準司法手続等の改革及び行政法制度改革のための検討組織に関する会長声明

自民党司法制度調査会は、平成19年2月9日、「21世紀社会にふさわしい準司法手続の確立をめざして」をとりまとめた。この提言は行政訴訟改革の多数の積み残し課題の一つである準司法手続について具体的な改革案を示した。


日本弁護士連合会は、平成16年9月16日に「行政諸法制の抜本的再検討と継続的監視・改善のための恒常的改革機関の設置に関する提言」を、平成17年10月18日には「行政法制度に関する第二次改革の要望書」を公表し、行政法制度改革の必要性とそのための継続的な改革組織を創設する必要性を訴えてきた。また、自民党行政改革推進本部幹事会・司法制度調査会基本法制小委員会は、すでに平成17年1月28日に「行政法制度改革における課題と検討組織について」をとりまとめ、時の内閣に改革の継続について申入れをしているところであるが、現在に至るまで行政法制度改革への取り組みは、行政不服審査法の改正など部分的にしか具体化していない。


この提言が示す準司法手続の改革、とりわけ行政不服審査制度の基本法である行政不服審査法の抜本的改革は国民のための改革として重要な意味を有している。準司法手続についてのこの提言の内容は、提言自身が強調するように、国民の裁判を受ける権利に十分留意するものであるならば、国民の立場に立った意欲的なものと評価できる。しかし、この準司法手続の改革は前記行政法制度の改革の第一歩に過ぎない。


この提言は準司法手続の改革に加えて、今後の改革に向けて内閣に省庁横断的な改革体制を設けることを提言しており、この点も国民の立場に立ったものとして高く評価できる。


日本弁護士連合会は、内閣に対し、今回の提言を正面から受け止めて、準司法手続の具体的改革に着手するとともに、行政法制度全体の抜本的改革をすすめるための省庁横断的組織を内閣に設置することを求めるものである。


2007年(平成19年)2月9日


日本弁護士連合会
会長 平山 正剛