平成11年度司法試験最終合格者発表に関する会長声明

本日、平成11年度司法試験の最終合格者が発表された。1000名の新しい法曹の仲間に入ろうとする人の誕生を心から歓迎し、今後の司法修習を通じて法律実務家として大きく成長されることを期待する。


今年度は、合格者が初めて 1000名となり、司法試験制度は新しい段階を迎えた。


ところで、短期受験者を優遇するいわゆる丙案が実施されてから4年目を迎えることとなり、本年度論文式試験においては、成績順位が 1400番台後の受験生が合格する一方、800番台前半の受験生が不合格になった。丙案のもつ不平等性は依然として深刻である。


また、今回の試験の成績に基づき丙案を実施せずに成績順に合否を判定したとすると、受験期間3年以内の合格者割合は 36.0%(376名)、同5年以内割合は61.1%(638名)となった。この数値は、平成2年の法曹三者合意における検証基準(3年以内 30%または5年以内 60%)をいずれも上回るものであり、5年以内合格者数は平成4年度までの合格者総数(約600名)に匹敵する。


当連合会は、丙案のもつ不平等性、長期受験者の滞留現象の改善、合格者の1000名程度への増加などを指摘し、遅くとも平成12年度をもって丙案を廃止すべきであると提言した。同提言を受けて、平成10年10月、丙案の存廃問題等を協議する機関として「法曹選抜及び養成の在り方に関する検討会」が設置され、現在、同検討会において、遅くとも平成12年末までに結論を出すことを前提に協議が続けられている。


当連合会は、この検討会を通じて丙案の廃止を強く求めていくとともに、引き続き、あらゆる機会を通じて、丙案の早期廃止のために努力を尽くす所存である。


1999年(平成11年)10月29日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹