周辺事態措置法成立に関する会長談話

「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」(周辺事態措置法)及びこれに関連する「自衛隊法の一部を改正する法律案」「日本国の自衛 隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定案」が、本日、国会において成立した。


当連合会は、本法案が憲法及び平和と人権に関わる重大な問題を含んでいるとの認識のもとに、国会における法案審議の推移に重大な関心を払ってきた。


当連合会は、政府に対して、この法律における周辺事態、後方地域支援・後方地域捜索救助活動の範囲の解釈、地方自治体に対する協力要請などの運用については、日本国憲法の平和主義・地方自治の本旨等の理念に基づき、今後格別慎重にその解釈、運用にあたることを望むものである。特に、国会の承認を要する措置については、国民が危惧する平和のうちに安全に生存する権利が損なわれることのないよう、国会での充分な審議を期待する。


当連合会は、国民から負託された人権の擁護と社会正義の実現を使命とする立場から、上記三法について、その国会論議の経過と内容及び国民世論を踏まえ、国民主権、基本的人権の尊重及び平和主義の憲法の本旨に則り慎重かつ厳格に解釈運用され、国民の人権侵害が惹起される事態が生じないことを強く求めるものである。


1999年(平成11年)5月24日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹