ひまわり基金法律事務所開設10周年について(会長談話)

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当連合会が「ひまわり基金」に基づくひまわり基金法律事務所の開設による司法過疎対策の取組みを始めてから、明日で10年が経つ。

 

当連合会は、弁護士過疎地域におけるひまわり基金法律事務所及び法律相談センターの設置・維持、弁護士定着等過疎・偏在を解消するための活動費用にあてるため、1999年(平成11年)に日弁連創立50周年記念「ひまわり基金」を設置し、2000年(平成12年)1月以降は全会員から特別会費を徴収して、弁護士過疎・偏在対策に取り組んで来た。

 

こうした当連合会の取組みにより、1996年(平成8年)当時47か所存在した「弁護士ゼロ地域」はすべて解消され、「弁護士ワン地域」も残り5か所まで減少した。また、ひまわり基金法律事務所は、2000年(平成12年)6月12日に島根県浜田市に第1号が開設され、今年4月に鹿児島県奄美市では2つ目となるひまわり基金法律事務所が開設されたことにより、全国の累計で100か所に達した。

 

このことは、全国各地の弁護士、弁護士会、弁護士会連合会とともに、当連合会が弁護士過疎地域の解消に取り組んできた成果である。

 

もとより、司法過疎の解消のためには、 単に「弁護士ゼロ・ワン地域」が解消されるにとどまらず、裁判官・検察官の増員による非常駐支部の解消、 裁判所・検察庁支部の機能強化、 法律扶助予算の増額等、 「国民の裁判を受ける権利の実質的な保障」という国の責務に基づく司法基盤の整備の推進が強く求められるところである。

 

当連合会は、 国の責務に基づく司法基盤の整備の推進を強く求めるとともに、国や法テラスなど関係諸機関との協力・連携のもとに、 全国津々浦々の市民の司法へのアクセスを容易にし、 あまねく「法の支配」をゆきわたらせるため、 引き続き、弁護士過疎地域の解消に全力をあげて取り組む決意であることを、 ここにあらためて表明するものである。

 

2010年6月11日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児