裁判員法案・刑訴法改正法案衆議院通過にあたっての会長談話

1 本日、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案」(裁判員法案)と「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」(刑訴法改正法案)が、衆議院法務委員会及び本会議で可決された。


裁判員制度は、司法に健全な社会常識を反映させる意義を有するに止まらず、わが国の民主主義をより実質化するものとして大きな意義がある制度である。また、日弁連が長年にわたり提唱してきた被疑者に対する国選弁護制度が創設されることも重要な意義を有する。


2 二法案の政府原案には、「裁判員の守秘義務」「開示証拠の使用制限」など、刑事裁判に対する国民の検証を困難にし、あるいは防御活動・弁護活動を著しく制約するおそれがある条項が含まれており、日弁連は、これら条項の問題点を指摘して、必要な修正が図られることを強く求める取組みを進めてきた。


本日衆議院で可決された法案は、与野党共同提出された修正案に基づき可決されたものであるが、関係各位のご努力により、政府原案の問題点の主要な部分について概ね修正がなされたものと評価できる。


3 日弁連は、参議院において、例えば、修正された「裁判員の守秘義務」「開示証拠の使用制限条項」の内容の明確化、裁判員制度実施までに取調べ状況の録画ないし録音の導入を図る必要性、新設される証拠開示制度の適正な運用の在り方などについて、さらに十分な審議がなされたうえで、二法案が今国会で成立することを期待するものである。


2004年(平成16年)4月23日


日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛