会長談話(第161回臨時国会の終了にあたって)

本日、第161回臨時国会が会期満了により終了した。今国会において審議された司法制度改革に関連する法案のうち「裁判外紛争解決手続の利用の促進等に関する法律案(ADR法案)」及び「裁判所法の一部を改正する法律案(司法修習生への給費制廃止)」の2法案は可決成立し、「民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案(弁護士報酬の敗訴者負担制度)」は廃案となった。今臨時国会は、司法制度改革推進本部の設置期限が平成16年11月末とされたその最終の国会であり、今次司法制度改革における立法は基本的に完了した。


日本弁護士連合会は、今次司法制度改革における諸立法により、主権者である国民が裁判官とともに裁判に参画する裁判員制度の創設、被疑者国選弁護制度の創設、利用者である市民が利用しやすい裁判所、日本司法支援センターなどの弁護士へのアクセスの制度及びこれらを支えるべき法曹制度と法曹養成の制度が整備されたことを心から歓迎するものである。


しかしながら、司法制度改革は、今日ようやくその骨格を整えたに過ぎない。裁判員制度、日本司法支援センター、法科大学院による法曹養成、刑事手続の改革、裁判所・検察庁・弁護士会の改革、行政・労働・知財の訴訟制度等の改革のいずれについても、今次司法制度改革の本旨に立脚して、今後、細部にわたる制度設計を行うとともに適切な運用をはかり、制度の改革・改善を進めなければならない。


当連合会は、司法制度の健全な発展を願い、この社会が透明で公正なルールによって運営され、すべての人々があまねく法の支配する社会において生活を営むことができることを目指し、すべての身体拘束された刑事事件被疑者に当番弁護士を派遣する制度、弁護士の偏在を解消するための法律相談センターの設置や公設法律事務所の設置などに取り組むとともに、今次の司法制度改革に全力を傾注してきた。第161回臨時国会の終了にあたり、司法制度改革に尽力された国会議員、司法制度改革推進本部及び関係諸機関、報道関係者の方々に衷心より感謝申し上げるとともに、今後行われる細部の制度設計及び運用に向けて、当連合会がさらに努力を傾注する決意を表明するものである。


2004年(平成16年)12月3日


日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛