公文書管理法の成立にあたっての会長声明

情報公開と公文書管理は車の両輪である。当連合会は、1999年の情報公開法制定にあたり、公文書管理法の制定が必要であることを指摘してきたが、今般、国会において、公文書等の管理に関する法律が法案修正のうえ成立したこと、とりわけ、法の目的に「公文書等が健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」を明記したこと、意思決定過程文書の作成義務が明記されたこと、さらに行政文書ファイル簿の廃棄についての内閣総理大臣の同意等が要件とされたことは評価したい。


しかしながら、この法律だけでは公文書管理は不十分である。


公文書管理担当機関として「公文書管理庁」を設け文書の管理を適正に行わせるとともに、国会や裁判所の公文書、検察庁保管の刑事確定訴訟記録や軍法会議記録についても、行政文書と同様の管理ができるよう、公文書管理法がすみやかに改正されるべきであり、あわせて国会や裁判所の情報公開法も制定されるべきである。文書の移管を受ける国立公文書館は、移管を円滑に受けるために、行政機関本体から距離を置いた組織とするべきである。 


これを機に、地方公共団体においても公文書管理条例を制定し、公文書館における文書管理が促進されることも期待したい。また、政府が中心となり、国会、裁判所と共に、5年後の見直しに向けて、公文書の電子化の在り方も検討するなど公文書管理の抜本的改革を進めることを求めたい。


当連合会は、国民の情報主権の確立を求めて、今後も一層努めていきたい。


2009年(平成21年)6月25日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠