取調べの録画・録音試行についての法務大臣発言についての日弁連コメント

2006年5月9日
日本弁護士連合会


本日、法務大臣会見において、裁判員対象事件の一部に関し、検察官による被疑者の取調べの録画・録音を試行することになったとの発表があった。続いて、最高検察庁の次長コメントも発表された。


日本弁護士連合会は、かねて取調べの可視化を求めてきたが、このたび検察庁が取調べ可視化の試行に踏みきったことを一歩前進として歓迎したい。


裁判員裁判においては、自白調書の任意性・信用性についてこれまでなされてきたような長時間の審理はとうてい不可能である。取調べの可視化は、裁判員裁判になくてはならないものである。


ただし、今後の課題がある。たとえば、取調べの過程のうち、どの部分を可視化するかが検察官の裁量に任されていること、警察での取調べについては対象となっていないことなどである。取調べの一部だけが可視化されても任意性・信用性の問題の解決にならない。


取調べの「全過程」の録画・録音の実行が不可欠であることは明らかであるから、今後の全面的な可視化に向けて、関係当局のさらなる英断を期待する。日弁連としては、その実現に向けて一層の努力を傾注する所存である。