「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ(案)」に対する日弁連コメント

2011年7月29日
日本弁護士連合会



1 消費者庁と国民生活センターによる「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」(以下「タスクフォース」という。)は、本年7月25日に、「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ(案)」(以下「取りまとめ(案)」という。)を公表した。


これまで当連合会は、国民生活センターの在り方についての検討は、国会の意思を尊重し(消費者庁及び消費者委員会設置法附則第3項、参議院消費者問題に関する特別委員会附帯決議33項、衆議院消費者問題に関する特別委員会附帯決議23項)、消費者委員会の意見を十分に尊重すべきであると指摘してきた。


そして、内閣府消費者委員会は、本年7月15日付け意見書において、「検討会を新たに設置して検討すること、タスクフォースの検討結果を最終結論としないこと」を明確に求めている。


したがって、タスクフォースにおいて国民生活センターの組織体制の在り方を決定すること自体が不適切である。今後は、消費者委員会の意見に従い、消費者・消費者団体、弁護士等の専門家を含む有識者などから構成される検討機関を新たに設置して検討を行うべきであり、その際にはこれまでの国会審議を踏まえて、消費者行政に係る体制について広く整備を図る観点から検討される必要がある。


よって、当連合会は、タスクフォースの検討結果をもって最終結論としないよう、強く求める。


2 また、「取りまとめ(案)」は、内容的にも問題がある。確かに、本年5月13日付け「国民生活センターの在り方の見直しに係る中間整理」と比較すると、財産事案の情報分析・提供のうち消費者への注意喚起を内容とするものは施設等機関の決定により迅速に公表するものとし、手続面で迅速性や自主性を尊重するような修正を加えるなど、いくつか修正を加えている。


しかしながら、施設等機関が情報を分析して発表する前に「情報発信チーム」で検討する手続が予定されているところ、その議論の過程で消費者庁内部部局が国民生活センターの問題提起を抑えるおそれについて制度的に防ぐ手当が示されてないなど、本質的な部分で問題があるといわざるを得ない。この点につき「取りまとめ(案)」は、「情報発信機能においては、柔軟性・機動性及び問題点の指摘・政策提言が重要である」という理念を記述しているが、制度の在り方を議論するにおいては単に理念だけでは不十分であり、これを制度的に確保できるような法制度的な措置や組織体制の在り方を再検討すべきである。


その他、相談業務、研修業務、商品テスト業務等を通じて、施設等機関が実施する各機能の柔軟性・自主性を制度的に確保する具体的かつ実効的な法制度的措置や組織体制の在り方についても示されていない。また、ADR機能の実施者を第三者組織としつつ、施設等機関が事務局機能を担うという組織体制の不自然さも残る。


したがって、これらの問題を含めて、より抜本的な組織体制の在り方を新たに設置する検討機関において再検討することが必要である。