放送法等の一部を改正する法律の成立に当たっての会長談話

本日、放送法等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)が成立した。


改正法では、国会審議の過程において、総務省が提出した放送法改正案から、放送事業者に対する再発防止計画の提出の求めに係る制度が削除されるに至った。


当連合会は、2007年3月28日に公表した会長談話において、放送による報道の自由の重要性に鑑み、再発防止計画の提出の求めに係る制度を除外するよう求めてきたものであり、高く評価するものである。


他方、改正法では、日本放送協会(NHK)に対する国際放送の命令放送制度が要請放送制度に改められた。国会審議の過程においては、その対象を「邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項」等に限定するなどの修正がされたが、政府は、改正後も、放送を要請する事項の個別具体性については、従前の運用と変化がないと答弁している。


当連合会は、2006年11月20日に公表した会長談話において、放送の自律性の理念を尊重するという観点から、個別具体的な事項に関する命令放送を行わないよう求めてきたものであり、衆参両院の総務委員会の附帯決議においても、総務大臣が要請を行うに当たっては、NHKの表現の自由、番組編集の自由を最大限尊重することとされているところである。しかし、上記の政府答弁の内容をふまえるならば、なお、放送番組編集の自由の観点からの懸念が払拭されたとは言い難い。


当連合会は、今後も、政府に対し、個別具体的な事項に関する要請を行うなど、放送の内容に対する介入を行うことのないよう引き続き求める。また、放送事業者に対しても、自主的第三者機関である放送倫理・番組向上機構(BPO)による取組みをさらに適切かつ実効性のあるものとし、一層の厳しい倫理と責任を自覚して放送を行う努力を続けるとともに、放送番組の自主的な編集を貫くよう求めるものである


2007年(平成19年)12月21日


日本弁護士連合会
会長 平山 正剛