沖縄の代理署名訴訟についての最高裁判決に対する会長声明

本日(8月28日)、最高裁判所大法廷は、沖縄県の米軍用地の強制使用をめぐる職務執行命令訴訟(いわゆる代理署名訴訟)について、沖縄県知事の上告を棄却する旨の判決を言い渡した。 判決は、「日米安全保障条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上、裁判所としては、これが合憲であることを前提」として、上記の結論を下したものである。この判旨に関しては、憲法問題に対する最高裁判所のとった基本的立場等をめぐって深刻かつ様々な論議のあるところではあるが、今回の司法判断が、沖縄県の基地被害の根絶と基地の整理・縮小等の実現に対する契機となることは、到底困難である。 当連合会は、沖縄の基地問題については、1972年の本土復帰以前から、その人権侵害状況を継続的に調査し、その調査結果を踏まえ、多発する人権侵害の防止のため必要であるとの観点から、基地の整理・縮小等こそが、わが国のとるべき基本方向でなければならない旨再三にわたり表明してきた。 従って、今回の最高裁判所判決に拘らず、政府は、沖縄における深刻な人権侵害を防止するために、早期に基地の整理・縮小等に向けて、最善、最大の努力を尽くされるよう強く求めるものである。


1996年(平成8年)8月28日


日本弁護士連合会
会長 鬼追明夫