改正刑事訴訟法の施行にあたっての会長談話

本日、昨年5月に成立した改正刑事訴訟法のうち「刑事裁判の充実・迅速化を図るための諸方策」部分が施行され、公判前整理手続の運用が始まった。


公判前整理手続は、公判審理を継続的、計画的かつ迅速に行うために争点及び証拠を整理して審理予定を策定するための手続であるが、その運用にあたっては、被告人の防御権を損なうことのないよう、適正な運用の確保に十分留意されなければならない。弁護人としては、改正刑事訴訟法に関する研鑚を積んだ上で、新たに導入された証拠開示制度(類型証拠開示、主張関連証拠開示、裁定及び即時抗告の各制度)を活用し、十分な証拠開示の実現を図ることが必要である。また、弁護側に求められる予定主張の明示や証拠調べ請求に的確に対応していかなければならない。


公判前整理手続は、2009年5月までに実施される裁判員裁判を見すえて導入されるものである。裁判員裁判においては、供述調書などに依拠した裁判は維持し得なくなり、直接主義・口頭主義を実質化し、法廷で心証を形成できる審理への転換が求められる。また、接見交通権の拡充、被疑者・被告人の身体拘束制度の改善、取調べの録画・録音(可視化)の実現が必要である。


当連合会は、公判前整理手続の適切な運用の確保と裁判員制度の円滑な実施に向けて、今後とも全力を尽くす所存である。


2005年(平成17年)11月1日


日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛