少年の裁判員裁判事件における死刑判決を受けて(日弁連コメント)

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2010年(平成22年)11月25日
日本弁護士連合会


本日、仙台地方裁判所において、殺人罪等に問われた19歳の少年に対して、少年の裁判員裁判事件で初めての死刑判決が言い渡された。


当連合会は、先に横浜地方裁判所で死刑判決が言い渡された際にも述べたことであるが、今回の判決を受け、改めて死刑判決の評決のあり方について再検討がなされるべきであり、また、死刑制度の存廃を含むあり方について、国民的議論がより一層深められる必要があると考えている。


とりわけ、少年に対する死刑は、さらにより一層慎重な検討・議論が求められている。


子どもの権利条約は18歳未満の子どもに対する死刑を禁止しており、少年法も第51条で「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」として、罪を犯した当時18歳未満の少年に対しては死刑を科さないとしている。これは、18歳未満で重大な事件を起こした少年の場合、成育過程においていくつものハンディを抱えていることが多く、精神的に未成熟であることから、あらためて成長と更生の機会を与え、自らの行為の重大性に向き合わせようとする趣旨である。


本裁判における少年は犯行当時18歳であったが、これらの法の趣旨は、犯行当時18歳の少年に対する判決においても尊重されるべきであると考える。


この点について十分な検討が行われるためにも、当連合会は、政府に対し、死刑確定者に対する処遇の実態や死刑執行方法などの情報とあわせて、重大な少年事件の背景と要因、少年に対する矯正処遇の実状とその効果などの情報を、今後裁判員となりうる国民一般に広く公開することを求めるものである。


以上