いわゆる「団体規制法案」についてのコメント

日弁連は、オウム真理教に対して国民が不安と疑念を抱かざるを得ない現実を十分認識している。しかし、この法案が提案理由とする「再び無差別大量殺人行為に及ぶ」危険性については、警視庁等の信徒監禁事件の捜査結果や千葉県の女子大生の拉致狂言事件等から考えても、必ずしも明確ではなく、政府、警察、公安調査庁は、まずオウム真理教の実態、立法の必要性及び緊急性を客観的に明示すべきである。


また、この法案は、簡略な手続、厳格さを欠く要件により、観察処分や再発防止処分など、基本的人権を制限する規制措置ができる点において、憲法上の重要な問題点を含んでいる。


日弁連は、立法を基礎づける社会的事実の有無、規制の要件及び手続の適否等を含めて、国会において、冷静、慎重、厳密に、かつ将来への影響も合わせて検討されるべきであると考える。


1999年(平成11年)11月2日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹