中国政府によるさらなる邦人3名に対する死刑執行に関する日弁連コメント

→English
2010年4月9日
日本弁護士連合会


 

本日、中国政府は、麻薬密輸の罪により死刑が確定していた3名の日本人の死刑を執行した。中国政府による日本人男性の死刑執行は、4月6日の1名に対する死刑執行に続き、僅か4日間で4名にのぼるという事態となった。

 

当連合会は、本年3月末に中国政府から日本政府への死刑執行通告がなされて以降、死刑を未然に防ぐための明確な要望を行うよう、日本政府に対して求めてきた。そして、4月6日に1人目の死刑執行がなされた際には、重ねて、さらなる死刑執行を防ぐため明確な要望を行うよう、日本政府に強く要請を行ってきた。

 

こうした度重なる要請にもかかわらず、日本政府は、日本国民の生命に対する権利を守るための明確な要望をついに行うことなく、4名の尊い人命が失われるに至ったことは、極めて遺憾である。

 

本件のような薬物犯罪に対する死刑の適用が、国際人権法上認められないことは、先の声明で述べたとおりである。それに加えて、国連の拷問等に関する特別報告者は、中国に関する報告書において、死刑の適用範囲を縮小すること、すなわち経済犯罪や非暴力犯罪に対する死刑を廃止することを勧告している(2006年)。また中国は、1988年に拷問等禁止条約を批准しているが、国連拷問禁止委員会は中国政府に対し、死刑の適用を制限するために法の見直しを行うべきであると勧告している(2008年第4回中国政府報告書審査における総括所見パラグラフ34)。

 

中国政府は、自ら加入する人権条約上の義務を果たしていないのであって、これに対する日本政府の意見表明が内政干渉にあたらないことは、国連人権理事会における普遍的定期的審査をみても明らかである。

 

今後も、中国をはじめ、日本国外において日本国民が死刑に直面する事態が想定される。当連合会は、日本政府に対して、二度と同様の事態を繰り返さず、国民の生命権を守るために毅然とした態度で臨むよう、改めて強く要請するものである。

 

以上