貸金業制度の抜本的改正に関する会長声明

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多重債務問題解決等のため改正が急がれていた貸金業制度について、その抜本的改正を行う「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」が衆議院に続き、本日、参議院でも全会一致で可決され成立した。


本法律では、1983年に成立した貸金業規制法を抜本的に改正し、資産要件の引き上げによる参入規制の強化、行為規制の強化、収入の3分の1を超える過剰与信の禁止やとりわけ金利規制の強化がなされている。


金利規制では、グレーゾーン金利(貸金業規制法43条みなし弁済規定)が概ね3年で廃止され、出資法の上限金利が年29.2%から年20%まで引き下げられること、日賦貸金業の特例金利の廃止や保証料への規制等、当連合会が求めていた改正が全て盛り込まれている。当連合会は、多重債務被害の予防と救済の観点から、広範な市民団体と協力して上限金利引き下げ等を求める立法運動を強力に行ってきた。本改正によって新たな多重債務者の発生に歯止めがかけられるものとして高く評価する。


さらに、本法律の附則では、国が多重債務対策を行うことが責務として明記され、本年中にも内閣官房に「多重債務者対策本部(仮称)」が設置される予定である。


生活苦・経済苦での自殺は1日あたり21名にも及び、200万人を超えるといわれる多重債務者の救済は焦眉の課題であり、当連合会は、政府が「多重債務者対策本部」を中心に地方自治体とともに、一日も早く、多重債務者の相談体制の整備、セーフティネットとしての貸付制度の充実及び徹底的なヤミ金融対策を行うことを求めるとともに、当連合会としても全力を上げて多重債務問題解決に取り組むことをここに宣言する。


2006年(平成18年)12月13日


日本弁護士連合会
会長 平山 正剛