、引き続き弁護士過疎・偏在地域の解消に全力を挙げて取り組む決意を改めて表明するものである。

 

2011年(平成23年)12月19日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児