平成19年(2007年)新潟県中越沖地震に関し、政府に対し、被災地・被災者の再建支援に関する特別立法を求めるとともに会をあげて被災者の支援活動を誓う会長談話

このたびの平成19年(2007年)新潟県中越沖地震で被災された皆様には、心からお見舞いを申し上げます。私は、本日、被災地を回り、被災者のお話を伺いましたが、その被害が甚大なものであることをあらためて痛感いたしました。この地域は平成16年(2004年)10月の新潟県中越地震において被害を受けられたばかりであり、さらに、今般このような甚大な被害を受けられたものであって、被害者の方々の苦しみは、筆舌に尽くしがたいものがあります。


なお、この被害に対して新潟県をはじめ各地方自治体が迅速・的確な支援活動に尽力されていることに敬意を表するものです。


新潟県弁護士会では、7月23日から電話法律相談(日曜祝日を除く毎日午後1時から4時まで)を開始しており、また、被災地での面談による法律相談を8月4日から開始することを決めるなど、被災者の抱えられている困り事について、身近な相談相手となるべく、最大限の努力をいたします。当連合会としても、新潟県弁護士会のこれら活動を全面的に支援し協力をしてまいります。


当連合会は、すでに、内閣府に設置された「被災者生活再建支援制度に関する検討会」に対して、来夏までに改正が予定されている被災者生活再建支援法に関し、現行の、家財道具の購入費、家屋の解体・撤去費等に限定された立法を、住宅本体の補修費、建築費、購入費も支援の対象とすべきこと、並びに、支出要件の緩和を求めてきましたが、さらに、今般、当該改正法が、本年3月以降に発生した能登半島地震、台風第4号による被災者と併せて、このたびの平成19年(2007年)新潟県中越沖地震による被災者に対しても遡及的に適用されるように求める「被災者生活再建支援法改正についての追加意見書」を提出いたしました。私は、本日、この被災地を回るにつけ、上記意見が被災者の真摯な求めを反映しているものであることを痛感しました。当連合会としても、その実現に向けて懸命に努力していこうとの決意を新たにしているところです。


また、このたびの地震は、柏崎刈羽原子力発電所のすべての原子炉建屋で観測された加速度が設計上の想定値を大きく超え、変圧器の火災、放射能を含む水の海中への流出など、原子力発電所の安全面での問題を顕在化させました。同発電所の近隣地域の被災者は、地震被災の不安のうえに、同発電所の安全対策にも不審を抱かざるをえず、二重に不安な日々を送っています。加えて、柏崎刈羽原子力発電所で大事故が起きれば、広範な国民と国土に深刻な災害をもたらします。設計上の想定値を大幅に超える地震動が発生し、種々の事故、損傷が原子力発電所施設に生ずることによる原子炉災害は、万が一にも起きてはならないことです。国及び電力会社は、柏崎刈羽原子力発電所の地震に伴う事故につき、公正な第三者機関による徹底した調査を速やかに行い、その結果をすべて公表して広く専門家ならびに国民の意見を聞き、万が一にも事故が起こらないよう耐震設計の見直しを行うべきです。そして、仮に安全性の確保ができないのであれば、運転をしないという勇断を下すなどの措置を行うことにより、一刻も早く被災者を含む国民の安全を図るべきです。


当連合会は国に対して、地元の被災住民や地方自治体の具体的、個別的要望に、積極的に応じるよう、切に求めるものであります。それとともに、原子力発電所の安全性の検討、確保を徹底して行うように、求めるものであります。


2007年(平成19年)8月2日


日本弁護士連合会
会長 平山 正剛