自衛隊のイラクからの即時撤退を求める会長声明

当連合会は、2004年2月3日付理事会決議で、


イラク特措法は、国際紛争を解決するための武力行使および他国領土における武力行使を禁じた日本国憲法に違反するおそれが極めて大きい、


「自衛隊の対応措置は非戦闘地域において実施し、武力による威嚇または武力行使にあたるものであってはならない」とするイラク特措法(第2条)の基本原則からみても、イラクに自衛隊を派遣することは許されないものである、


イラクに自衛隊が派遣されるならば、大使館員やNGO関係者など、イラク国内の日本人が広く攻撃の標的となるおそれすらある、


ことなどを指摘し、自衛隊のイラク派遣に反対し、政府に対し、既に派遣された自衛隊の即時撤退と今後の派遣中止を求めた。


自衛隊のイラク派遣は、少なくとも「非戦闘地域における人道支援」というイラク特措法の要件にしたがって実施されたはずである。しかるに、イラク全土で戦闘が激化し、すでに市民や子供を含む多数の死傷者が生じている。派遣された自衛隊も、一時は人道支援作業を中止して宿営地にとどまらざるを得ない状況さえ生じた。さらに、民間の日本人が武装勢力によって拘束されるという許し難い事態も発生した。当連合会が先の理事会決議で指摘した危惧は、既に現実のものとなったと言える。自衛隊の派遣は、もはや「非戦闘地域における人道支援」というイラク特措法の要件を満たしていないと言わざるを得ない。


当連合会は、先の理事会決議を再確認し、あらためて自衛隊のイラク派遣に反対するとともに、現在派遣されている自衛隊の即時撤退と、今後の派遣中止を求めるものである。


2004年(平成16年)4月17日


日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛