いわゆる「団体規制法案」衆議院可決に関する会長談話

本日、衆議院は、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案を可決した。


この法律案は、オウム真理教が、無差別大量殺人行為を行ったことに対し、その責任を明らかにしないまま活動を続けていることから、国民がオウム真理教に対して抱いている不安と疑念にこたえるため、その観察と事件再発防止等を目的とするものと説明されている。


当連合会は、現在、住民の中に不安や疑念が存在し、その解消のための対策が必要であることについては十分に理解している。しかしながら、法律案の定める観察処分や再発防止処分は、その要件に厳格さを欠き、オウム真理教以外の団体にも適用される危険性なしとせず、このような法律案を直ちに成立させる必要性や緊急性が必ずしも具体的に明らかにされていないことなどから、当連合会はこの法律案には憲法上の重要な問題点が含まれていることを指摘してきた。


以上の趣旨から当連合会は、国会において、立法のもつ影響をも考え、慎重な審議が行われるよう求めていたところ、衆議院において、適用範囲を限定するための修正が行われ、施行に当たっての濫用を防ぐための附帯決議がなされたものの、短期間の審議において、上記問題点についての多くが十分には解明されないまま審議を終え可決したのは、遺憾といわざるを得ない。


この立法のもつ憲法上の重要性に鑑み、参議院においては、慎重な審議がなされることを強く求めるものである。


1999年(平成11年)11月18日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹