「法曹の養成に関するフォーラム」の開催にあたり、議事の公開と審理の充実を求める会長声明

本日、法務省は「法曹の養成に関するフォーラム」の開催を発表した。



フォーラムにおいては、司法制度改革の理念を踏まえ、法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果(平成22年7月6日)と司法修習給費制の1年間の延長を決めた裁判所法一部改正の際の衆議院法務委員会決議(同年11月24日)に基づき、①給費制の存廃問題を含む法曹養成過程への経済的支援の在り方、②法曹人口問題を含む法曹養成制度全体の在り方が検討される。



当連合会は、法科大学院を中核とした新しい法曹養成制度が、法科大学院入学志願者の減少傾向に象徴される悪循環に陥り、その理念を実現できていないことを憂慮し、法科大学院の総定員の地域適正配置に配慮した削減、法科大学院教育と司法試験・司法修習との連携強化等の法曹養成制度の改善策を提言してきた。また、経済的理由により法曹への途を断念することがないよう司法修習生への給費制維持など法曹養成過程全体への経済的支援を充実させることを求めてきた。



フォーラムはこうした法曹養成制度に関する諸問題を検討する極めて重要な会議であり、当連合会はフォーラムにおいて関係諸機関及び有識者が十分な審理のうえ具体的な改善方策の合意に至ることを期待するものである。



しかるところ、本日発表されたフォーラムの「検討の進め方」によると、「会議は非公開とする」とされ、議事内容については「原則として、会議終了後速やかに議事録を作成して公表する」というにとどまっている。



しかし、上記のとおりフォーラムは司法制度改革の大きな柱である法曹養成制度全体の在り方を見直し、その改善方策を検討する極めて重要な会議であり、関係者も内閣官房と5省庁、法曹三者、法科大学院等の多数に及んでおり、当然ながら世論の関心も高い。こうしたフォーラムの会議を非公開の密室で行うことは、政策決定過程の透明化の要請に逆行し、政治への国民の信頼を損なうものである。実際、司法制度改革審議会の議事は公開されており、また、この間法務省において開催された「検察の在り方検討会議」においても別室で同時中継する形式で会議が公開されており、少なくともこうした公開方法を実施すべきである。



よって、当連合会はフォーラムを構成する関係諸機関及び有識者に対し、会議を公開し国民に開かれた充実した審理を行うよう強く求めるものである。


2011年(平成23年)5月13日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児