新潟県中越地震の被災地・被災者への配慮を求める会長談話

このたびの新潟県中越地震にたいして、被災者の皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。私は本日、被災地を回ってみて、その被害の大きいことにあらためて胸を痛めました。我が国有数の豪雪地帯で、これから冬を迎えようとするこの時期に、このような甚大な被害を受けられたことに、言葉もありません。


新潟県弁護士会では、電話相談を11月8日から土日を含む毎日午後1時から4時まで、面談による相談を11月14日に長岡市をはじめとする被災地で、いずれも無料で開始します。新潟県弁護士会は、被災者の身近な相談相手となるべく、できる限りの努力を傾けます。財団法人法律扶助協会も、被災地に対する法律相談や弁護士費用の立替などの法律扶助について、特別の配慮をはらうこととしています。当連合会は、これらの活動に全面的に協力します。


当連合会は、1994年5月27日の総会で、雲仙普賢岳噴火災害をうけて「長期化大規模災害対策法等の立法措置を求める決議」を、1995年5月26日の総会で、「阪神・淡路大震災の被災者救済と市民本位の復興等を求める決議」を行い、被災者の法的救済を求めて参りました。しかし、今回の被害状況からすると、被災者に対する国の救済措置は、とうてい十分とは言えません。


今回の震災では、阪神・淡路大震災とは異なり、過疎地が大きな被害を受けたという特徴があるうえに、住宅等のみならず、崖崩れや地盤の大規模な崩壊により、集落全体がその存立基盤を失いかねないという、かつてない大きな被害を受けています。もはや以前の集落に住み続けることができないとして村から出て行く人が増えれば、過疎はさらに深刻さを深めます。過疎の村の深刻な被害を救済し、地域が地域として生き残れるためには、被災された住民自身の努力で追いつくものではありません。新潟県は住宅・生活再建のための独自支援に乗り出しました。しかし、自治体だけの努力には限界があります。交通網や電気水道等のインフラ回復はもちろん、住宅再建の支援、土地基盤の現状回復と整備、被災者の生活再建のためのきめ細かな援助、等々について、国からの支援がなければ、復興はおろか、当面の生活さえもが重大な危機にさらされ、地域の存亡にもかかわりかねないのです。生活基盤全体が存亡の危機にさらされている今回の被災については、直接の被災はもちろん、地域対策としての国の支援が、阪神・淡路大震災後に制定された被災者生活再建支援法の更なる支援拡充のための法改正などの特別立法を含めて、求められています。当連合会は国に対して、地元の被災住民や地方自治体の具体的、個別的要望に、できる限り添うよう、間もなく冬を迎えようとする被災地に対して十分な配慮をされるよう、切に求めるものであります。


2004年(平成16年)11月13日


日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛