金融商品取引法改正(未公開有価証券規制)に関する会長声明

本年3月11日、未公開株・社債等の被害に対応するための金融商品取引法の一部を改正する法案が閣議決定された。


今回の改正法案は、金融商品取引法上の登録を受けていない業者が、非上場会社等の株式・社債等の売付け等を行った場合に、その売買契約を原則として無効とするものである。また、無登録業者に対する規制として、「販売」だけでなく、広告・勧誘行為も禁止して罰則を設け、さらに従前の販売に対する罰則を強化するなど、無登録業者による未公開株・社債の売付け等を厳しく規制する内容となっている。


これまで当連合会は、一貫して金融まがい商品販売による被害の救済と防止のため活動してきた。とりわけ、未公開株については、近時被害が急速に広まっていることに対し、2010年6月に、被害救済の必要性を提言し、金融庁、消費者庁、内閣府消費者委員会、警察庁に対し、必要十分な規制や取締りを求める意見書を提出するなどして、繰り返し、被害の撲滅に向けて関係各省庁に働きかけてきた。


今回の法改正は、多大な被害を生む業法違反の行為について、業法によって取り締まることはもちろん、さらに、無登録業者の行為が、証券の価値に関する情報が不十分であることを利用して投資者の適切な投資判断を誤らせ、不当な利益を得る行為である蓋然性が高いことに鑑み、民事上の効果も認めないとの国家の強い意思を示すものである。また、全体として、未公開株・社債を厳しく取り締まることを明らかにしているなど、これまでの当連合会の意見と軌を一にし、深刻な被害の実態に対応する新たな一歩として、高く評価できる。


今も、高齢者を中心に、未公開株・社債等による深刻な被害は日々拡大している。


当連合会は、拡大する被害を止めるために、まず、今回の改正法案を、一刻も早く今国会で成立させることを求める。


当連合会は、今後も消費者被害の防止と救済のために、活動していく所存である。


2011年(平成23年)3月11日


日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児